
①3つの基礎スキルのマスター順序
「文法的理解」⇒「文脈的理解」⇒「論理的理解」の順で身につける
- 「論理的理解」は「文脈的理解」が出来ていることが前提、「文脈的理解」は「文法的理解」が出来ていることが前提。このため「文法的理解」が出来ていないのに「文脈的理解」「論理的理解」の取り組みを行ってもあまり効果がない。
②「基礎スキル1:文法的理解力」について
読み直しが発生する最大の原因
- 最大の原因は語彙力の不足と文法力の不足
- 可能性としては、「文脈的理解」「論理的理解」の不足が原因の場合もあるが、それよりも「文法的理解」の不足が原因である可能性が圧倒的に高い。
- 語彙カバレッジ98%の法則で述べた通り、理解度には語彙力が大きく影響する。そして語彙力が不足している場合は、明らかに分からない語彙で引っ掛かるので、本人も自覚しやすい。
- 一方の文法力については自身の文法力不足を自覚していない人も多い。これは全く文法を知らない状態であっても、読み取れた単語から意味を推測するような読み方で、何となく理解出来てしまう感覚があるからである。しかし、現実には文法力が不足で読み直しているケースはとても多い。
例えば以下の英文を前から返り読みせずに意味が取れるだろうか?
- Although the project, which had been initially dismissed as impractical by several experts, eventually gained international recognition, its success was largely attributed to the persistence of a small but dedicated team.
一度で意味が取れない場合、文法力が不足している可能性がある。
【構文解釈】
【Although the project, (which had been initially dismissed / as impractical / by several experts), eventually gained international recognition】, 【its success was largely attributed / to the persistence of a (small but dedicated) team】.
- 1)まずAlthoughから始まるので、この文章は従属節から始まることが分かる。従属節がどこまで続くかを意識しながら読んでいく。
- 2)直後に名詞the projectがあるのでこれがAlthough節の中の主語であることが分かる。この主語に対する述語を探しながら読んでいく。
- 3)その直後にwhichから関係代名詞節が挿入されている。ここでthe projectの述語はすぐには出てこないことを理解しつつ、which節がどこまで続くかを意識しながら読んでいく。
- 4)その後にhad been dismissedという受動態があるので、これがwhich節の中の述語であると判断する。その後、as impractical, by several experstsという2つの修飾語があって、カンマが来るので、ここでwhich節が終了することを認識する。
- 5)その後再びAlthough節の中の主語the projectに対する述語を探しながら読んでいく。すると動詞gainedが出てくるので、これがthe projectに対する述語と認定する。その後、gainedの目的語となるinternational recognitionが出てきて、カンマがあるので、ここでAlthough節が終了すると認識する。
- 6)その後、従属節に対する主節が続くことを期待しながら読んでいく。直後に名詞its successがあるため、これを主節の主語と認識する。この主語に対する述語を探しながら続きを読んでいく。
- 7)その直後にwas attributedという受動態があるので、これがits successに対する述語であると認識する。
【日本語訳】
そのプロジェクトは、当初複数の専門家に実現不可能だと退けられたにもかかわらず、最終的に国際的な評価を得たが、その成功は主に小規模ながら献身的なチームの粘り強さによるものだった。
二度読み・返り読みの頻度が減る
- 二度読み・返り読みの最大の原因が解消され、読解スピードが速くなる。
- センテンスの8割以上は理解できるようになる。
- IELTSの1つのパッセージを20分以内で最後まで読めるようになる。
リーディングスコアが6点台に安定して乗る
- センテンスの8割以上が理解できて、1つのパッセージを20分以内で読み切れるようになれば必然的にリーディングスコアも6.0以上が安定して取れるようになる。
③「基礎スキル2:文脈的理解力」について
単語も構文も分かるのに意味が分からない、という現象
- 単語も分かる、構文も分かる、直訳はできるのに、中身の意味が分からない、というケースがある。
- こういった課題は苦労する人と苦労しない人がくっきり分かれ、特に苦労しない人にとっては感覚が分かりにくい。そういう人にとっては「単語と構文が分かれば、当然意味は分かるはず」という感覚。
