IELTSライティング「パラフレーズ講座」 ~評価されるパラフレーズ、減点されるパラフレーズ~

こんにちは。藤本です。

IELTSライティングの参考書で必ず言及されるのがパラフレーズですね。

同じ表現を続けずに、違う表現を使うのがIELTSでは評価されると。

 

そのこと自体は正しいのですが、どうもそのパラフレーズを捉え違えしている人が多いみたいなので、ここでまとめてみたいと思います。

題して「パラフレーズ講座」です。

 

そもそもパラフレーズとは何?

パラフレーズとは、同じ意味を別の表現で言い換えることです。

 

例えば「外食する」と言いたいときに

eat out

と言ったり

go outside to eat

と言ったり

have a lunch/dinner at a restaurant

と言ったりしますね。

 

どれも「外食する」という意味では同じですね。

だから「外食する」と言いたいときに、上記のような様々な表現を使ってあげるというのがパラフレーズになります。

 

パラフレーズは何のために行うのか?

ではなぜパラフレーズが必要なのでしょうか?

それはIELTSで評価基準に入っているため、というのがストレートな答えなのですが(笑)、それだとこの後の正しいパラフレーズという話につながらないため、もう少し深く説明します。

それは、簡単に言うと「単調だと飽きる」ということです。

 

日本語でもそうじゃないですか?

例えば以下の文章を見て、どう思うでしょう?

日本では銀行にお金を預けるという習慣が長く続いていた。だから銀行にお金を預けるという習慣が当たり前のように良いものとされていて、リスクを取ってお金を運用するというスキルが育たなかった。しかし、最近は銀行にお金を預けるという習慣が弱まってきて、リスクを取ってお金を運用する人が増えている。

この中には

「銀行にお金を預けるという習慣」

というフレーズが3回

「リスクを取ってお金を運用する」

というフレーズが2回

出てきますね。

 

言っている内容は分かるし、日本語として間違ってはいないのですが、なんだか単調さを感じませんか?

そしてまどろっこしくないですか?

 

普段文章をたくさん読む人なら、

「何だか語彙力が少ない人だな~」

と感じるかもしれません。

 

気が短い人なら、

「もう分かったから!」

と飛ばし読みをしてしまうかもしれません。

 

数行だからいいですが、この後10行ぐらい文章が続いて、ずっと上記のフレームが出続けてきたら、さすがに嫌になりませんか?

 

このように、短い間に何度も同じ言い回しが出てくると、読み手は文章に単調さを感じてしまうのです。

情報は正しく伝わっても、これは良い文章とは言えないのです。

 

ではこうするとどうでしょう?

日本では銀行にお金を預けるという習慣が長く続いていた。だからこの預金という習慣が当たり前のように良いものとされていて、リスクを取ってお金を運用するというスキルが育たなかった。しかし、最近はこのお金に対する消極的な習慣が弱まってきて、積極的にお金を投資に使う人が増えている。

繰り返しのフレーズをやめて

銀行にお金を預けるという習慣」「この預金という習慣」「このお金に対する消極的な習慣」に、

「リスクを取ってお金を運用する」「積極的にお金を投資に使う」に、

それぞれ言い換えていますね。

 

何だかそれだけで、文章に単調さがなくなりませんか?

飽きずに最後まで読めませんか?

この人は語彙が豊富だなー、と感じませんか?

 

これがパラフレーズの効果です。

 

何でも言い換えれば良い、という訳ではない

では、ここからどのようにパラフレーズをすればよいかを考えていきます。

 

ここで知っておいていただきたいのが、パラフレーズならば何でも評価されるってわけではない、ってことです。

 

大事なことなので、もう一度言いますね。

パラフレーズは何でも良いわけではないのです。

 

場合によっては、頑張ってパラフレーズした結果が減点を招くこともあります。

そうならないように、ここでは「良いパラフレーズ」と「悪いパラフレーズ」があることを見ていきます。

 

ではまず、こういうシーンを想定してみてください。

 

あなたが

Many car accidents happen in the USA.(アメリカでは多くの交通事故が起こっている)

という説明をした後に、

「UKでも交通事故が多い」

という説明をしたかったとします。

ところがここで

Many car accidents also happen in the UK.

