5-7)5つのステップでライティングスコアを伸ばす

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①トレーニングの全体像

ライティング7.0獲得に向けての5ステップ

ライティングで目標スコアを獲得するまでに必要な5ステップ

  • ステップ1.基本を身につける
  • ステップ2.正解を知る
  • ステップ3.仕込む
  • ステップ4.質的な基準を作る
  • ステップ5.量的な基準を作る
  • この5つのステップを、この順番通りに取り組むことが必要。ステップ1をおろそかにして、ステップ2や3ばかり取り組んでもスコアは上がらないし、ステップ4を行わずに5ばかり行ってもなかなか上がらない。

 

②ステップ1:基本を身につける

ライティングの「基本」とは「文法」

ほぼ全受験生、文法に課題を抱えている

  • このステップが必要な人は、ライティングで4つある採点基準のうち、Grammatical range and Accuracy(以下GA)で7点が獲得できていない場合
  • GAで7点が獲れていない場合は、何かしらの文法的な間違いや、不自然な言い回しが含まれていると考えるべき。IELTS受験者の90%以上は、GAで7点は獲れていない。なので、ほぼ全員がここからスタート

 

文法が重要な理由

  • 文法ミスがある場合、たとえ内容的には素晴らしい内容であったとしても、採点官に伝わらない可能性がある。
  • 採点官が内容を全く判別出来ない場合、当然Task Response(以下TR)、Coherence and Cohesion(以下CC)といった別の項目も「書けていない」という判断がされ、連動してスコアが下がってしまう。
  • 相手に伝わる英文を書く、というのは4つの採点基準すべてに共通する最低レベルの話。

 

文法力があるとはどういう状態か

  • ライティングで文法ミスをしないとは、間違った英文を書いてしまったときに自分で修正できる、ということ。
    • 可算名詞単数形で冠詞がついていない
    • 主語と述語の単複が一致していない
    • 節と節の間に接続詞がない
    • 名詞と名詞の間に前置詞がない
    • 能動態であるべきなのに受動態になっている
    • 関係代名詞の選択がおかしい
    • 比較級の使い方がおかしい、などなど
  • 読者に意味が伝わらないような英文は、見た瞬間に修正できるような、自己修正力をつける必要がある。
文法力を鍛えるトレーニング

記憶力を最大化する方法

  • 文法力を改善する最強の方法が「ライティングノート」を作ること。
  • ライティングは暗記科目。論理展開の仕方も、表現も、文法ルールもすべて暗記しておけば、本番で論理展開が不適切になったり、表現が出てこなかったり、文法ミスをする確率もずっと低いものになる。本番では覚えているものを組み合わせて、アウトプットしていくだけ。
  • その暗記が苦手な人は、能力的に暗記が出来ないのではなく、暗記のやり方が適切でない。暗記が苦手という方は、ただ眺めて覚えようとしていることが多いが、これは極めて記憶効率の悪い方法。
  • 記憶するときに覚えておきたいのは「記憶は、それを思い出そうとした回数に応じて定着する」というルール。「うーん、何だったっけ?」と思い出そうとする回数が多くなればなるほど、その内容は記憶に定着する。
  • だからライティングで必要な項目を暗記したいときも、この「思い出そうとする回数」を人工的に作っていくことが大事。それが「ライティングノート」

 

ライティングノートの書き方と使い方

  • 単語の場合は、市販の単語帳という便利なものがあって、左に英語、右に日本語訳という並びになっているので、右を手で隠して、左の単語だけを見て訳を思い出そうとすれば、「思い出そうとする回数」は自然に増えていく。
  • ところが、ライティングには残念ながら市販の「ライティング帳」なるものがないので、これを自分で作っていくのが「ライティングノート」。
  • ノートは開いたときの「左側」には覚えたい内容を、「右側」にはその答えを書く。単語帳で言うところの左側に英単語、右側に日本語訳が書かれているのと同じイメージ。
  • そして「右側」を手で隠して、「左側」だけを見て、「右側」が言えるように何度も「思い出す」トレーニングをしていく。これを繰り返すことで、ライティングに必要な内容を一網打尽に覚えてしまう、というのがこのライティングノート。

 

ライティングノートには具体的に何を書けばいいのか?