- しかし、実際はこのようなケースで苦労している人は割と多い。
意味が分からなくなる人の傾向
- 根底にあるのが、「英文を読むときに、その著者が伝えようとしていることを理解しようとしていない」ということ。中身を理解することを目的にするよりも、「目を動かす」「文字面を眺める」「読んだという事実を作る」ことに主眼がある。
- そのため以下のような現象が見られる。
- 単語を辞書通りの意味でしか訳せず、文脈に応じた適切な訳ができない
- パラフレーズや比喩表現が何を言い換えているのかが分からないし、分かろうともしていない
- 代名詞が指しているものが何かを理解しようとしない
- 時制、助動詞、定冠詞the、比較級のニュアンスなどを無視している
- 省略された情報を補って読もうとしない
- 結果として、日本語訳を作ることは出来ても、その日本語訳を見てどういう内容なのか自分でも分からない、ということがしばしば起こる。
逆に意味が理解できている人の傾向
- 一旦直訳したあとに以下のような修正や推測を行って、自分にとって意味が分かる内容に変換してから理解している。
- 辞書通りの訳だと意味が分からないから、前後関係から適切な訳を探す
- パラフレーズや比喩表現のままでは前後の話がつながらないから、その言葉が、それまで出てきたどの言葉を言い換えた表現なのかを考える
- 代名詞が何を指しているか分からないと、意味が理解できないから、代名詞がその前の文章の何を指しているか探す
- 前後の文脈が合わなかったり矛盾していたりするので、時制、助動詞、定冠詞、比較級などの見落としがないかを再確認する
- 意味が分からず気持ち悪いから、何か省略されている情報がないかを前後関係から推測する
”腹に落ちる”という感覚
- 意味が完全に理解できているかどうかを自分で判断するために「内容が腹に落ちているか」は極めて重要な指標。逆にモヤモヤ感が残る状態であれば完全には理解しきれていないと考えるべき。
- 腹に落ちていれば以下のような状態になる。
- 完全にスッキリと理解出来た感じがある
- 他人に向けて自分の言葉で説明できる
- 映像化してシーンが脳裏に浮かべられる
- 逆に「こう解釈したけど前後の話とつながらない」という違和感や、「こう思うんだけど合っているかな」という不安を感じる場合は、だいたい間違っていると考える。
パラフレーズが見破れるようになる
- 単語を「辞書的意味」だけでなく、「文脈的意味」で捉えられるようになると、IELTSリーディングで頻出のパラフレーズが見破りやすくなる。
引っ掛けの設問が回避できる
- 細部を見逃さずに正確なニュアンスで理解できたり、省略部分を補って読めるようになると引っ掛けの設問に引っ掛からなくなる。
情報探索系の問題に強くなる
- パラフレーズで情報を混乱させたり、引っ掛けの選択肢を作って引っ掛けさせるのは、IELTSリーディングの情報探索系問題(True/False、空欄補充、選択肢)の常套手段であるためこれらの設問の正解率を高めることにもつながる。
④「基礎スキル3:論理的理解力」について
結局全体で何が言いたかったのか
- 一文一文のセンテンスは構文も意味もよく分かる。だけど、1つのパラグラフを読み終わったときに、このパラグラフで何を論じられていたのかが全く頭に残っていない、ということはないだろうか?
- こうなると、せっかく一度読んだパッセージを、何を言いたかったのかを確認するためにもう一度読み直さなければならない。
- IELTSリーディングの時間がない場面では極めて大きなロスになる。
パラグラフ全体の内容が頭に残らない理由
- 原因は、脳のメモリが1つ1つのセンテンスを訳すことに100%使われているから。そして、時間を気にしながら、どんどん次のセンテンスを目で追っていく状態。
- このため、パラグラフ全体で何を言っているかを解釈する脳のメモリが残っていない。
パラグラフの読解速度と理解度が上がる
- トピックセンテンスを読んだ段階でのその後の展開予測の精度が高くなると、全く予測無しに受け身的に文章を読んでいくよりも読解速度が速くなり、理解の粒度も上がる。
パラグラフの概要を簡単につかめる
- 各センテンスの役割を理解しながら読めるようになると、パラグラフを一度読んだだけで全体で言いたいことが掴めるようになる。
内容理解系の問題に強くなる
- パラグラフの概要が素早く理解できるようになり、IELTSリーディングの内容理解系問題(Heading、パラグラフ選択、リストマッチング)の正解率を高めることにもつながる
⑤自力でうまくトレーニング出来ない方へ
上記の理論に従って、「文法的理解」「文脈的理解」「論理的理解」のスキルをつけるマンツーマンの講座をご用意しています。
リーディングについては、理論だけではなかなか伝わらず、実際の文章を見ながら、知識を当てはめていくのが有効です。
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IELTSリーディング対策講座
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