まじめに取り組んだらスコアが下がったとき


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こんにちは。藤本です。

こんな経験がある方はいますか?

 

IELTSはそれまで独学していたが、あるスコアで伸び悩んでしまった。

そこで、ある先生について学んだ。

確かに、問題へのアプローチが大きく変わった。

さあ、これで低迷を脱出できると張り切って受験してみた。

そうしたら、何とスコアが下がってしまった。。。

 

案外、こういう人はいるかもなと思います。

特にリーディングとライティングでは、そういうことがあり得ると思います。

 

「せっかく時間とお金を使って学んだのになぜなんだ?」

と思ってしまうかもしれません。

 

人によってはそのことがきっかけで

「あの先生はダメだ」

と考えて、せっかく学んだ方法を捨ててしまうかもしれません。

 

これは、ある意味自然な反応だと思います。

学校の試験であれば、プロから学んで、まじめに取り組めば普通スコアが上がりますね。

 

でも、特にIELTSに関しては、こう考えることが、実はさらなる低迷を生んでしまうことがあります。

 

なぜか?

 

その理由を知るには、英語をマスターするメカニズムと、IELTSの試験形式の特徴を理解する必要があります。

どういうことか、説明してみたいと思います。

 

独学でスコアが低迷する理由

まず、独学でスコアが低迷する理由を考えてみます。

独学の場合、英語に対して必ずしも正しいアプローチが出来ていないことが多々あります。

 

例えば、リーディングの場合、本来は、英文を見たときに、

まず単語を認識して、

その単語の並びから構文を認識して、

最後に構文から意味を認識する

というプロセスが正しいアプローチです。

 

図式化すると

単語解釈 ⇒ 構文解釈 ⇒ 意味解釈

という感じですね。

 

例文を挙げてみます。

 

The book written by Jane says that she was born in Italy.

という文章があったときの正しい思考としては以下のようなものになります。

 

The bookは主語だな。

だから「その本は」という意味だな。

その後ろのwrittenは過去分詞だからby Janeとセットでbookを修飾しているな。

つまりThe book written by Janeまでが主語だな。

「ジェーンによって書かれたその本は」という意味だな。

次にsaysは述語だな。

「その本は伝えている」という意味だな。

その後ろにthatがあるから、これはthat節が目的語になっているパターンだな。

that節全体を指して「~ことを」という意味になるな。

that節の中身は、sheが主語、was bornが述語、in Italyが副詞だな。

「彼女はイタリアで生まれた」という意味だな。

だから全体として

「ジェーンによって書かれたその本は、彼女はイタリアでうまれたことを伝えている」

だな。

 

こんな具合ですね。

「先」に単語の構文上の役割を理解して、「後」から意味を解釈します。

 

ところが、独学の場合、構文を理解するというプロセスが抜けて、単語から直接意味を取ろうとしてしまう人がいます。

 

図式化すると

単語解釈 ⇒ 意味解釈

という感じです。

構文解釈がすっぽり抜け落ちています。

 

The book written by Jane says that she was born in Italy.

この文章を単語が出てくる順に

「本、書いた、ジェーン、言う、彼女、生まれる、イタリア」

と理解して、そこから間に入る助詞を適当に推測して

「本は、ジェーンが書いて、彼女が言ったのはイタリアが生まれたということだ」

みたいな理解をしてしまいます。

もうめちゃくちゃですね。

 

でも、こんな訳でもかろうじて「ジェーンが本を書いた」ことは理解できますね。

そしてIELTSの設問の中には、この程度の理解でも解けてしまう設問が含まれています。

 

だから本文の解釈がめちゃくちゃでも、一定のスコアは獲れてしまいます。

そもそもIELTSは選択式の設問が多いので、適当に選んでも、一定の確率で正解してしまいますしね。

 

しかし、この読み方だとスコアに限界が来るのは明白です。

 

上の例で言えば

「ジェーンはイタリアで生まれた」

という事実は正しい解釈をしたときだけ理解できます。

このように構文が正確に理解できないと正解できない設問は、単語から意味を推測する読み方だと正解できないわけです。

 

まじめに取り組むとスコアが下がる理由

さて、独学で限界を感じて、その後、先生について学んだとしましょう。

 

良い先生であれば、上記のような構文解釈に課題があることを見抜いて、きっちり構文を理解するというトレーニングをしてくれるでしょう。

そして、何とか構文解釈のスキルを身につけたとします。

 

ところが、ここで問題が起こります。

 

単語解釈 ⇒ 意味解釈

という読み方をしていたときよりも

単語解釈 ⇒ 構文解釈 ⇒ 意味解釈

の時の方が時間がかかるのです。

 

