こんにちは。藤本です。
今回から何回かのシリーズで、アカデミックモジュールのライティングTask1の話をしてみたいと思います。
では、今日は概要、と言っても結構重要な内容なのですが、書いてみたいと思います。
目次
アカデミックモジュールTask1の種類
アカデミックモジュールのTask1で出るパターンとしては、
1.グラフ・表
2.地図
3.フローチャート
4.装置構造図
の4つになります。
しかし、これら4つは同じ確率で出題されるわけではなく、かなり偏りがあります。
最も多いのが、「1.グラフ・表」のパターンで、これが8割程度の出題確率となります。
8割の出題率なので、Task1は「グラフ・表」しか出ないと思って、「グラフ・表」の対策しかしていない受験生も多いようですが、2割程度は、別のパターンも出題されますので、それ以外のパターンが出た場合、何も出来ないことになります。
きちんと4つとも対策を立てておきましょう。
次に多いのが「2.地図」で、1か月に1回~2か月に1回くらいの頻度で出題があります。
3番目が「3.フローチャート」で、こちらは年に3-4回程度の割合です。
「4.装置構造図」については、2-3年に1回程度なので、ほとんどの受験生は出会うことはないでしょう。
ただし、対策無しで「4.装置構造図」を綺麗に書くのは至難の業で、問題用紙に装置構造図があると戦意喪失する人も多いと思います。
出題されたときのリスクも大きいため、対策はしておいた方が良いでしょう。
ちなみに、私の感覚では、対策さえしておけば、最も簡単に書けるのが、「4.装置構造図」です。
だから対策をしている人にとっては、「4.装置構造図」が出たらラッキーです。
アカデミックモジュールTask1の論理展開では何が見られるか?
Task1の採点基準は
Task Achievement(課題達成度)
Coherence and Cohesion(論理性とまとまり)
Lexical Resource(語彙力)
Grammatical Range and Accuracy(文法力と正確性)
の4つで見られていますが、文法とか語彙とかの当たり前のところは除いて、主に論理展開上で、特に気を付けるべきポイントを挙げてみます。
1.Overview(概略)は必須
Overview(概略)については、わざわざTask Achievementの項目で、言及があります。
適切に選ばれた内容がクリアに示されたものでなければなりません。
例えば、グラフが2つあるのに1つのグラフについてしか、Overviewの記載がないと、不足感があります。
図表から分かる大きな目立つ特徴ではなくて、重要度の低い、どうでも良いことについて書いていても、適切とは言えません。
また概略ですから、詳細な数値について述べる必要もありません。
あと、記述上では、「これからOverviewを述べますよ」と分かるように記載すべきです。
「Overall,」「It can clearly be seen that」などの書き出しがあると分かりやすいですね。
2.重要点の幅を持たせる
これは主に「1.グラフ・表」が出たときのポイントです。
重要点とは、グラフ・表を見て言える特徴です。
「順位」とか「増減」とか「類似性」とか「相関関係」とかです。
これらの特徴が1つの観点からだけでなく、複数の観点から述べられていると、スコアが上がりやすくなります。
例えば、折れ線グラフの問題が出ると、多くの方は「増減」の話、つまり数値が増えた、減った、という話に終始してしまいます。
しかし、「増減」のみで語られた内容は、とても単調でメリハリのない内容になってしまいます。
そこに、「順位はどうなのか」「類似性があるのか」などの特徴を含めることで、幅のある内容になります。
3.補足情報を前面に出し過ぎない
こちらも主に「1.グラフ・表」についてのお話です。
補足情報とは、グラフ・表で言えば、記載されている「数値」です。
補足情報はメインで語るのではなく、重要点として強調したい箇所についての「エビデンス」として説明されているとバランスが良くなります。
つまり、重要点が「主」で、補足情報が「従」の関係です。
例えば
「Aというカテゴリーの2000年の数値は100である」
と書かれても、それは補足情報が「主」になった表現です。
これはあまり評価されません。
「Aというカテゴリーの数値は、徐々に増加しており、2000年に100というピークを迎える」
という表現であれば、重要点が「主」で、補足情報が「従」になっていますね。
4.適切な順序で説明する
読者の頭がついていきやすいように、説明の順序を工夫することが大事です。
例えば、地図の説明をするときに、一番最初の文章に
「Aの南側にBがある」
と書かれていたら、読者は混乱します。