  • ライティングノートに書くのはライティングの3大課題に沿ったもの。
    • 1)設問に対するアイデアや論理展開のパターン
    • 2)覚えたい表現・構文
    • 3)添削で指摘されたスペルミス・文法ミス

 

1)設問に対するアイデアや論理展開のパターン

  • 「何を書いたらいいかのアイデアがとっさに浮かばない」「添削でやたらと論理展開上の指摘を受ける」という方にお勧め。
  • 例えばアカデミックのTask1でグラフ問題が苦手な方は、参考書やインターネット上での解答例を見ながら、どんな切り口を使って、どの数字を、どんな順番で説明しているかを研究していく。そして、ライティングノートの「左側」にはそのグラフの図形をコピーし、「右側」には解答例が使っている切り口や数値や順番などを書いていく。そしてその展開の仕方を覚えてしまう。さらに、折れ線グラフならこのパターンで展開、時系列のないテーブルならこのパターンで展開、といったいくつかのパターンに分けていくと効果的。
  • Task2では同様に、色々なテーマの設問に対して、解答例ではどんなアイデアを使っているか、どのように論理を展開しているかを研究し、ライティングノートの「左側」にはその設問やテーマを書いて、「右側」には解答例で使われているサポーティングアイデアや展開の仕方をメモしていく。パターンを積み重ねていけば、例えば「学校の制度」問題が出たら、このパターンで書こうとか、「政府の投資先」問題が出たら、このパターンで書こうなどの展開が身につく。
  • このアイデアや論理展開のパターンがつかめると、本番でかなりの時間短縮ができる。「いつも時間が足りない」という方にも有効。

 

2)覚えたい表現・構文

  • 「言いたいことが英語にならず、いつも同じ表現を使っている」「そもそも英語の表現が出てこない」という方は、この作業が効果的。
  • 1)と同様に、解答例などを見ながら使いたい表現をピックアップしていき、ライティングノートの「左側」には日本語訳を、「右側」には英文を書いていく。さらに、IETLSのライティングでは特にパラフレーズが重視されるので、同じ日本語を複数の英語表現で言い換えられるようにしておく。つまり日本語と英語を1対1で書くのではなく、1対多の形で書いていく。
  • 逆引きで複数の表現を暗記出来るようにしていくとライティングの表現がとても豊かになる。

 

3)添削で指摘されたスペルミス・文法ミス

  • 添削で指摘されたミスのうち「そんな文法ルールがあったなんて知らなかった」というレベルのミスであれば印象に残るので、次からもミスはしにくい。
  • 問題は「間違っているという指摘を受けたけど、知っているルールだった」というもの。例えば可算名詞でaが抜けていたとか、動詞に三単現のsが抜けていたとか。こういうミスは、「知っている」ということで安心してしまい、深く意識しようとしない。そうなるとまた次も同じミスをやってしまう。本当に厄介。
  • こういうミスは潜在意識のレベルで、間違っていたら気持ち悪い、と感じるまで刷り込まないとなくならない。aもなく、複数形でもない可算名詞があったら気持ち悪く思う、主語が単数なのに述語にsがついていないのが気持ち悪く思う、というレベルになって初めて削減できるミス。
  • そのためにライティングノートの「左側」には添削前の誤りを含んだ文章を書き、「右側」には添削後の修正された文章を書く。その後、右側を手で隠して、左側の文章だけを見て、正しい文章に修正していく練習を繰り返す。
  • これを繰り返すと、いつしか間違った文章を見ると「気持ち悪い」と感じるレベルになり、文法ミスやスペルミスが激減する。

 

③ステップ2.正解を知る

ステップ2.正解を知る

IELTSにおいて何が正解かを知る

  • つまり、何が評価されて、何が評価されないか、を知る
  • このステップが必要な人は、ライティングで4つある採点基準のうち、TA/TRと、CCで7点が獲得できていない場合
  • TA/TRやCCで7点が獲れていない場合は、設問で求められていることや、採点基準で必要と書かれていることが書けておらず、減点されている、ということ。
  • その場合はまずIELTSは何が求められて、どう書くのが正解なのかを知る必要がある。つまり採点基準を完全に理解する。表面的な理解ではなく、具体的にどんな書き方になると減点になるかをしっかりと頭に入れる。
  • 特にスコアが低いうち(ライティングスコア6.0以下)は、プラスを目指すよりもマイナスを減らすことが重要。マイナスを埋められていないうちに、プラスを目指しても、それは評価されない。マイナスが気にならないような文章になった後にやっとプラスを評価する、という段階に入る。
  • 巷でよく言われる、難しい単語を使うとか、複雑な構文を使う、というのは一旦後回し。そこに時間を使うなら、まずマイナス評価されている箇所を無くす方が圧倒的に先決。

 

④ステップ3.仕込む

ステップ3.仕込む

IELTSに必要な「展開パターン」と「表現」を覚える

  • このステップで目指すのは、「IELTSの設問を見た瞬間に展開パターンが思い浮かぶ」ということと、「覚えた表現だけを使って、すべてを表現できる」という状態を作ること。
  • 「展開パターン」とは、例えば以下のようなイメージ。

 