当然ですね。

1つプロセスが多いので。

慣れるまでは正しい読み方の方が時間がかかるのです。

 

ここでIELTSの試験特性が関係してきます。

時間が無限にあれば絶対に正しい解釈をしたときの方が正解率は高くなるはずです。

 

しかし、残念ながらIELTSのリーディングセクションは時間制限が厳しいです。

正しい読み方をしていても、時間切れで、結局後半は答えられなかった、という事態になります。

 

これがきちんと学んでまじめに取り組んだのにスコアが下がってしまう原因です。

 

スコアが下がったときにどう考えるべきか

ここで大切なのは、正しい読み方で時間内に解けた設問に関しては、精度は上がっているという事実です。

 

確かに読解スピードが落ちたので、40問中、後半の20問はまったく目を通せず、正解率は低かったかもしれません。

しかし、時間内に解けた前半の20問は、以前よりもずっと正解率は上がっているはずです。

ただ、トータルとしてはスコアが下がったように見えるだけなのです。

 

ここで正しい読み方を放棄するとどうなるでしょう?

もちろん元の状態に戻りますので、スピードは上がるかもしれませんが、精度は低いまま低迷を続けることになります。

 

これが学びのジレンマともいうべき状態ですね。

 

この低迷を脱する唯一の方法は、正しい読み方を放棄することなく、そのスキルを磨き、精度とスピードを両立させることでしかありません。

 

「結果が出ないからやめた」

というのは、この場合、とてももったいない選択なのです。

 

ライティングも同じ構造

同じことがライティングにも言えます。

 

独学で、見よう見まねでライティングを書いていたとします。

このとき、英文的には決して精度は高くない状態ながら、スピードを高めることができて、ひとまず時間内には書けるようになったとします。

その場合、内容的にはエラーが多いものの、とりあえず文章全体が形になっているということで、一定のスコアはもらえるかもしれません。

しかし、エラーの多さが解消されない限りは、スコアは一定の水準で低迷します。

 

ここで、先生に学んで、自分のエラーを指摘してもらい、正しい英文が書けるようになったとします。

しかし、最初は、エラーに気をつけながら英文を書いていくので、スピードはむしろ落ちます。

場合によっては時間内に書き終われない、という事態が発生します。

その結果、むしろスコアは下がる、ということになるかもしれません。

でも時間内で書いた箇所の精度は以前よりも上がっていることでしょう。

 

ここで、せっかく学んだ内容を放棄して元の書き方に戻るのは最悪な選択です。

 

リーディングと同様、ここで必要なのは、精度とスピードを両立する努力です。

その2つが両立できるようになったとき、低迷していた水準を突破できるようになるでしょう。

 

正しいアプローチの見極め方

ということで、リーディングとライティングに関しては、せっかく正しい努力をしていても一時的にスコアが下がる可能性がある、ということは理解頂けたでしょうか?

 

ちなみにリスニングとスピーキングに関しては、時間制限がないに等しいので、このような問題は起こりにくいです。

当日のコンディションとか問題の難易度でスコアの上下はあるかもしれませんが、基本的に正しい方向で努力すればするほどスコアは上がります。

 

しかし、リーディングとライティングは時間制限があるが故に、精度を高めた場合、スピードが鈍り、その分スコアが下がることがある、ということです。

だから正しいアプローチをしてくれる先生に出会えた場合は、その教えを忠実に守りながら、スピードを高める努力をすることが大事です。

せっかくの教えを、1回スコアが下がったから、という理由で放棄するのは、それこそ時間とお金の無駄になります。

 

もちろん、上記の話は、その先生が正しいアプローチを教えてくれた場合の話です。

 

正しいアプローチかどうかは、「精度」を重視したアプローチかどうかが見極めのポイントです。

「精度」を軽視したテクニック、例えば「スキミング」とか「スキャニング」といったアプローチは、すでに精度が十分な人にとっては考えうる戦略かもしれませんが、それ以前に精度が低い状態の人にとっては、決して正しいアプローチではありません。

 

その部分はしっかり見極める必要はありますが、正しいアプローチであれば、その教えをしっかり守るようにしてみてください。

 

まとめ

まとめます。

 

  • 独学の場合、精度が低いままスピードを高めるので、一定水準でスコアが低迷する
  • 良い先生に学んだ場合、まず精度を高めるアプローチに変えるのでスピードが落ちて、時間制限があるリーディングとライティングは一旦スコアが下がる可能性がある
  • スコアが下がっても、精度を放棄しないことが重要。精度とスピードを両立させる努力を行った場合、スコア低迷を脱することができる

 

ということで、スコアが低迷している方、下がった経験がある方、是非参考にしてみてくださいね。