なぜ私は世の中の英語講師と違うことを言っているか?

こんにちは。藤本です。

最近、訳あってYouTubeでいろんな英語のレッスン動画について見る機会がありました。

その中で、同じ英語なのに講師によって言うことが違うなー、教え方が違うなー、と感じたことが多々ありました。

ある講師と私は全く真逆のことを言っていたりします。

このことで、人によっては混乱する場合もあるのではないでしょうか。

なので、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

 

その講師の対象者は誰?

まず、日本人の英語講師のレッスンで、よく見かけるのが、

  • 英語は楽しんで学びましょう
  • 日本の学校でやるような単語帳で単語を覚えたり、文法書で文法を学ぶなんて楽しくないし、役に立たない
  • リスニング力は好きな映画を見てつける
  • ネイティブとおしゃべりしてスピーキング力をつけたらいい

みたいな教えです。

 

これに対して私がこのブログで訴えているのは

  • 一時的に負荷をかけてでも本気で取り組め
  • 単語、文法は絶対必要、ガンガンに覚えろ(その代わり効率的な暗記方法はある)
  • リスニングは超集中してシャドーイングしろ
  • スピーキングの表現はその場で作るものじゃない、言い回しやテンプレートを覚えて自分の中にストックを蓄積しろ

という話です。

こうやって見ると、全然違いますね(笑)

かなり体育会系です。

 

上記のようなことを言っている英語講師のレッスンは、どういう人が対象なのでしょう。

ほとんどの場合、

「英語が好きで英語を学びたい」
「外国人の友達が欲しい」
「海外旅行で英語でコミュニケーションしたい」

といった人たちが対象なのではないかと思います。

 

それに対して私は

「留学や移住という目標を達成するための手段として短期間でIELTSで目標スコアを獲得したい」

という人たちが対象です。

 

そう、対象が全然違うんです。

前者は基本的にリスニングとスピーキングが出来れば良いとするのに対して、IELTSはリーディングもライティングも出来なくてはいけません。

前者は普段の会話などそれほど幅が広くない範囲の英語で良いのに対して、IELTSはアカデミックな話題など、かなり高度な内容が求められます。

それにIELTSの場合は、留学や移住にはタイムリミットがあるので、決められた短期間に攻略しなければなりません。

 

もし私がIELTSの講師ではなくて、普通の英会話の講師なら、だいぶ主張は変わってくると思います。

多分ここまで体育会系ではありません(笑)

でも対象がIELTSだから体育会系やってるんです。

 

講師によって言っていることが違うと感じる場合は、まずその講師がどういう人を対象にしているかを確認すべきですね。

 

では、それぞれの項目について見ていきましょう。

 

あなたは英語を楽しんで学べますか?

まず

英語は楽しんで学びましょう

という教え。

これは可能であれば、全くその通りだと思うのですが、例えば私のように英語が嫌い、でも海外で学びたい、暮らしたいから、その手段として英語を学んでいる人にとっては、無理な注文です。

高所恐怖症の人が、飛行機からスカイダイビングで脱出する必要がある場合に「スカイダイビングを楽しみましょう」って言っているようなものです(笑)

 

英語は楽しんで学びましょう、という講師はほとんどの場合が英語が大好きな講師です。

だから英語が好きだ、面白いと思える人は、どんどん楽しんで学べば良いと思います。

 

でも好きでもないけど、目的のための手段として英語を学びたい人は、それほど楽しむことに重きを置く必要はないのではないでしょうか。

私は完全に後者の人間なので、英語の勉強が楽しいと思えたことはないし、これからも人に対して、楽しんで英語を学びましょう、というアドバイスはできません(涙)

ただ、英語が楽しめる人は恵まれているな、と思うだけです。

 

その代わり、一時的に負荷はかかっても効率的にIELTSのスコアを獲って、その先にある目標を短期間で実現することを優先しています。

短期間で能力を伸ばすためには普通は楽しむ余裕はないと思うのです。

 

日本の英語教育はダメか?

「日本の英語教育はダメだ。中高の6年も英語を学んでいるのに全然しゃべれないじゃないか。」

という主張をよく聞きます。

ここまでは私も同意します。

ところがその先の分析が間違っていることがよくあります。

 

「だから、日本の教育の単語・文法の詰め込みがダメだ」

という主張です。

ここは私は同意しません。

 

単語・文法は必須です。

これは、高校時代に海外留学している生徒さんを見ているとよく分かります。

全員ではありませんが、高校時代を海外で過ごしている生徒さんたちは、以下のような傾向があります。

  • 口語で多用する単語力はあるが、IELTSリーディングで出てくるようなアカデミックな単語を知らない
  • 現地にいる間はリスニング力は高いが、日本に戻ると急激にリスニング力が下がる
  • リーディングの複雑な構文が理解できない
  • ライティングでの文法ミスが多い
  • スピーキングは発音を含めてレベルが高い

これは日本にいる高校生と比較しての話です。

 

