IELTSライティングで7.0を取るにはどんな取り組みが必要か?
今日は、私自身の経験を書いてみたいと思います。
こんにちは。藤本です。
IELTSライティングは、4つあるIELTSのセクションの中でも最難関です。
例えば全セクション6.5以上や、全セクション7.0以上を求められている人にとっては、最後まで苦しむセクションだと思います。
「ライティングだけ異常に基準が厳しすぎないか?」
と思ってしまう人も多いでしょう。
実際、他のセクションに比べて平均点も低く、
特に「6.0」「6.5」「7.0」の3つの壁でとどまってしまう人が多いようです。
今日はその3つの壁を越えるために、私自身はどのような対策をしたかをまとめてみたいと思います。
行った対策は全部で5つあります。
1.ライティングノートの作成
2.解答例の研究+写経
3.添削
4.オリジナルテンプレートの作成
5.高度かつ自然な表現力強化
では順に見ていきたいと思います。
目次
はじめに
そもそも私がどういう状態でIELTSを受験したのかを簡単に説明しておきたいと思います。
人によっては状況が違いすぎて当てはまらない場合もあると思うからです。
私がIELTSを初受験したのは、2年間の留学を終えて帰国した後の話です。
2年間英語漬けになった後で、まあ普通にスコアは取れるだろうと思っていたのですが、ふたを開けるとライティングのスコアは5.5でした。
留学前にTOEFLは受験しており、そのときはライティングが一番の得点源でした。
そのうえに、MBAで散々レポートとか書いてきて曲がりなりにも卒業できたレベルです。
基本的なフォーマットの話や、基礎的な文法の話はある程度頭に入っていました。
それでも6.0を越えないという事実に、まず大きな衝撃を受けました。
「これは本気の対策が必要だ」
と感じて、そこから真剣にライティングに取り組むことを決意しました。
これが私がIELTSライティングに本気で取り組んだときの状況です。
例えば、現段階でライティングスコア5.0以下の人や、文法に自信が無い人にとっては、この後お話する5つの対策だけでは十分ではないかもしれません。
その場合は、以下の記事がより包括的にカバーされていますので、合わせて読んでみて下さいね。
対策1:ライティングノートの作成(基礎)
最初の対策、というか私のライティング対策の一番基礎になったのがライティングノートを作ることでした。
「ライティングノート」とは聞き慣れない言葉だと思いますが、私が勝手に名付けたものです。
簡単に言うと、ライティングに関する表現や語彙などを記録して、暗記するために使っていくノートのことです。
このノートが、IELTSで求められるライティング力の基礎を作ってくれました。
私のライティング対策は7.0を獲得するまで常にこのライティングノートと一緒だったと言っても過言ではありません。
ライティングの勉強というのは、実は「覚える」ということが何より重要です。
なぜなら、覚えていないものは書きようが無いので。
なので、ライティングで使う語彙、構文、全体の型を、それぞれ覚えて自分の中で使える形にしていく必要があります。
この「覚え方」にはレベルがあります。
曖昧な記憶で本番で迷うような覚え方のレベルと、本番で迷わず瞬間的に出てくるまで覚えているレベルとでは全く結果が異なりますね。
なので、ライティングの勉強の際には、常にきっちりとアウトプットできることをゴールにして暗記していく必要があります。
で、そのきちっとアウトプットできるレベルに至るまでの暗記作業に最適なツールがライティングノートでした。
では、そのノートにはどんなことを書いていったのか?
