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IELTS対策スタートにあたり、IELTSの難易度を正確に理解することは極めて重要であり、ここを見誤ると予想以上の時間を使ってしまうケースが多いです。
①IELTSの「真の難易度」を理解する
難易度を過小評価している場合起こりやすい問題
- 「1回の受験で目標スコアを出そう」と初回受験への準備が長引き、正確な実力把握が遅れる。
- 「出願締め切り3カ月前からIELTS対策開始」など、無理な計画を立ててしまい、あとから修正せざるを得なくなる。
- 最初から十分な学習時間を確保せず、スコアが低迷し、結果的に受験期間が長くなる。
気付くのが早いほど有利
- 多くのIELTS卒業生は、複数回数受験した後で初めて「想像以上に難しい」「最初からもっと本腰を入れるべきだった」と現実を実感する。
- この現実をスタート前に受け入れ、対策に臨むことが重要。
公式スコアの説明だけでは難易度は実感できない
- IELTSではオフィシャルに各スコアの違いを以下のように表現している。
| スコア | 評価 |
| 9.0 | エキスパートユーザー |
| 8.0 | 非常に優秀なユーザー |
| 7.0 | 優秀なユーザー |
| 6.0 | 有能なユーザー |
| 5.0 | 中程度のユーザー |
| 4.0 | 限定的なユーザー |
| 3.0 | 非常に限定的なユーザー |
| 2.0 | 散発的ユーザー |
| 1.0 | 非ユーザー |
- これらの表現からスコアのレベル感や真の難易度を理解するのは困難。
- 知っておきたいのは以下のような点。
- 「問題は6.5とか7.0という水準が具体的にどの程度の難しさなのか?」
- 「このスコアを獲得するために、どれほど大きな努力が必要になるのか?」
日本人の平均点とスコアの分布
- 日本人のIELTS受験者の平均スコアと分布を見てみる。
日本人受験者の平均スコア(2023-2024年)
| リスニング | リーディング | ライティング | スピーキング | オーバーオール | |
| アカデミックモジュール | 5.9 | 6.1 | 5.7 | 5.5 | 5.9 |
| ジェネラルトレーニングモジュール | 5.9 | 5.6 | 5.7 | 5.7 | 5.8 |
日本人受験者のスコア別分布(2023-2024年)
| IELTSスコア (オーバーオール) |
アカデミック モジュール |
ジェネラルトレーニング モジュール |
| 8.0以上 | 上位2% | 上位4% |
| 7.5以上 | 上位6% | 上位9% |
| 7.0以上 | 上位15% | 上位16% |
| 6.5以上 | 上位31% | 上位29% |
| 6.0以上 | 上位54% | 上位50% |
(参考:https://ielts.org/researchers/our-research/test-statistics)
IELTS7.0は受験者の上位15%
- 注意したいのは、そもそもIELTSは受験費用も高いため、このデータの対象となっている受験者は、一般の日本人よりも学習目的が明確で、英語に本気で向き合っている「英語ガチ勢」が多い点。これらの数値は、日本人の中でも英語に関して高いレベルにある人達の中での数値である点は割引いて考えたい。
- 例えばIELTS7.0を狙うなら、これらのIELTS受験生の平均よりもさらに1.0以上高く、上位15%程度の中に入るだけの努力が必要ということ。
他の英語検定試験との比較
- IELTSの難易度をより分かりやすくするために、他の英語検定試験との比較をしてみる。
| IELTS | TOEFL iBT | TOEIC | 英検 |
| 9.0 | 118-120 | ||
| 8.5 | 115-117 | ||
| 8.0 | 110-114 | ||
| 7.5 | 102-109 | ||
| 7.0 | 94-101 | 1級 | |
| 6.5 | 79-93 | 950- | |
| 6.0 | 60-78 | 850-945 | 準1級 |
| 5.5 | 46-59 | 550-845 | |
| 5.0 | 35-45 | 400-545 | 2級 |
| 4.5 | 32-34 | -395 | |
| 4.0 | 準2級 | ||
| 3.5 | |||
| 3.0 | 3級 | ||
| 2.5 | |||
