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ライティング対策を合理的に進めるための方針についてまとめます。
①はじめに
ライティングにおける2つの悩み
時間が足らない
- 1つ目の悩みが「時間が足らない」というもの。
- IELTSライティングは60分でTask1とTask2の2つのエッセイを書かなければならないが、60分で2つのタスクをこなすのは大変。初受験時は最後まで書ききれないことも多い。
簡単にスコアが上がらない
- もう1つの悩みが「どれだけ努力してもスコアが上がらない」というもの。
- 何か月もかけてライティングの対策をしてきて、「今回のライティングは会心の出来だった!」と満足したものが書けても、返ってきたスコアはいつもと変わらないということが何度も続く。こちらは努力が報われる感じがないためダメージが大きい。
ライティングの誤った対策
時間が足らないからすぐに書き始める?
- 時間が足らない状況に対して「設計をせずにすぐに書き始める」受験生も多いが、これは間違った対策。
- 設計無しに書いても必ず行き詰るし、出来上がったライティングがひどいものになることも多い。内容を考えながら書いたり、書き直しになる箇所も多く、結果的に余計に時間がかかることも多い。
スコアが上がらないなら難しい単語を使う?
- スコアが上がらない状況に対して「難しい単語を使えばスコアが上がる」という対策に走る人も多いがこれも間違い。
- ライティングで6.0が取れない、6.5が取れない、という状況だとしたらその原因は「語彙力」ではなく、ほとんどが「論理性」か「文法」。
- 正確な原因を知らずにどれだけ対策してもスコアは微動だにしないことが多い。
ライティングのスコアが上がりにくい試験特性がある
ライティングのスコアが簡単に変わらないそもそもの理由
- 意外かもしれないが、ライティングはほとんど対策していなくても何かを書き上げていれば4.5取れる。多少の準備をした場合は5.0になる。つまりライティングの下限値は意外に高い。
- 一方、上限値についてはかなり厳しい。ネイティブが準備なくIELTS受験した場合でもライティングは6.5と言われる。通常の日本人受験生が取れるのはマックスで7.0。オーバーオール7.0達成している人でも実はライティングだけは6.5止まり、というケースの方が多い。
- つまり受験生の大半は5.0、5.5、6.0、6.5の4つのスコアのいずれか。この4つのスコアに初心者から上級者まで含まれるため、0.5の差はかなり大きいことが分かる。
- 従ってそう簡単に0.5上がらない仕組みになっている。
②ライティングの本質的な課題と対策の方向性
ライティングの時間が足らなくなる理由
時間がかかってしまう原因
- 大きく3つの原因がある。
- 1.設計の精度が低く、後から書き直しが多く発生している
- 2.設計自体に時間がかかり過ぎている
- 3.記述に時間がかかり過ぎている
「1.設計の精度が低く、後から書き直しが多く発生している」
- 設計を精緻に行わずに書き始めた場合、途中で中断してその先何を書くかを考えたり、一度書いた内容を書き直したりするケースが多くなる。結果的にそれが多くの時間を奪うことになる。
- Task1もTask2もいきなり書き始めるのではなくて、最初に設計を行って、どんなことを書くかを決めていく。記載時に何を書くか考える必要がほとんどないレベルまで設計で決めておくと、その後、無駄に時間を使うことがなくなる。
「2.設計自体に時間がかかり過ぎている」
- 設計内容を毎回ゼロから考えているととにかく時間がかかってしまう。
- 従って、最初から、図表の切り口のパターンや、Task2の賛成意見・反対意見のアイデアパターンを準備しておき、そこから選ぶように設計していくと時間が短縮できる。
- パターンは準備して覚えるだけでなく、実際の設問に当てはめられるようになるまで、ある程度の数稽古は必要。一定以上の数をこなしていくと、短時間で設計が出来るようになる。
「3.記述に時間がかかり過ぎている」
- 書くべき内容が決まっていたとしても、それを英語にするのに時間がかかるケースがある。こういう人の特徴として、その場でこれまで見たことも書いたこともない表現を何とか作り出そうとする傾向がある。
- ノンネイティブがゼロから英語表現を作ろうとすると、時間もかかるし、間違う確率も高くなる。そうではなく「何とか、自分が知っている範囲の表現を使って記述できないか。」と考える。そうすると、ずっと時間短縮が出来る。
- そのためには「知っている表現」をどんどん増やしていくことが大切。覚えた数が一定の分量に達すると、表現できる範囲が一気に広がっていく。
書けたと思ってもスコアが上がらない理由
自己評価と結果が一致しない原因
- 大きく2つの原因がある。
- 1.自分基準で出来たつもりになっているだけ
- 2.練習と本番の差が大きい
1.自分基準で出来たつもりになっているだけ
- 出来たつもりなのにスコアが変わらない場合、ほとんどの原因はこれ。
- たとえば「どんなに時間を使って単語を調べて書いてもいい」と言われて書いたライティングのスコアが5.5だとしたら、その人の基準は5.5ということ。だからその基準の人がどんなに会心の出来だと思っても、本番のスコアは5.5止まり。
- 「3時間かけたのだから5.5なんてことはない」と思う人も多いが、実態はかなりの割合の方が、3時間かけて書いても5.5の水準。自分で気づいていないミスや減点要素が大量にあり、それらの減点が重なってスコアが下がっている。
- 減点されるポイントを知らずに自分の基準内でどれだけ時間をかけてもやっぱり基準内のスコアしか出ない。
- このため、まずは客観的に減点されるポイントや、高いレベルの英文を知る、ということが大事。IELTSライティングの採点基準を知り、その目線で自分の英文や高いレベルの解答例を分析して、どこが減点されているのか、どうすれば評価されるのか、を理解する。
- 次に、自分の英文を客観的に評価するために添削が有効。添削の目的は「自分基準を客観基準に修正してくこと」。頭で理解している評価されるポイントを、実際に自分も実践できているかを、客観的に検証する。
- 自分の中では論理的だと思っていることでも、他人が見ると意味が伝わらなかったり、必要なことが書けていなかったり、ということが多々出てくる。あるいは自分が正しいと思う単語や構文でも、場面によっては不適切な使い方だったり、自分が知らない文法違反を犯していたり、ということも分かる。
- 添削は、特にIELTSの採点基準を知っている人にチェックしてもらうのが最終的には必要。
2.練習と本番の差が大きい
- 本番で出来たつもりなのにスコアが変わらない場合のもう1つの理由は、本番での再現力が弱いこと。練習や添削では良い結果なのに本番でスコアが安定しない場合は、こちらが主な原因。
- 特に練習と違って時間制限がある本番では、設計が不十分でロジックが甘くなったり、練習ではしないミスをしたりすることが増える。
- 再現力を高めるためには以下2つが必要。
- アイデアや表現を必要な分量覚えてストックする
- 制限時間内でアウトプットする練習をする
- 特にアイデアや表現のストックは重要で、考えたことがあるアイデアや、使ったことがある表現だけでライティングが書けるようになるとアウトプットの質が一気に安定する。
- 気をつけたいのは、1つ目の原因である自分の基準が十分に高まっていない段階で、むやみやたらと単語を覚えたり、時間制限を設けてアウトプットする練習ばかりをしないこと。
- 順番としては、まず自分基準を高めること。それらが十分高まったうえで、次のステップとしてアイデアや表現を覚えること。最後にそれらのストックを制限時間内にアウトプットできるようにすること。そうすれば、自分の感触と返ってきた結果は一致するようになる。
(「5-2)ライティングはどこで減点されるのかを理解する」に移る)