例えば、
添削を受けて修正された表現を見て
「自分では出てこない表現だけど、使えると便利そう」
という語彙。
解答例を見ていて、
「これは使えるな」
と思った構文。
同じく解答例を見て、
「うまいな」
と感じたエッセイの流れ。
こういった語彙、構文、型を暗記して自分の引き出しを増やしていくイメージですね。
解答例からどうやって、そういう表現を抜き出すのかについては、以下に実例を示しているので見てみて下さい。
そして、このノートには「ある工夫」をしました。
後からの記憶する作業を助けるための工夫です。
それはノートを左右に分けて使うという方法です。
左に日本語やヒントだけを書き、右に英文や覚えたい内容を記載していきます。
こうしておくと、後から見直すときに、右側を手で隠して、左側の日本語やヒントだけを見て、右に書いた英語表現や単語を思い出せるかを確認することが出来ます。
いわば、自分で自分専用の一問一答形式の問題集を作るようなイメージですね。
暗記というのは「思い出そうとする回数」に比例して定着度合いが決まります。
だからただ「見ているだけ」だと思い出せません。
その場では覚えたつもりでも、1週間後には忘れてしまうんですね。
だから、何度も「思い出す」という機会を人工的に作らなければなりません。
それが、このノートを左右に分けて使う、という方法なんですね。
ノートの作り方の詳細はこちらの記事を読んでみて下さい。
この使える表現の抜き出しや、それをアウトプットを前提としたノートにまとめていく作業は、私のライティング対策のベースであり、7.0を超えるまで継続した最も大切な対策方法の1つでした。
そして、このノートは蓄積すればするほど真価を発揮しました。
では、どんな作業をして、このノートを埋めていったのかを具体的に見ていきましょう。
対策2:解答例の研究+写経(6.0対策)
まず最初に行ったのは解答例の研究です。
解答例は、公式問題集を始め、ライティングを扱っているIELTSの参考書ならどこにでもあります。
この解答例を研究することから始まりました。
ただ正直言って、公式問題集(過去問)に掲載されている解答例は、ちょっと使いにくいです。
公式問題集に掲載されているのは、採点官が書いた超高尚な表現満載のパーフェクトな解答例か、間違いが含まれた受験生のサンプルです。
しかも受験生のサンプルは手書きで非常に読みにくいです。
ということで、私が参考にしたのはこちらの参考書にある解答例でした。
当時色々な参考書と比較してこの参考書にした、というわけではないのですが、結果として今出ている色々な参考書と比較しても、一番最初に取り組む題材としては、難易度的に最適だったかなと思います。
使われている英文が高尚すぎることもなく、少し頑張れば自分でも書けそうな平易な表現が多く使われており、かつある程度パターンに当てはめた流れで書かれています。
この参考書を使って、IELTSの設問パターンがいくつかに分類されること、そのパターンごとにライティングのスタイルが変わることを理解しました。
そして、この解答例を見て「使えると思った」表現や論理展開は、対策1のライティングノートにどんどん書き込んでいきました。
ある程度文法力がある方であれば、この1冊でしっかりパターンや表現を暗記してしまえば、ライティングスコア6.0は越えてくると思います。
解答例の研究をする際に、解答例を写経をしたのも効果的でした。
写経とは、解答例を丸々書き写す作業ですね。
私はこれを50問くらいやりました。
もちろん上記の参考書だけだと50問もないので、インターネット上で様々な解答例を見つけてそれらを写経した感じです。
写経のメリットとして大きかったのが、目で追っただけでは見逃してしまうような表現や論理展開に気づけた、ということです。
写経は一言一句書き写していくわけですから、非常にゆっくりした作業になります。
その分、目で読んだだけでは気付かなかった論理展開や表現上の工夫に気づくことがあるわけです。
実際、私も写経をすることで、1つの解答例を丁寧に読むことが出来、そこから多くの論理展開や表現を盗むことが出来ました。
ただし、写経をするには1つ大きな注意点があります。
それは「ただの書き写し作業にしない」ということです。
例えば10問写経すると決めて始めていくと、いつの間にかそれが義務になり、作業になってしまいます。
作業というのは、頭を使わず手だけを動かしている状況です。
これでは写経の意味は全くありません。
