文法知識が実際の英文で使えるようになるには?

こんにちは。藤本です。

こんなご質問を頂きました。

文法の勉強をしています。

参考書も読み終えましたが、あまり記憶に残っている、使えている気がしません。

どうしたら良いでしょうか。

 

文法の練習は、文法書を読んで、理解して、それで終わり、という方が非常に多いです。

しかし、文法は実際に英文を読んだり、書いたりする場面で使えなければ意味がありません。

使えるためにはどうすればよいか?

それは覚えるしかないですね。

 

文法は暗記科目です。

暗記科目と割り切って覚えていくしかないんです。

そして実際の場面でその知識が使えるようにしなければなりません。

 

ではそのように文法知識を覚えて使えるようになるにはどうすればよいか?

長年、文法と向き合ってきて、私は2つの方法にたどり着きました。

 

2つの文法トレーニング

その2つを説明しますね。

まず文法は、インプットで使う文法アウトプットで使う文法があります。

インプットは、リーディングやリスニングなど、目や耳から入ってきた英文を理解することです。

アウトプットは、ライティングやスピーキングなど、手や口を使って英文を作り出すことです。

 

このインプットで英文法の知識が使えるようになる方法と、アウトプットで英文法の知識が使えるようになる方法は別だと考えています。

では順に説明していきます。

 

インプット系の文法トレーニング

まずインプットの方です。

この場合、文法の知識を使わなければ構文が解析できないような少し複雑な構文を見て、瞬時に構文を解析するトレーニングをしていきます。

 

例えば

To cater for these local and, as time progressed, wider needs, ferries were provided across many of the streams flowing into the Humber

(ケンブリッジ12 General Training P.46)

という文章を見たときに、下線を引っ張っているandが何と何をつないでいるか分かるでしょうか?

これが分からないと文章全体の構造を見失います。

 

このときに必要なのが、「A and B」の「A」と「B」は必ず形と概念が揃っているというパラレルの原則の知識です。

この知識を知っておくと、andは

To cater for these local

as time progressed

をつないでいる、なんて解釈は出来なくなります。

だって

as time progressed

は節ですから、To cater for these localという句と対等にandでつながれていることはあり得ないわけですね。

 

このandは

localという形容詞

widerという形容詞

をつないでおり、この2つの形容詞がその後ろの名詞needsを修飾しています。

 

as time progressed

は始まりも終わりもカンマで囲まれていますから、ただの挿入句です。

 

この「パラレルの原則」というたった1つのルールを理解しておくだけで、この文章の構造はずっと分かりやすくなります。

 

そしてこのような少し複雑な構文を文法知識を使って解く練習を繰り返すと、やがてその構文や文法知識はあなたのものになって、使える知識になります。

 

アウトプット系の文法トレーニング

次にアウトプットです。

このアウトプットのトレーニングにおいて理解しておきたいのが、ライティングやスピーキングで出てくる文法ミスは2種類あるということです。

 

1つは、そのような文法ルールがあること自体知らなかったというケース

もう1つは、そのような文法ルールがあることは知っているけど、それでも間違ってしまうケース

 

例えば

(×)There is a solution to deal with the problem.

という文章があったときに間違いに気付けるか、ですがどうでしょう?

 

さっさと答えを言ってしまいますが(笑)、これは

(〇)There is a solution to the problem.

が正しい文章でした。

 

solutionの後ろにtoが置かれたとき、このtoは不定詞のtoではなく前置詞のtoで「~に対する」という意味になるわけですね。

このルールは知らない人も多いと思います。

でも、一度知ってしまえば、次からはあまり間違えないと思います。

 

これがルール自体があることを知らなかったケース。

 

ではこちらはどうでしょう?

(×)Police officer should protect citizen.

 

これはPolice officerもcitizenも可算名詞なので、「冠詞+単数形」にするか「複数形」にするかしなければなりません。

(〇)Police officers should protect citizens.

となります。

 

この

「可算名詞は、冠詞+単数形にするか、複数形にする」

というルールは、指摘されるとほとんどの人は知っています。

でも、多くの人が間違ってしまうという文法ルールです。

 

実はアウトプットの文法においてややこしいのが、この後者のパターンなのです。

「言われたら知っているけど、自分でアウトプットするときには使えていない知識」

ということです。

 

これがある限りは文法ミスはなくなりません。

でも、言われたら知っているから、それ以上勉強しようという気にならずに放置されてしまうのです。

 

ではこのタイプの文法ミスをなくすにはどうしたらよいか?

答えは、間違った英文を添削するトレーニングを繰り返すことです。

 

わざと文法ミスが含まれた英文を準備して、それを自分で修正していく作業を繰り返すのです。

そうすると、いつしか、その文法ルールが意識に染みつき、間違った英文を見ると、「気持ち悪い」と感じるようになります。

 

例えば上記の例でいうと、

Police officer

という名詞が冠詞もなく、複数形でもない、という形を見た瞬間に

「気持ち悪っ!」

と思えるようになるのです。

ここまで行くと文法ミスは撲滅出来ます。

 

教材はどう準備するのか?

インプット系、アウトプット系のトレーニングを行うために、どのように教材を準備すればよいでしょう?

 

まずインプット系に関していうと、IELTSの公式問題集を使っていきます。

公式問題集は難解な構文の宝庫です。

 

リーディングの問題を1文1文チェックしていって、一度で理解できない構文に出会ったら、その構文をノートに書き写します。

その作業をひたすら実施していきましょう。

難易度の高い英文なら、1パッセージ通しただけで、相当数の構文を抜き出すことになると思います。

 

そして、その構文を見ながら自分なりに一度で構文が取れるように何度もトレーニングしていくのです。

 

アウトプット系の間違った英文は基本的に自分で作っていきます。

 

もし、添削サービスを受けているなら、添削の課題を提出して、添削されて戻ってきた答案の文法ミスを指摘された文章だけをノートに抜き出していきます。

左側に自分が書いた間違った英文、右側に修正された正しい英文です。

 

そして、左側の間違った英文だけを見て、自力で右側の正しい英文に修正できるように何度もトレーニングを繰り返します。

 

この2つを実施していけば、インプット、アウトプットともかなり使える文法知識を身につけることができるでしょう。

 

自分でノートを作るのが面倒なら?

私が実施しているIELTSリーディング対策講座、ライティング対策講座では、お申込み頂いた方に事前テストを実施して、文法力が弱い方には、プレコースを受講頂いています。

プレコースの内容は、基本的に上記のような内容です。

リーディングなら、少し難しめの英文の構造を理解していく練習、ライティングなら、英作文を通じて、適宜添削をしていくトレーニングです。

 

リーディング対策講座、ライティング対策講座を受講していない方にも、教材を提供しています。

それがブースターパックです。

この中にある

「リーディングのための構文講座」

「ライティングのための文法講座」

は上記のようなコンセプトで練習が繰り返しできるような構成になっています。

 

リーディングの方は、公式問題集から抽出した難易度の高い構文だけをまとめています。

ライティングの方は、私が添削していてよく見かける間違った文法を含む英文を大量にまとめています。

 

もし自分でノートを作るのが面倒なら、この教材を使って時間を短縮してみてください。

IELTSブースターパック