アカデミックのTask1で、時系列の折れ線グラフが出題されたときは、

「左上に位置しているデータから説明を始める」

「時系列のスタート時点のデータを説明するときに一緒に順位の説明を行う」

「その後、時系列に沿って増減の変化を説明する」

「増減の変化を説明した後に、順位の変動があればそれを同時に説明する」

Task2で「目的に対する手段の良し悪し」を問われている問題を見たときに、賛成のサポート意見であれば

「この手段は目的に対して効果的である」
「この手段は主目的以外にも副次的効果をもたらす」
「この手段を求めている人がいる」
「この手段は簡単に実施できる」

といった切り口でアイデアを述べる

  • このような展開パターンを完全に頭に入れておけば、設計時間を短縮することも出来、かつ減点の少ない展開パターンで書くことが出来る。
  • 次に「表現」は、こちらは必要なシーンに応じて、いくつかの構文と単語を取り出せるようにしておく。

例えばアカデミックTask1で円グラフが出て、シェアの表現が必要になったときにThe share/ratio/proportion of A is ~%

A account for/make up/represent ~%

~% of people belong to A

といった表現が瞬時に複数書けるように覚えておく、ということです。

Task2であれば、因果関係の表現を連発するわけですが、このときに

主節+従属節(if/when/since/because/as)

主節+副詞句(due to/by+動名詞/with/because of)

無生物主語(lead to/bring about/cause/result in)

といった表現が瞬時に複数書けるように覚えておく、ということです。

 

パターンを覚える方法

  • こういった表現はライティングノートにまとめて、一問一答形式で確認できるようにまとめていく。そして暇があれば、そのノートを見て記憶を確固たるものにしていく。
  • ライティングはその場でオリジナルで考えたような文章を書くと、ほとんどのケースで、間違いを含んでしまうか、不自然な表現になる。だからまずは間違いのない表現を覚えてしまう。そしてその「間違いのない、安全な表現」だけを使って、英文を表現する
  • Task1もTask2も、それほど複雑な表現を使う必要はない。一定量の表現を覚えてしまえば、その「安全な表現」だけを使って、すべてを表現できるようになる。

 

⑤ステップ4.質的な基準を作る

ステップ4.質的な基準を作る

質的な基準を作る

  • このステップで目標にするのが「時間さえかけて書けば7.0が出せる」という状態を作ること。
  • 多くの方が、本番で目標スコアが出ないのは時間が無いせいだ、と考えているが、実際は違う。添削などで目一杯時間をかけて書いたとしても目標スコアは出ずに6.0や6.5でとどまるケースは多い。
  • そこには以下の課題があり、どんなに時間をかけて、どんなに100点だと思う内容を書けたとしても、実は目標点には及ばない品質だったりする。
    • 自分では気付いていない文法ミスがある
    • 知らず知らずのうちにIELTSの減点ポイントに抵触している
    • 文章をオリジナルで作って、不自然な表現になっている
  • この状態で、どれだけ受験しようが、どれだけ時間内に早く書く練習をしようが、目標スコアが出ることはない。

 

自分の基準を引き上げるために

  • まず時間をかけて書いてみて、そしてその文章を添削してもらう
  • そこで、何が自分に足らないのかを冷静に見極めて、自分が目標にしているスコアのライティングとはどのような品質のものかを理解する。
  • ここで、文法が弱ければステップ1に、採点基準の理解が甘ければステップ2に、自分が覚えている表現だけですべてが書けなければステップ3に戻る。
  • そして、各ステップを万全にしたうえでステップ4で、目標スコアが添削上で出るまで繰り返す。
「ライティングで添削を受けるとき、時間を気にするべきですか?」に対する答え

添削用のライティングは時間をかけてじっくり作るのが良いのか、それとも本番同様に時間を意識して制限時間内で書くのが良いのか?

  • 結論は「時間をかけてじっくり取り組むべき」
  • 目標スコアに求められる基準を持つのが先
  • 多くの場合、ライティングのスコアが低いのは時間が足りないせいではなく、そもそも質が低いのが原因。なので、時間をかけようがかけまいが、同じスコアになることが多い。
  • この場合、添削は時間制限を意識して短い時間で書こうとしてはいけない。まずは長い時間をかければ目標スコアが取れる、という状態にすることが優先。
  • それが出来てから、制限時間内でその実力を出せるようにトレーニングする。この順番を間違えてはいけない。
  • ということで、添削に取り組むなら、まずは時間をかければ目標スコアが安定して取れるという実力を作る。制限時間を意識するのはその後。

 

⑥ステップ5.量的な基準を作る

ステップ5.量的な基準を作る

時間をかけて書いた場合は添削で7.0が出るのに、本番では7.0が出ない場合

  • ステップ4までで自分の基準はすでに目標レベルに到達しているはずなので、最後のステップはその品質を時間内で出すことだけに集中する。この段階では、制限時間内に設計し、記述していく練習を繰り返すのみ。
  • 気をつけなければならないのが、制限時間を意識するあまり、ステップ4まで積み上げてきた書き方が崩れてしまうケース。時間を意識して、オリジナルの文章を書いてみたり、展開パターンを無視した書き方になってしまったりすると、かえって目標は遠のく。あくまでステップ4まで積み上げてきた方法に固執して、時間だけを短時間化していく。

 

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