写経は、
「ここでこんな表現を使っているのか」
「ここはこんな感じで展開しているのだな」
という解答例における展開のうまさとか表現の巧みさを研究しながらしていくのが、一番得るものがあります。
なので、写経そのものは、解答例の研究や、ライティングノートがある程度蓄積してから実施した方が良いかなと思います。
それ以前に取り組むと、どこがどう良いのかが分かりにくいと思います。
そして写経の結果、覚えたい表現などが出てきたら、それらもすかさずライティングノートにメモしていきました。
こうして、ライティングノートはどんどん充実していきました。
対策3:添削(6.0~6.5対策)
6.0、6.5の壁を破るために最も有効だった取り組みは添削でした。
特に文法力に課題がある場合や、自分の論理が正しいのかどうか自分で判断できない段階ではとても有効です。
添削は身近に添削が出来る人がいなければ、有料のサービスを受けることになります。
私もいくつかの添削サービスを利用しました。
添削サービスを選ぶときに重視したのは、
「IELTSに特化していること」
です。
IELTSに特化していない添削サービスはいくつもありますが、IELTS特有の基準で採点されている以上は、それに特化した添削を受けるべきだと思います。
特にIELTSは、語彙や文法ミスといったいわゆる表現の部分だけでなく、設問に答えているか、論理的に展開されているか、といった中身の部分を厳しく問われます。
従って、その部分までしっかり指摘してもらわないと、IELTSにおいてはスコアにつながらないということになるわけです。
添削を受けたことの効果は3つありました。
1つは当たり前のようですが、添削してもらうためには自分で実際に書かないといけないということです。
Task1、Task2のライティングを実際に書いてみるというのは、非常にエネルギーが必要な作業なので、なかなか自分では書こうという気になれません。
しかし、添削をお願いする、という強制力が働くことで、無理矢理にでも書く機会が生まれます。
ライティングは最後は書くことでしか上達しないと思います。
なので、添削を受ける以前に、自分で書いてみるという作業をすること自体が、ライティングを伸ばす要因になったのではないかと思っています。
2つ目の効果はフィードバックを受けることによって、自分一人では気付かなかった視点が得られたということです。
単数形、複数形のミスとか、時制のミスとか、言われたら分かるレベルのミスも、添削を受けることで、かなり意味はあります。
しかしそれ以上に重要なのは、自分の視界には入ってもいなかった、知りもしなかった視点での修正です。
特にIELTSでは「設問に答えられていない」という減点がとても大きいのですが、実際に答えていなかったとしても、それはほとんど自分では気付くのが不可能な領域です。
なぜなら本人としては設問に答えたつもりになっているからです。
「この設問に対して、こんな表現を使うと『設問に答えていない』という評価になるのか」
ということに気づけたのは、添削してもらったことの大きな利点の1つでした。
3つ目の効果は、採点基準を感覚的に理解できるようになったということです。
IELTSの試験本番では、最終的なライティングのスコアしか分かりません。
これだけを見ていると、
「あれだけ勉強したのに、あれだけ書けたのに、なぜ前回と同じなんだ」
という気持ちになることがあると思います。
実際、私も6.0、6.5の壁の前で、数回そんな思いをしました。
その分、添削を受けて、スコアの根拠が示されていたとすると、なぜそのスコアなのかに納得がいくようになります。
同時に、どこを修正すればスコアに影響してくるかが分かるようになります。
こうして添削を重ねることで、ライティングは大きく改善されていきます。
そしてその添削の効果を5倍にも10倍にもするのが、添削後のライティングノートの活用です。
今度はノートの左側に自分が間違って書いてしまった表現、右側に添削された正しい表現を書き並べていきます。
そして、右側を手で隠して、左側の間違った表現だけを見て、自力で修正できるかを何度も繰り返します。
実際添削を受けると分かりますが、添削されてその場では理解出来たつもりでも、次に書くとまた同じ間違いをしてしまうものです。
なぜならその表現が体に染みついてしまった表現だからです。
これを取り除き、同じ間違いを避けるためにも、上記のような自力での修正力が重要です。