高校で英語圏に留学した場合は、語学コースなどでみっちり鍛えられた場合を除いては、あまり単語を覚えたり、文法を学ぶ機会がないです。

現地で耳で英語を覚えるので感覚的な理解になります。

単語、文法の裏付けがありません。

 

だから、普段の会話で使われない単語はまったく知らないし、リスニング力も現地にいる間は良いですが、日本に戻って日本語環境になった瞬間に急激に衰えていきます。

IELTSを受験すると、単語力・文法力が求められるリーディングとライティングのスコアで苦戦します。

そして、問題を間違えたり、ライティングで添削を受けても、なぜそれが間違いなのかがあまりピンときません。

 

それに対して、日本の高校では単語や文法をかなりがっつり行います。

だから複雑な構文でも、文法の知識をもとに読み解いたり、ライティングで間違いの指摘を受けてもその理由がすぐに理解できます。

文法、単語の力は、ベースとして絶対に必要なもので、これは避けては通れません。

 

ではなぜ中高の6年も英語を学んでいるのに全然しゃべれないのか?

それは単にリスニングしたり、スピーキングしたりする時間が圧倒的に足りないだけです。

単語、文法の詰め込みのせいにするのは大きな間違いです。

 

好きな映画を見ればリスニング力は高まるか?

次に

「好きな映画を見てリスニング力を高める」

という教えについて。

 

「好きな映画を見たらリスニング力は高まるか?」

という質問に対して、YesかNoかで答えるならYesだと思います。

何もしないよりは間違いなくプラスだと思います。

 

リスニングは「聞いた時間」ではなく、「集中して理解しながら聞いた時間」で力が上がっていきます。

だから好きな映画を見て、それで集中できるならリスニングにはプラスだ、ということです。

 

ただ、、、

映画の場合、英語よりは映像の方に集中してしまいませんか?

そして、映像を見て分かった気になってしまいませんか?

あと、何のセリフも出てこない無言の時間が長くないですか?

ひょっとしたら、つらい英語の勉強から現実逃避する口実にしてしまっていませんか?

 

こういう要素があるので私は映画を見てリスニング力を上げるというアプローチはあまりお勧めしていません。

私自身も映画でリスニングを上げようとしたことはないですし。

 

それよりは、同じ集中するならシャドーイングの方が効率的です。

耳だけからの情報なので面白くはないかもしれません。

でもその分、濃い時間をリスニングのトレーングに使っています。

 

ネイティブとおしゃべりしてスピーキング力はつくか?

最後に

「ネイティブと楽しくおしゃべりしてスピーキング力をつけよう」

という教えです。

 

これも効果はゼロではないですし、何より楽しいので長続きする可能性はあります。

その点では否定はしません。

 

ただやはりここでも、短期間でIELTSの目標スコアを獲得する、という目的を考えた場合、効率があまりにも良くないと感じるのです。

もしネイティブとおしゃべりしてスピーキング力が上がるなら、英会話に通っている人たちはペラペラしゃべれるようになるはずですね。

でもそうなる人はごく一握りです。

 

スピーキングが出来る人は頭の中でゼロから英文を組み立てているわけではなくて、決まったフレーズや表現が頭の中にあって、それを組み合わせてしゃべっています。

そのフレーズや表現のストックが多ければ多いほど、表現は豊かになり、応用範囲も広がっていきます。

だからいかにそのストックを増やすかがキーなのです。

ネイティブと会話をすることで、多少そのストックは増えていくかもしれませんが、会話の中だけでそのストックを増やすのは非効率的だし、何よりずっとは覚えていられません。

 

だから、先に一定レベルのフレーズや表現を完全に自分のモノにしてしまうのです。

その暗記作業を先にやってしまった方がずっと効率的です。

そして、その蓄積があった上で、おしゃべりしながら覚えた表現を使っていき、実践を積んでいくのです。

この暗記作業抜きに、ひたすらしゃべっても、ほとんど自分の表現は増えていきません。

 

まとめ

ということで、世の中の英語講師の教えと、このブログでのIELTSを対象とした教えの違いをまとめてみました。

  • 英語は楽しんで学びましょう
    楽しめる人は楽しめばいいが、IELTSのように有期限で高度な内容をマスターしたければ楽しむ余裕はあまりない
  • 日本の学校でやるような単語帳で単語を覚えたり、文法書で文法を学ぶなんて楽しくないし、役に立たない
    単語・文法は必要、必要なのはリスニング、スピーキングの絶対的な分量
  • 好きな映画を見てリスニング力はつける
    マイナスではないが、短期間でリスニング力をつけたければシャドーイングの方が効率的
  • ネイティブとおしゃべりしてスピーキング力をつけたらいい
    しゃべるだけでは意味がない。フレーズや表現を先に覚えて、それらを実践する場としてネイティブとの会話を使う

 

IELTSで目標スコアを短期間で取りたい場合は参考にして頂ければと思います。