| 2.0 | 4級 |
- この比較からIELTS7.0を狙うなら、TOEICでは950以上、英検で1級程度を獲得する努力が必要であることが分かる。
- これらの検定試験の受験経験があるならばおよその難易度はつかめる。
英語以外の活動との難易度比較(主観的指標)
-
IELTSの難易度を、私の受験経験や指導経験から、英語学習以外の資格試験や活動に置き換えて主観的に比較してみる。
| IELTS スコア |
努力レベル | 他の資格で例えると | 他の活動で例えると |
| 7.5 | 一般人が辿り着ける上限 直接の知り合いにはなかなかいない |
司法試験(司法予備試験) |
個人競技で全国上位 オリンピック出場 SNSフォロワー10万人獲得 |
| 7.0 | これまでの人生で一番の努力 二度とやりたくないレベル 出来る人の方が少ない |
司法試験(法科大学院) 公認会計士 医師国家試験 |
個人競技で都道府県代表 富士山登山競争 20キロ減量 SNSフォロワー1万人獲得 |
| 6.5 | 気合いを入れた努力 常に辞めたい 出来ない人もたくさんいる |
中小企業診断士 ITストラテジスト 大型自動二輪(一発) |
学年で1位になる フルマラソン完走 10キロ減量 SNSフォロワー5000人獲得 |
| 6.0 | 通常の努力 継続・我慢はある程度必要 途中でやめたいと思う |
ファイナンシャルプランナー1級 ITコーディネータ |
クラスで3番になる 富士山登頂 5キロ減量 SNSフォロワー1000人獲得 |
| 5.5 | 手軽な努力 学習を始めてしまえば届く確率は高い むしろ学習始める壁の方が大きい |
運転免許 日商簿記3級 |
高尾山登頂 SNSフォロワー300人獲得 |
- IELTS7.0の難易度と同等の難易度としては、日本最高峰レベルの資格試験や、一生に一度経験することがあるかないか、といった活動を挙げている。
- 目標スコアが7.0であれば、それは人生で最も大きなチャレンジの一つになると覚悟し、計画的に取り組んで行くことが成功の鍵となる。
②卒業生データに見る「受験実態」
IELTS卒業生の平均データ
- IELTS卒業生22名の「受験回数」と「受験期間」の平均データを挙げてみる。
初受験からIELTS卒業まで:
- 平均13.0回受験、受験期間23.4カ月
- この22名は「学習開始時のレベル感(初心者レベル~上級者レベル)」や「目標スコア(5.0~7.5)」に大きなバラつきがあるため、以下条件を揃えた場合の平均データを示す。
初めてオーバーオール6.0を獲得してからオーバーオール6.5に達するまで:
- 平均3.4回受験、受験期間5.5カ月
初めてオーバーオール6.0を獲得してからオーバーオール7.0に達するまで:
- 平均11.2回受験、受験期間17.1カ月
- 「思ったよりも受験回数が多く、受験期間も長い」と感じたかもしれないが、これが偽らざる実態。
- この現実を受け止めることが正確な難易度理解の第一歩。これを参考に長期的な計画を立てていく。
※これらデータは、IELTS卒業生にご執筆頂いた「IELTS合格体験記」を基に算出しています。
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③IELTSスコアの伸び方
4つのスコアに受験生の7割以上が集中
- IELTSは9点満点なので各スコア帯に受験生が平均的に分布していると思われがちだが、実態は大きく異なる。
- 5.5、6.0、6.5、7.0のわずか4つのスコアに全受験生の7割以上が集中している。
日本人受験者のスコア別分布(2023-2024年)
| IELTSスコア (オーバーオール) |
アカデミック モジュール |
ジェネラルトレーニング モジュール |
| 9.0 | 0% | 0% |
| 8.5 | 2% | 3% |
| 8.0 | 4% | 5% |
| 7.5 | 9% | 7% |
| 7.0 | 16% | 13% |
| 6.5 | 23% | 21% |
| 6.0 | 24% | 20% |
| 5.5 | 15% | 16% |
| 5.0 | 6% | 9% |
| 4.5 | 2% | 4% |
| 4.0以下 | 1% | 2% |
(参考:https://ielts.org/researchers/our-research/test-statistics)