だとあまりに同じ表現なので、少しこの一文をパラフレーズして書きたいと思ったとしましょう。

 

以下に4つのパラフレーズの候補を示します。

このA~Dの表現の中で、どのパラフレーズが評価されて、どのパラフレーズが評価されないのか、分類をしてみて下さい。

 

A: Many car accidents also happen in England.
B: Many traffic accidents also happen in the UK.
C: There are also many car accidents in the UK.
D: The UK also suffers the similar trend.

 

いかがでしょうか?

 

では実際はどうかを見ていきましょう。

 

減点されるパラフレーズ、評価されるパラフレーズ

ケースA:間違ったパラフレーズ

まずAのパラフレーズを見ていきます。

A: Many car accidents also happen in England. 

 

これは本来

Many car accidents also happen in the UK.

と言いたかった文章のうち、

the UK

England

にパラフレーズしたわけですね。

 

ところが・・・

これはやってはいけないパラフレーズです。

 

どういうことかというと、UKとEnglandはイコールではない、ということです。

UKのことをEnglandと言ったら、北アイルランドやスコットランドは入りません。

「日本」のことを「東京」と言い換えたら、それは違うって思いますよね。

 

もし、同じ文章の中でUKという単語とEnglandという単語が同時に使われていたら、読者はこう思います。

「これは2つの単語を敢えて使い分けていて、EnglandはUKとは違って~、という話をしたいのだろうか・・・」

読者は混乱します。

本当ですよ。

EnglandはUKの一部である、という認識を持っている人からしたら、そのように考えるのが普通です。

同じ文章で「日本」と「東京」が使われていたら、そう思うじゃないですか。

 

このように、一見同じ意味に思えるけど、実はネイティブの感覚では意味が違うという単語はたくさんあります。

そうと知らずに意味が違う単語をパラフレーズとして使ってしまうのは間違いです。

 

例えば

economicとeconomical

この2つが違うことは理解できますか?

 

これは

economic:経済の

economical:節約の

という全く違う意味の単語です。

 

だから

economic growth:経済成長

の代わりに

economical growth:節約の成長(?)

と書くとアウトになります。

意味の分からない表現になってしまいますね。

 

他にも「守る」という意味の単語ってたくさんありますが、何を守るかによって選ぶべき単語が変わります。

例えば

「人」や「命」を守るならsaveやguard

「自然」や「資源」を守るならpreserveやconserve

「ルール」や「法」を守るならfollowやobey

など。

 

だから「ルールを守る」と言いたいときに、「obey the rule」を「follow the rule」と言い換えるのはOKですが、「save the rule」とするとNGです。

 

このように同じに思えるけど実は違った意味の単語で置き換えるパラフレーズは、評価どころか減点されるパラフレーズになってしまいます。

ライティングの4つある評価基準のうち、語彙力の面でマイナスの評価になります。

 

ケースB:間違ってはないけど単調さを感じるパラフレーズ

次にBを見てみます。

B: Many traffic accidents also happen in the UK.

 

これは本来

Many car accidents also happen in the UK.

と言いたかった文章のうち、

car accidents

traffic accidents

にパラフレーズしたわけですね。

 

これは間違いではありません。

 

もちろん厳密に言うと違いはあります。

car accidents

は車が関連した事故だけですが、

traffic accidents

は例えば自転車や電車の事故も入りますね。

 

しかし、日本語でも「交通事故」と言えば、ほとんどのケースで「車の事故」のことを指すように、car accidentsを、traffic accidentsと言い換えるのは、読者の混乱を招くほどではないですね。

なので、パラフレーズとしては正しいのです。

 

ただ、ここでは「USAでは事故が多い」という話の後に続く一文という話でしたね。

実際に2つの文章を並べてみましょう。

 

Many car accidents happen in the USA.

Many traffic accidents also happen in the UK.

 

この2つの文章が並んでいたとしたらどうですか?