それは、そもそもAという設備があることも、そしてそのAがどこに位置しているかも分からないからです。
そのよく分からないAを勝手に基準にされて、Bを説明されても、Bのことは頭に入ってきません。
まずは、Aが何で、どこに位置しているのかを先に説明すべきです。
グラフの場合でも同じです。
「Aの数値はBの数値よりも30ほど大きい」
と言われても、Bの数値が事前に説明されていなければ、Aの数値の大きさは伝わりません。
Bの数値を先に説明しましょう。
5.適切に対比や順序を示すつなぎ表現を使う
順接のつなぎ表現は、無理に入れなくても、頭に入ってきやすいのですが、対比する内容を述べる場合は、対比のつなぎ表現を入れた方がメリハリが出ます。
例えば
「Aはこの30年間で数値が10から20に増えた。Bは同じ期間で数字が30から10に減った。」
という文章よりも
「Aはこの30年間で数値が10から20に増えた。一方で、Bは同じ期間で数字が30から10に減った。」
という方が、はるかに内容が伝わりやすいですよね。
「In contrast,」「On the other hand,」などの対比表現は、話の流れが変わるときに使えると良いですね。
また、フローチャートは、矢印の順に各ステップを説明していけば良いわけですが、そのときに順序を示すつなぎ表現をしっかり入れてあげると、順番が明確になります。
Aの次にBが来ていれば、Aの説明の後、Bの説明に入る前に「Next,」「After that,」「Following this,」などの順番を示すつなぎ表現を入れます。
AとBが同時に行われるのならば、Aの説明の後、Bの説明に入る前に「At the same time,」を使います。
AとBが二者択一的な場面なら、Aの説明を「If節」で始めた後、Bの説明を「Alternatively,」「Otherwise,」などのつなぎ表現で始めると分かりやすいです。
基本のフォーマットとは?
Task1の基本は4つのパラグラフで構成します。
第1パラグラフ:イントロダクション
第2パラグラフ:オーバービュー
第3パラグラフ:ボディ1
第4パラグラフ:ボディ2
イントロダクションは、その図表が何を示しているのかを説明します。
これは設問文のパラフレーズでOKです。
The line graph shows that ~
The diagram describes that ~
などが典型的な書き出しですね。
ワンセンテンスで1パラグラフを構成するというのは、通常はあまり見られないのですが、IELTSのTask1では過去問の模範解答を見ても、ワンセンテンスだけでパラグラフを構成しているので、気にしなくても大丈夫です。
どうしてもワンセンテンスで1パラグラフにするのが気持ち悪い人は、次のオーバービューと合わせて、1つのパラグラフにしてもOKです。
第2パラグラフはオーバービューで、図表から分かる大きな特徴を示します。
これは先ほど述べた通り、スコアに直結する大事な内容ですね。
ここも通常1~2センテンスで1パラグラフを構成します。
第3,4パラグラフがボディと呼ばれる箇所で、ここで補足情報を含めた詳細な記述をしていきます。
内容によっては3つ目のボディを作ってもOKです。
ここのポイントは、ボディの分け方です。
ボディをどのように2つに分けるかによって、書きやすさと読みやすさはだいぶ変わってくるので、ボディの分け方は、戦略的に行う必要があります。
1つ言えるのは、関連性の弱いものを1つのボディの中に詰め込むと、書きにくいし、読みにくいということになります。
関連性の強い情報同士を1つのボディに記載し、ボディの分かれ目は、区切りが良いところにします。
例えば、折れ線グラフと、円グラフの2つが示されていたとすると、よほどのことがない限りは、1つのボディを使って折れ線グラフの説明、もう1つのグラフを使って円グラフの説明をします。
1つのボディに、折れ線グラフと円グラフの一部、もう1つのボディに残りの箇所、という説明をするときは、よっぽどその2つのグラフに綺麗な関連性が見られる場合です。
Task1では、オリジナリティとか、斬新さは全く不要です。
下手に、グラフから人が読み取らないような凄いことを読み取ってやろうなんてしないでください。
とにかく書きやすさ、読みやすさを優先して、ベタな、ありふれた、典型的な、誰もが思い付くような、単純な分け方を選択するようにしてみて下さい。
最後に、Task1にConclusion(結論)は不要です。
採点基準にはConclusionに関する記載は一切ありません。
オーバービューが書けていればそれでOKです。
ということで、今日はTask1の全体像について書いてみました。
次回以降、各設問タイプに沿って、もう少し具体的に書いてみたいと思います。