- この密集ゾーン(5.5ー7.0)にIELTS初心者から上級者までがひしめき合っている状況。0.5の差は思っている以上に大きい。
- つまり、学習をゼロから始めた場合も、5.5までは比較的早く到達できるが、以降はわずか0.5点を挙げるのにも、非常に長い時間を要する。(6.0から7.0までに平均で10回以上の受験)
- このため、勉強しても勉強しても同じスコアに留まり続ける、という状況がよく発生する。
語彙カバレッジとは
- 言語学習における成長は、直線的ではなく指数関数的に伸びる傾向がある。この現象を理解する鍵が「語彙カバレッジ」。
- 「語彙カバレッジ」とは、言語学の言葉で、読む文章に出てくる語彙のうち、どのぐらいの比率の語彙を知っているかを表した指標。例えば100語の文章中80語は知っている単語、20語が知らない単語という場合、カバレッジ80%となる。
- この語彙カバレッジに応じて文章の理解度が大きく変わる。
| 語彙カバレッジ | 理解度 |
| 98%以上 | スムーズに理解できる(1ページに3-5語の不明語) |
| 95% | ぼんやりと理解できる |
| 90%以下 | ほぼ理解できない(1センテンスに1-2語以上の不明語) |
- この数値は一般の人が考えるよりも高い数値。90%理解できていれば十分に理解できそうなものだが、実態は「ほぼ理解できない」状態。
- また、たった3%の差が「スムーズに理解できる」と「ぼんやりと理解できる」との差を生むことにも驚かされる。
成長曲線は非線形
- 単語を90%覚えても、実はほとんど成果が出ない。
- 95%になると少しずつ成果が見え始め、98%を超えた瞬間に一気に読めるようになり「成果」が現れる。
- このように語学学習は、直線的な成長ではなく、「一定レベルまではどれだけ頑張っても成果がでないが、一定レベルを超えると急激に成果が現れる」という非線形な伸び方をする。
成果を出すためのキーワードは「徹底度」
- スコアが6.0~6.5の壁で停滞しているなら、その原因はまさに「あと一歩の徹底度」の不足。
- 新しい教材に手を出すよりも、今取り組んでいることの完成度を100%に引き上げることこそが、最短で目標にたどり着くルート。
④「6.5/7.0の壁」が生まれる理由と突破方法
ほとんどの受験生がぶつかる壁
- 初受験から5.0⇒5.5⇒6.0までは順調に伸びても、ほとんどの受験生が次の6.5が取れるまで数回以上の受験を必要とする。これが6.5の壁。
- また6.5が取れるようになっても、次の7.0の壁を感じることが多い。6.0⇒6.5よりも6.5⇒7.0が獲得できるまでの期間の方がさらに長引くことが多い。
- これらの壁を感じる原因はいくつか考えられる。
原因①:正確な難易度の理解不足
- 多くの受験者は、初回受験では実力が発揮できない。緊張もあり、試験そのものに集中しにくいため。
- このため2回目の受験では、それほど準備しなくても1回目の受験よりも0.5程度高いスコアが出ることが多い。これが本来の実力。
- ここで受験者は「少し勉強すれば0.5上がる」と錯覚し、その後も同じように伸びると感じてしまう。なのでその後スコアが変わらない状態が続くと伸び悩みと感じてしまう。
- それ以降も6.5や7.0を獲得するための本当に必要な努力量を認識できず、十分な取り組み時間を投入することなく時間を過ごしてしまう。
原因②:基礎力構築を軽視
- 単語や文法などの基礎学習の徹底から逃げて、「慣れ」で伸ばそうとしていて、問題演習ばかりしていると、6.0前後で停滞することが多い。
- 確かに問題演習は「勉強している気」になれるが、特に「正解・不正解」だけを追い、なぜそういう回答になるのかを確認していないと、同じミスを繰り返すことになり、スコアは頭打ちになる。
- また、いつも感覚に頼って表現していると、ミスも多く、再現性も低いため、スコアが不安定になる。
原因③:過去の学習体験とのギャップ
- 言語学習はカバレッジが98%という閾値を超えたときに一気に成果が現れる。
- それに対して、多くの受験者がもつ学習の原体験(大学受験、資格試験など)では、90%程度の完成度で合格圏に到達できることが多い。
- IELTSの取り組みにおいてこれらの原体験と同様の徹底度(カバレッジ90%程度)で学習してしまい、6.0前後のスコアで停滞するケースが多い。
- しかし、そこから先は大学受験、資格試験時以上の取り組みが必要になってくるため、未知の領域の学習方法が分からず、伸び悩むことが多い。
対策①:専門家や経験者のアドバイス
