IELTS対策で自分に合ったアドバイスを選ぶ3つの視点

こんにちは。藤本です。

世の中に英語講師と名乗っている人ってものすごく多いです。

そして、講師ではない人でも、英語を学んできた方が、ご自身が実践した英語の上達法とか、英語の学習歴を発信しています。

ということで、ネット上ではものすごい数の英語関連の情報がありますね。

もしかすると日本人だけでも英語について発信している人って10万人ぐらいいるんじゃないでしょうか?

そして、英語学習者から見ると厄介なことに、それぞれの発信者が異なるアドバイスや体験談を発信しているんですね。

だから、多くの英語学習者にとって、一体誰のアドバイスを聞けば良いのか分からない、というのがホンネなんだと思います。

 

同じ英語なんだから基本的には同じだろ?

と思いきや、正反対の主張もしばしば見かけます。

例えば

「単語は単語帳を使って詰め込め。」という人もいれば
「単語帳なんかで覚えるな。習うより慣れろ。」という人もいる。
一体どっち?

「文法が無いと伸びない」という人もいれば
「文法なんて知らなくてもしゃべれる」という人もいる。
一体どっち?

「好きな映画を見て覚えろ」という人もいれば
「映画見るなら問題集を解け」という人もいる。
一体どっち?

 

これらのアドバイスや主張の多くは、根拠もなしに発信されているわけではなく、それぞれ発信者の経験をもとに発信されていることが多いです。

だから、ある意味どれも正しいのです。

ここが厄介です。

 

では

なぜこんなに相反する主張が出てくるのか?

そして、

どのアドバイスを信じれば良いのか?

今回はそのことについて書いてみたいと思います。

 

英語関連の情報やアドバイスが千差万別な理由

なぜこんなに相反する情報やアドバイスが出てくるのか?

それは、その発信者が、どのような環境で英語を習得してきたのか、英語に対してどのような感情を持っているのか、そして、どのような人に向けて発信しているのか、がバラバラだからです。

そうなんです。

同じ英語の習得方法であっても、正しいアプローチは1つではないのです。

発信者が

どんなゴールを目指して英語を学習してきたのか?
どんなバックグランドを持っているのか?
英語に対してどんな感情を持っているのか?

これらの要素によって、正しさは全く変わってくるわけです。

 

当然ながら自分の状況と合っていない発信者の言うことを聞いてもあまり効果はないことになります。

ここを意識せず、単に

「英語力が高い人だから」
「有名な人だから」

という理由だけで、アドバイザーを選んでしまうと、役に立たない、場合によってはかえって有害なアドバイスを受けてしまうことになります。

 

ではどういう観点で、自分に合ったアドバイザーや英語講師を選べば良いかを挙げてみます。

全部で3つの視点があります。

 

視点1:その発信者どのようなゴールを想定しているか

発信者によって主張やアドバイスが異なる一番の原因は恐らくここです。

例えば

「日常生活の中で英語をしゃべれる」

ということをゴールに想定している人と

「英語の検定試験で目標スコアを獲る」

ということをゴールにしている人とでは、場合によっては180度違うことを言うケースもあります。

 

例えば、「日常生活で英語をしゃべれること」をゴールに想定している人は、絶対に

「IELTSの過去問を買って研究しろ」

というアドバイスはしないですよね(笑)。

「英語しかない環境に身を置け」
「間違っても良いからとにかく話せ」

といったアドバイスが多くなると思います。

傾向として

「暗記よりも文法の勉強よりも実践をしろ」

というニュアンスの主張が強くなります。

これは「英語をしゃべる」というゴールを考えた場合、少々間違った文法でも発音でもとりあえず口に出せばコミュニケーションが成立するので、ゴールを達成できることが多いからです。

そしてそのゴールには大抵の場合、リーディングやライティングの話は入ってきません

そのゴールに対して特に日本人は引っ込み思案で自信を持てない人が多いため、その課題を解決するために、実践を優先して自信をつけさせるようなアドバイスになります。

 

それに対して、「特定の試験で目標スコアを獲ること」をゴールに想定する場合は、試験である以上、自信よりも正確性が求められるわけです。

そのため、試験の受験を念頭に置いている人は、単語や文法の正確な理解、暗記といったアドバイスが多くなります

ゴールが違えば、求められるものも違うので、当然ですね。

 

また、同じ「試験で目標スコアを獲ること」をゴールに想定している人でも、

TOEIC
英検
TOEFL
IELTS

など、どの試験を対象としているかが異なれば、アドバイスも異なってきます。

TOEICなら、基本的にリスニングとリーディングの試験なので、ライティングやスピーキングなどアウトプットに関するアドバイスは少ないでしょう。

一方、TOEFLやIELTSなら4セクションの試験かつ、難易度が高いので、インプット系のアドバイスも、アウトプット系のアドバイスも多くなります。

 

ということで、例えばIELTS対策をするのであれば、「海外で物怖じせずにしゃべれるようになる」ということをゴールに想定したアドバイスとか、「TOEICで800点取るための方法」といったアドバイスはあまり参考にすべきではないわけです。

 