これを繰り返すことで、6.0や6.5の壁を破っていきました。
対策4:オリジナルテンプレートの作成(6.5対策)
ライティングは一度6.5と取れたとしても、安定してそのスコアが取れ続けるとは限りません。
受験のたびに違うお題が出るわけですから、都度ゼロから考えていては、得意分野のときは良いスコアになるかもしれませんが、不得意分野が出るとスコアが安定しません。
私にとって、毎回6.5以上を安定して獲るための重要な戦略がテンプレートを準備することでした。
テンプレート戦略とは、どのような設問に対しても使えるようなテンプレート表現をあらかじめ覚えておき、それを使って書くことです。
テンプレートの是非については、以前からこのブログでもお話していますが、私はテンプレートを使うのは有りだと考えています。
ただし、単純なテンプレートでは、
「暗記している」
「設問に答えられていない」
という評価になり減点になる可能性が高いです。
そこで、設問タイプに応じてそれぞれ別のテンプレートを作る、という作業をしていきました。
そして丸々テンプレートというよりは、設問の内容に応じて、中身を変えられるような汎用性が高いものを準備していきました。
ネットにもテンプレートが出ていたりもしましたが、私はオリジナルでテンプレートを作りました。
実際、私の生徒さんでもネットに出回っているテンプレートを使っている方がいますが、そういったテンプレートには残念ながら間違いが含まれているケースもあり、そのまま使うのは危険です。
そして、このオリジナルでテンプレートを作る際に大いに役立ったのが、それまで蓄積してきたライティングノートです。
様々な解答例の中から、ライティングノートには、イントロで使える表現、ボディで使える表現、コンクルージョンで使える表現などが蓄積されていました。
それらをピックアップしていき、いくつかの候補を様々な設問に当てはめながら微調整していき、最終的なテンプレートを作っていきました。
そして、このテンプレートを寝言でも言えるほど完璧に記憶しました。
さらに添削を通じて、色んな設問に対して自在に当てはめられるようにしていきました。
その結果、ライティングのスコアは常に6.5で安定するようになりました。
対策5:高度かつ自然な表現力強化(7.0対策)
最後の対策は表現力対策でした。
これは6.5が安定的に取れるようになった後に、7.0対策で行った対策です。
これは、英文に出てくる高度な単語と構文を拾い集めていき、覚える作業です。
ただこれまでと異なるのは、題材がライティングの解答例だけではなく、リーディングの題材やリスニングの題材にも広げていった点です。
特にリーディングの題材は、
「この表現を次のセンテンスではこういう単語でパラフレーズしている」
などと、パラフレーズの表現などにも着目して、収集していきました。
それまでは、自分には難しすぎると敬遠していた単語も積極的に集めていって600単語ほどをピックアップしました。
そして、それをやはりライティングノートに記載していきます。
暗記の仕方も、単に日本語を英語に訳すだけでなく、簡単な英単語を難しい表現にパラフレーズしたり、日本語では同じ訳がついているけどニュアンスが異なる単語の違いを理解したり、といった内容になります。
ニュアンスの違いを理解するのに役立ったのはこちらです。
この難しい単語への取り組みは、タイミングが重要で、6.5が取れてからの方が良いと思います。
それ以前に取り組んでしまうと、文法が間違いだらけなのに、単語だけがやたら難しいという、極めて読みにくい英文が出来上がってしまいます。
なので、ある程度文法が安定した6.5以上で取り組むと効果が高いと思います。
私も最後にこれを取り組むことによって、7.0の壁を突破しました。
まとめ
ライティング6.0、6.5、7.0の壁を越えるために、実際に私がやってきたことをまとめてみました。
それぞれ理屈は簡単ですが、実際に取り組むのは時間、労力がかかるものが多いと思います。
しかし、ライティングはそれまで取り組んだものの蓄積が成果につながります。
1つの対策がすぐに効果を発揮しなくても、積み重ねていけば必ず成果に現れますので、あきらめずにコツコツ実施していきましょう。
リーディングも7.0必要ですか?
では、こちらの記事をどうぞ。
IELTSライティングで6.0⇒6.5⇒7.0と伸ばすために取り組んだ5つのこと
Have a good day!