かなり単調に感じると思います。

 

それは構文が全く同じだからです。

同じ構文の一部の単語だけをパラフレーズしているだけです。

どんなに単語を変えたところで、構文の単調さがある文面は評価されません。

 

ライティングの4つある評価基準のうち、語彙力ではマイナスにならないかもしれませんが、文法力・構文力の評価としてはマイナスになります。

 

ケースC:単調さを感じないパラフレーズ

次にCを見てみます。

C: There are also many car accidents in the UK.

 

これは本来

Many car accidents also happen in the UK.

と言いたかった文章を、

There is構文

を使ってパラフレーズしたわけですね。

 

ちなみにこのケースでは、car accidentsやUKといった単語自体は、パラフレーズしていません。

 

しかし、このパラフレーズは評価されます。

 

先ほどのBと同様に、USAの一文と並べて見てみましょう。

 

Many car accidents happen in the USA.

There are also many car accidents in the UK.

 

単調さを感じさせませんよね。

 

これは構文が違うからです。

そして構文が違うと、たとえ使っている単語が同じでも全く印象が違いますね。

それぐらい構文をパラフレーズする力は大きいのです。

 

最初に確認しましたね。

なぜパラフレーズが必要かと言えば「単調だと飽きるから」でした。

逆に言えば、同じ単語を使っても、読者が単調でないと感じればそれで良いのです。

 

このような構文のパラフレーズが出来ると、ライティングの4つある評価基準のうち、文法力・構文力の評価がプラスになります。

そして面白いことに、同じ単語を使っているにも関わらず、語彙力の評価もマイナスにはならないのです。

上記の通り、構文が違えば同じ単語でも印象が違うからですね。

もちろんケースバイケースではありますが、語彙力が乏しくても構文力があればそれをカバーできる、ということが分かると思います。

 

パラフレーズは単語を入れ替えることだ、と思っている方は、是非この機会に、構文を入れ替えることの重要性を認識して頂きたいと思います。

 

ケースD:論理性を感じさせるパラフレーズ

最後にDを見てみます。

D: The UK also suffers the similar trend.

 

これは本来

Many car accidents also happen in the UK.

と言いたかった文章を、

UKを主語にした構文

を使ってパラフレーズしたわけですね。

 

さらに「many car accidents」を「the similar trend」と言い換えています。

この2つの表現ですが、実は、単語だけを見ると同じ意味にはなりません。

「自動車事故」と「類似の傾向」は全然違う意味の言葉ですね。

しかし、USAの文章に続いて使われたときに限っては、読者は同じことを指していると分かります。

 

Many car accidents happen in the USA.

The UK also suffers the similar trend.

 

分かりますよね。

この2つの文章が続けて使われると、パラフレーズとして成立するわけです。

これが、ケースCよりも一段上を行くパラフレーズです。

つまり論理構成を意識したパラフレーズです。

 

このパラフレーズのコツは、最初の表現を抽象化してパラフレーズするということです。

「the similar trend」というのは、「many car accidents」を抽象化しているわけですね。

逆に言うと「the similar trend」を具体化したのが「many car accidents」というわけです。

 

このようなパラフレーズが出来ると、ライティングの4つの評価基準のうち、語彙力、構文力に加えて、論理性についてもプラスの評価になります。

 

パラフレーズの4つのレベル

ということで、

A:同じ意味にならない間違ったパラフレーズ
B:単語は違うけど構文が同じパラフレーズ
C:異なる構文が使えているパラフレーズ
D:その文脈で成立する表現を使ったパラフレーズ

という4つのレベルを見てきました。

それぞれ

A:語彙面でマイナス評価
B:構文面でマイナス評価
C:構文面でプラス評価(語彙面はマイナスにならない)
D:語彙面、構文面、論理面でプラス評価

といった結果になることもお伝えしました。

 

ここで、最初に挙げた日本語のパラフレーズ例を見てみましょう。

それぞれどんなパラフレーズだったでしょう?