- 「自分が考えている目標スコアの難易度」と「実際の難易度」にギャップがある場合がある。あるいは「自分が限界と思っている努力量」と「目標スコアを獲得するために必要となる努力量」にギャップがあるかもしれない。
- 未知の領域の内容を知るのに最も手っ取り早い方法が、専門家や目標スコアを獲得したことがある経験者のアドバイスを受けること。
- ネット上には「1カ月で1.0アップ」「未経験から7.0!」などの甘い情報が多いため、それらを信じたくなるが、現実はそう甘いものではないことを経験者から直接聞いて、目を覚ますこと。そして本当に必要な学習方法や努力量を正確に認識する。
対策②:基礎の徹底(98%の習慣)
- 6.5-7.0の壁を越えるために最も意識すべきは、基礎の徹底。
- 6.5以下で停滞しているということは、基礎に穴がある状態と自覚して、基礎を固めることを最優先にする。
- その際「やるべきこと」に対して95%で満足せず、98%以上で成果が出て初めて満足する、という思考を持つ。
- 例えば単語の暗記でも「8割ぐらい覚えている」という状態ではなく、「98%以上即答できる」という状態まで引き上げる。
対策③:反復トレーニングの実践
- 基礎知識も暗記して終わり、ではなく、実際にその知識を問題に対して使えるようにする(スキル化)ために実践の反復練習を行う。
- いちいち考えなくても、自然に頭が反応する、勝手に発想がそうなるようになるまで徹底して繰り返す。
- ただし、実践練習は、前提として基礎の知識があっての話。基礎力無しに練習問題ばかり解くのは本末転倒なので、順番としてはあくまで基礎知識の理解と暗記が先。
⑤超難関「7.0 each」の難易度
数年単位で取り組む壁
- 一部の超一流大学で求められる「全セクション7.0」だが、留学でIELTSのスコアが求められるケースの中でも、最難関と言える。
- 逆にこれ以上のスコアを求められるケースはほぼない。
- オーバーオール7.0を獲得できる人はそれなりにいるが、その中でも全セクション7.0をクリアしている人はごく一部。
- オーバーオール6.0⇒オーバーオール7.0に1年以上かかる人が多いが、オーバーオール7.0獲得してから全セクション7.0獲得までさらに1年程度かかることが多い。トータルで数年単位で取り組む必要がある。
本当の辛さは精神面
- オーバーオール7.0を目指しているときは「上を目指している」という成長する感覚がある。このため比較的モチベーションが続きやすい。
- 一方、「全セクション7.0」は「4つを揃える」ところに主眼がいく。これは成長というよりも、いかに失敗しないか、という感覚が強くなり、モチベーションの継続が厳しくなる。
- 「3つ揃っているが、1つだけ揃わない」という試験結果が続くことは、想像以上に精神的疲労が蓄積することになる。
7.0 eachを目指す場合
- 毎回試験で、全セクション7.0以上を狙って受験すると、限られた勉強時間を4セクションに分散させることになり、得策ではない。
- 3段階に分けてスコア戦略を考える。
第1期.1つのセクションで7.0を超える
- まず1つのセクションに集中し、7.0を獲得するための努力の量と質(コツ)を体で覚える。
- 努力の感覚がつかめると、残りのセクションでも同じ感覚で7.0を目指せる。
- 受験時も、ターゲットにした1セクションだけは7.0を超えることを目標にする。
第2期.残りのセクションも順に7.0を目指す
- 既に7.0を超えたセクションの学習は最低限に絞り、次のターゲットセクションを1つずつ重点的に対策する。
- 一点集中の原則で、1セクションずつ7.0を獲得する感覚をつかんでいく。
第3期.全セクション同時に7.0を揃える
- すべてのセクションで一度7.0が獲得できたら、最後に全セクション「同時に7.0を揃える」ことを狙う。
- それぞれのセクションでベストスコアは7.0を持っていても、そのベストスコア4つがなかなかそろってくれないのが辛いところ。1つだけが揃わない、という結果が繰り返される。この段階はとにかくメンタルがやられがち。
第3期が長引いたときの考え方
- 3セクションが7.0を越えている場合は、残り1セクションでワンスキルリテイクを利用する。
- 受験まではその1セクションに集中できるのでスコアを出せる率が高くなる。
- 受験機会はなるべく増やした方が良い。試験には運の要素もあるので、受験回数を増やすことによって、4つのセクションのスコアが揃う確率も高くなる。