視点2:その発信者はいつ、どこで、どうやって英語を学んだか

このポイントも、情報発信者の主張の内容を大きく変える要素の1つです。

一番極端なのが、ネイティブのアドバイスです。

ネイティブというのは、子どもの頃から無意識に英語を習得してきた人たちなので、必然的に大人になってから言語を学んだ人とは経験や言語の捉え方が違います。

単語を意識して詰め込んだり、文法書を読んで文法を理解したり、といったことは経験せずに英語が使えている人たちです。

こういったネイティブが、「この単語は語呂合わせで覚えろ」とか、「文法ルールをきっちり覚えて構文を見極めろ」、といったアドバイスをすることはないわけです。

 

これは逆の立場で考えてみると分かりますね。

日本語を学習している外国人に対して、日本語ネイティブのあなたが、

「日本語を学習するにはまずは頻出単語をたくさん覚えよう」

というアドバイスをすることはほとんどないと思います。

 

外国人が

「『私は行きたい』と、『私が行きたい』が文法的にどう違いますか?」

と質問してきても、論理的に文法ルールを説明できる人は皆無だろうと思います。

 

ネイティブにとってはまったく疑問にも思わないし、突っかかるポイントでないところを質問されても、答えられないわけです。

だから

「そういうものだから、それで覚えましょう」

といった感じの、ノンネイティブからしてみると納得しにくいアドバイスになりがちです。

このように母国語として無意識に習得出来た人と、大人になってから意識して習得する人とでは、まったくアドバイスが異なるわけです。

 

そして気をつけなければならないのが、同じノンネイティブでも、

・帰国子女や10代で留学して英語を身につけた人
・大人になってからだけど英語圏で長年あるいは濃く生活することで自然に英語を身につけた人
・日本にいながら理屈で英語を覚えて身につけた人

ではやはり大きく英語観が異なるということです。

 

帰国子女や10代で留学して英語を身につけた人
英語圏で長年あるいは濃く生活することで自然に英語を身につけた人

ネイティブに近い感覚です

母国語と同様に、大量の英語に触れることで、単語や文法といった理屈よりも「こういう場面ではそういう言い回しをする」といった感覚で英語を身につけています。

ですから、やはり

「単語をコツコツ覚えて~」
「文法をきっちり理解して~」

といったアドバイスはあまり出てこないです。

「大量に聞いているとあるとき分かるときが来る」

といった経験論に基づくアドバイスや

「こういうときはこの表現を使う」

といった体系化されていない個別のアドバイスが多くなります。

 

それに対して

日本にいながら理屈で英語を覚えて身につけた人

はまったくアプローチが違うことが多いです。

英語にそんなに触れない環境下では、個別の表現を個々に覚えるのは効率が悪いため、それらの共通ルールである単語と文法を体系的に学んで、そのルールを応用できるように考えていきます

なので、まずは基礎としての単語や文法を覚えて、それを元に実践を積んで応用範囲を広げていく、といったアドバイスをすることが多いです。

 

視点3:その発信者は英語が好きか

この点をあまり強調する人はいないかもしれませんね。

基本的に英語学習法を発信している人は、英語が好きな人が多いからです。

でも英語学習者は全員英語好きな人たちではなくて、英語が嫌いだけど、目的のためにやむを得ず習得するという人もいます。

ここが落とし穴です。

 

英語が好きな人や、英語に触れるのが苦ではない人は、英語に触れているときに「努力している」「我慢している」といった意識がありません。

だから

「英語学習を楽しみましょう」

みたいなアドバイスをします。

 

でも、英語嫌いな人にとって「楽しむ」というアドバイスほど意味が分からないものはありません

英語嫌いな人は、英語に触れるのは苦痛以外の何物でもないため、「英語を楽しむ」というのが宇宙語のように聞こえます。

むしろ考えているのは

「どうやって学習のモチベーションを保つか」
「いかに少ない労力で効果を上げるか」

といった点です。

だから発信者になった場合も、そのような視点でのアドバイスが多くなります。

 

どういった人にアドバイスを求めるべきか

ここまで読んでもらうとよく分かると思います。

英語学習のアドバイスや主張は様々ありますが、自分に当てはまらない人のアドバイスや主張を受け入れても、プラスになることはない、ということです。

もしあなたが、

・IELTSで目標スコアを獲ることがゴール
・海外経験はない
・日本にいる間にゴールを達成する必要がある
・英語は好きではない

というプロフィールなら、断然、同じような経験をしてきた人、あるいはあなたのような人に向けた発信をしている人のアドバイスを聞くべきです。

 

ちなみに上記は、まさに私がこのブログのターゲットとしている人です。

私自身がそうでしたので。

だから

「とりあえずしゃべって英語を覚えろ」
「ネイティブはこう言うから~」
「とりあえず現地に行け」
「楽しく学ぼう」

みたいなアドバイスは一切しません(笑)。

その代わりに

「単語と文法の基礎をまずきっちり固めろ」
「IELTSの過去問を研究しろ」
「効果が出ることだけやれ」
「とりあえず初回の受験をしろ」
「モチベーションを高めるには仮説を持て」

みたいなちょっと硬派なアドバイスが多いわけです。

 

今後、ネットで色々な情報を見ることがあると思いますが、そのとき、その情報やアドバイスを受け入れるかどうかは、こんな視点で見ていくと良いですよ。