 

日本では銀行にお金を預けるという習慣が長く続いていた。だからこの預金という習慣が当たり前のように良いものとされていて、リスクを取ってお金を運用するというスキルが育たなかった。しかし、最近はこのお金に対する消極的な習慣が弱まってきて、積極的にお金を投資に使う人が増えている。

 

銀行にお金を預けるという習慣」「この預金という習慣」にパラフレーズしているのは、「銀行にお金を預ける」という節を「預金」という単語に置き換えているので、単語と構文の両方をパラフレーズしていますね。

「銀行にお金を預けるという習慣」「このお金に対する消極的な習慣」は言葉上では同じ意味ではないですね。しかし続けて出てくることで読者には同じことを指していることがハッキリわかります。

なので、これは「この文脈でしか使えないパラフレーズ」で、論理性を感じさせる表現になります。

「リスクを取ってお金を運用する」「積極的にお金を投資に使う」に換えているのは、主に単語のパラフレーズですね。

しかし、これもその直前に出てくる「『消極的な』習慣」という表現に対応させて『積極的に』というワードを使っているのは、論理性を少し感じさせる表現です。

 

いかがでしょうか?

「良いパラフレーズ」「悪いパラフレーズ」が理解出来てきましたか?

 

パラフレーズ症候群から脱出しろ

IELTSに取り組まれている人の大部分はまじめな方です。

まじめゆえ、参考書やネットにある情報をしっかり学んで取り込もうとされています。

 

その姿勢は大変素晴らしいものです。

 

しかし、その参考にされる情報の多くには

「パラフレーズは大事ですよ~」
「パラフレーズしましょうね」

と書かれているのですが、

「これは良いパラフレーズ」
「これはダメなパラフレーズ」

というところまでは教えてくれていません。

 

その結果、どうなるか?

 

私が添削をしている多くの生徒さんが

「ライティングではとにかくパラフレーズをしなければならない」

という脅迫観念に駆られています。

パラフレーズ症候群です。

 

そして、そのような方がまず真っ先に考えるパラフレーズが

「単語のパラフレーズ」

なのです。

一番簡単そうに見えますからね。

 

もちろん、適切にパラフレーズされていれば効果的でしょう。

しかし、残念ながら非常に多いのが、今回お示しした4つのケースのうち、ケースAで示したように、

違う意味の単語を使ってしまう
読者の混乱を招いてしまう

という単語を選択してしまう人があまりに多いのです。

 

中にはネイティブに見せても

「意味は分かるけど・・・人生で一度も使ったことが無い・・」

と言われるような希少単語をチョイスする方もいます。

読者は困惑するだけです。

あり得ません(笑)

 

そして、たまたま同じ意味、読者の混乱を招かない単語を選択できたとしても、ケースBで示したように、

同じ構文で一部の単語を変えただけ

という、ほとんど評価されないパラフレーズになっていることも多いのです。

 

私は添削をするときに、特に読者の混乱を招くようなパラフレーズをした場合は、同じ単語を何度も使う表現に修正することがあります。

そのときによく聞かれる質問が

「同じ単語を何度も使っていいのでしょうか?」

というものです。

 

こういう感覚に陥っている人多くないですか?

ザ・パラフレーズ症候群です(笑)

 

リーディングのスキミングと並び、IELTS対策業界がまじめな受験生に植え付けた罪深い意識だと思います。

 

同じ単語を何度も使っていいのか?

お答えしましょう!

 

良いんです!!

 

読者の混乱を招いたり、意味不明な文章になるよりは全くマシです。

特にキーワードになるような単語は、その表現が一般的で、変に言い換える方が不自然、というケースも多々あります。

だから、読者にとって一番分かりやすい単語を躊躇なく選ぶようにしてみて下さい。

 

そして表現力をアピールしたいなら、ケースCやケースDで示したように

構文をパラフレーズする
その文脈でしか使えない単語で言い換える

こっちで勝負していきましょう!

こっちの方が簡単な単語でもスコア面ではずっと効果的です。

 

 

ふぅ~、最後はちょっと感情が出てしまいましたね(笑)

パラフレーズという言葉があまりに独り歩きをしている現状があって、それで真面目な受験生たちが被害を被っている状況を考えて、ついついアツくなってしまいました。。。

 

ということで、今回のパラフレーズ講座はこれで終わりにします。

長文最後までありがとうございました。