こんにちは。藤本です。
リーディングでよく
「一文一文の意味は分かるけど、全体で何の話だったかがよく分かりません」
というお声を聞きます。
これはリーディング時に、出てきた情報をただ受け身的に理解しようとしているからそうなるんですね。
私がリーディング対策講座で、よく強調する話なのですが、リーディングは出てきた情報を受け身的に読んでいるだけだと、なかなか全体像が頭に入りません。
そうではなく能動的に、次に何が出てくるかを予測しながら読むと、全体像が頭に残りやすくなります。
とはいえ、いきなり先を予測しろと言われても、手掛かりもなく予測はできないと思います。
そこで、今回は英文の中でも比較的その先の展開が予測しやすい形を3つご紹介します。
是非今後リーディングをするときは、この構造に着目して、次を予測しながら読んでみて下さい。
リーディングの理解が一段深くなります。
今回ご紹介する3つの形とは以下のパターンです。
1.主張の後には「Why」か「How」
2.疑問文の後には「答え」
3.いかにもな前フリの後にはその「反対」
では順に見てみましょう。
1.主張の後には「Why」か「How」
ネイティブと会話をしたときにやたらと「why?」と聞かれることはないでしょうか?
「カナダが好きなんです」「Why?」
「この本面白いよ」「Why?」
「IELTSって難しいと思う」「Why?」
日本人としては「え?この話に理由いる?」ということでもやたらと「Why?」と聞かれます。
これはなぜかというと、それが英語ネイティブの感覚だからですね。
でもネイティブもどんな会話でも常にWhyと聞くかと言えばそうでもありません。
これはあるルールがあるんですね。
それは「主張したら理由を説明しなければならない」というルールです。
ネイティブからすると、主張した場合はその後に理由の説明が続くのが当然、という感覚なんですね。
だから相手が主張だけして、理由を説明しないと「Why?」と聞かなければ気が済まないわけです。
ここで疑問に思うのは「主張とは何か?」ということですね。
これについては見分け方がいくつかあるのですが、ここでは簡単に
「主張とは主観的なことを言うこと」
と考えておきます。
「主観的なこと」の反対は「客観的なこと」なので、「客観的でないこと」は「主観的」であり、「主張」と考えます。
例えば
「彼はいつも100点を取っている」
は「客観的な事実」なので、主張ではないです。
でも
「彼はいつも高得点を取っている」
は主観的なので主張です。
違いは分かりますかね?
「彼が100点を取っている」というのは事実であり、人によって認識が変わるものではないです。
しかし、それが「高得点」かどうかというのは人によって基準が違いますね。
ある人から見ると80点は高得点かもしれませんが、別の人から見たら80点は高得点とは言えないかもしれません。
このように人によって判断が違うことが主観的であり主張である、ということですね。
この性質をリーディングで利用します。
つまりリーディングを読んでいて「主観的な主張」が来たら、その後は「Why」を説明してくれているはずです。
「Why」が既に説明済みの場合は、どうやって?どのように?という「How」という説明が来ます。
つまり、主観的な主張が書かれた後は「Why」か「How」が来ると予測して読み進めます。
例えば
「コンピュータは現代社会には欠かせない」
という一文が書いてあったら、これは欠かせないと思う人とそうでない人がいるわけだから思いっきり主観的な意見、つまり主張ですね。
なので、その後に「Why」か「How」が来ると予想します。
すると次に
「今やコンピュータを使っていない会社はない」
という一文が書かれていたとします。
この一文は一見、最初の一文と関係ない文章のように見えますが、上記のような「予想」があれば、
「この一文は最初の一文の理由を説明したものだな」
と分かりますね。
そうするとこの
「コンピュータを使っていない会社はない」
という文章は本当は
「(それはなぜかというと)今やコンピュータを使っていない会社はない(からである)」
という文章で、括弧の部分が省略されたものだと分かります。
これを予測しながら読むんですね。
そうすると
「コンピュータは現代社会には欠かせない」
「今やコンピュータを使っていない会社はない」
という2つの文章は、ただ意味もなく並んでいるわけではなくて、「主張」と「その理由」という役割をそれぞれ果たしていることが分かります。
このようにすべてのセンテンスには役割があり、その役割を意識しながら読むと
「一文一文の意味は分かるけど、全体で何の話だったかがよく分かりません」
ということが無くなる、ということです。
2.疑問文の後には「答え」
2つ目の形は疑問文です。
日本語の会話の中でも、
「昨日、すごく腹が立ったんだよね。なんでだと思う?」
という疑問文が出てきたときに、当然その理由が次に続くと期待しますよね。
それが
「ところで、明日さあ~」
という話を始めたら、さすがにツッコミますよね。
「腹が立った理由を話せよ!」
となりますね。
そう、疑問文の後ろにはその答えが来るものなのです。
リーディングも同じです。
リーディングの中にたまに疑問文が入ることがありますが、疑問文が書かれた場合は、その後ろには必ずその答えが書かれています。
それを予想しながら読む、ということです。
「川は文明を維持するのに必要か?」
という疑問文があったら、Yesか、Noかの答えが続いているはずです。
「なぜ川は文明を維持するのに必要か?」
という疑問文があったら、その理由が続いているはずです。
「川はどのように文明を維持しているのか?」
という疑問文があったら、その手段が続いているはずです。
このように疑問文があればその疑問文に対する答えが続いていると予測しながら読んでいくと、それぞれの文章の役割がよく分かります。
3.いかにもな前フリの後にはその「反対」
「押すなよ、押すなよ、絶対押すなよ!」
と来たら、それはご存知のとおり「押してくれ」という合図ですね。
文章には、本当に言いたいことはあるのに、わざとその逆を説明して、自分の主張を強調するという書き方があります。
例えば
「それは理屈では~となるはずだった」
という書き出しであれば
「でも実際はその通りではなかった」
という逆の内容が後から来ることが予想されますね。
これは「実際は~」の文章を際立たせるために敢えてその逆を最初に述べるパターンです。
「世の中では~と思われている」
という始まり方であれば
「でも実は~である」
という世の中の見方とは逆の見方があることが示されるのが常ですね。
「一見したところ~のように見える」
と書かれていたら
「しかし、実際は違う」
という最初の内容を否定する事実が後から書かれることが予想できます。
「かつては~だった」
と言えば
「でも今は昔と違って~である」
のように、かつてとは逆の状況が説明されると予想されます。
このように「世の中の一般の見解」「外見からの印象」「理論上の話」「過去の取り組み」を説明された場合は、その後にそれらとは相反する「事実」「現在」が示される、ということです。
これらを予想して読む、ということですね。
まとめ
このように英文(だけでなく日本語でもそうですが)は、上の句、下の句のように、決まったパターンの流れがあります。
それを意識して読んでいくと、その次の展開が予測しやすくなり、かつそれぞれのセンテンスの役割や、全体で何を言いたいかがよく分かるようになる、ということです。
是非、こういったパターンを意識しながら、リーディングに取り組んでみて下さい。
IELTSリーディング対策の全体像は以下でまとめていますので、ご覧になってみて下さい。