5-2)ライティングはどこで減点されるのかを理解する

IELTS完全対策マニュアルトップページに戻る

「5-1)合理的なライティング対策を実施する」に戻る

①ライティングスコア別の壁

ライティング6.0の壁の正体

ライティング6.0の壁の正体

  • ライティング対策を始める方の多くは5.0-5.5ぐらいからのスタートになる。
  • この段階で添削をしてみると1つのタスクで合計20-40カ所ぐらいの指摘が入る。ほとんど1センテンス書くごとに1-2個の指摘が入るイメージで、書けば書くほど減点ポイントを増やしている状態。
  • 6.0が取れない方の多くは、本人がびっくりするぐらいツッコミどころがある英文を書いている。まずここを自覚すること。ここが自覚できていないと、間違った考え方でライティング対策をしてしまう。
  • 典型的な間違いが「難しい単語を使えばスコアが上がる」というもの。
  • スコア5.0-5.5の段階ではそんな対策は必要ない。スコア5.5以下の場合、指摘の5-6割ぐらいが文法の指摘になる。文法がまずいと文章の意味が読み手に伝わらない。このため、せっかくいい内容を書いていたとしても伝わらず、評価がゼロになる。だから、この伝わらない英文を書いている段階で小難しい単語を使っても意味がなく、下手すると余計に意味が伝わらなくなる。この段階は文法的に正しい文章を書く、ということが最優先。
  • IELTSライティングで6.0に届かない方のもう1つの壁がエッセイの構成。英文には決まった構成がある。日本語話者にとっては分かりにくいが、英語ネイティブたちは、子供時代から徹底的にこの構成で英文を書くことを求められている。なので、ネイティブが書く英文は、判で押したように同じ構成。この構成に沿っていないとネイティブにとってはすごく違和感ある英文になる。
ライティング6.5の壁の正体

ライティング6.5の壁の正体

  • ライティング6.0の場合もまだ時制、冠詞、単複などの細かいミスは多く残っている。
  • しかし5.5以下のような1センテンスに1-2個というペースではなくて、2センテンスで1箇所ぐらいのペースに落ちるので、読み手にとってずっと意味が捉えやすくなる。
  • 残ったミスは地道に減らしていく必要があるが、それ以外の壁もある。
  • 6.0には届くけど6.5に届かない方が課題になるのは「文章の滑らかさ」。逆に言うと6.0のライティングは「ぎこちなさ」を感じる。
  • このぎこちなさの正体は「日本語の直訳」感。

 

例えば「政府がたばこの広告を規制したことがそれまで煙草を吸っていた国民を健康にさせた。それは結果的に国の発展をもたらした。」

と言いたいときに

The government’s regulated the advertisement of tobacco, and it made people who were smoking healthy. It brought the development of the country.

という英文になるが、これは文法的に正しくても、割と日本語直訳という感じであまり滑らかさを感じない。

よりアカデミックかつフォーマルかつ自然な英文にするとこうなる。

Government restrictions on tobacco advertising led to better public health among former smokers, ultimately facilitating the nation’s development.

 

②ライティングTask1の減点ポイント

設問に対する理解力・回答力(Task Achievement)アカデミック

1)適切な文字数で書けていない

  • 文字数が指定された最低文字数150ワードに到達していない

 

2)適切なフォーマットを使っていない

  • 同一パラグラフの中に改行を入れている
  • パラグラフを分けるときに改行だけしていて1行空けていない
  • 箇条書きを入れている
  • 疑問文を入れている

 

3)図表にある情報を正確、客観的、網羅的に記述していない

  • 図表にある情報(名称や数値、位置など)を明らかに間違えている
  • 図表にない情報を推測で記載している
  • 図表のどの箇所の話をしているか分からない
    (例えば、図表が2つあるときにどちらの話をしているのか分からない。グラフの中に複数のカテゴリーがあるのにどのカテゴリーの話をしているか分からない、など)
  • 図表で示された内容と時制が合っていない
    (例えば、過去の時系列のグラフで現在形で説明している、現在の地図を過去形で説明している、など)
  • 図表で示された内容と単複が一致していない
    (例えば、2つのグラフがあるのに、The graph shows ~のように1つのグラフしかないような記載になっている、など)
  • 主観的な表現を使っている
    (例えば、the number is largeなど形容詞が原形で使われている。【⇒larger、largestのように比較級・最上級であれば事実になるので客観的な表現になる】)
  • 図表にある情報が網羅的に記載されていない
    (例えば、地図で示されたもののうち、明らかに説明すべき建物の説明が抜けている、など)

 

4)イントロダクションを適切に記述していない

  • イントロダクションの記載(図表の記載内容の説明)がない
  • イントロダクションは記載されているが説明すべき重要な情報が抜けている
    (例えば、グラフで「英国で寄付をしている人の割合」が示されているのに「英国の人の割合」といった表現になっているなど)

 

5)オーバービューを適切に記述していない

  • オーバービューの記載(図表から読み取れる概要)がない
  • オーバービューの内容がどんな図表でも言える抽象的過ぎる内容になっている
    (例えば、このグラフは4カ国の様々な変化が分かる、のような内容。【⇒具体的に、どの国が増えて、どの国が減ったのかぐらいまでの説明は必要】)
  • オーバービューの内容が図の内容から見て、取るに足らない、優先度の低い内容だけを記載している
    (例えば、グラフから分かるトップのプレーヤーについては触れずに、最下位のプレーヤーだけ触れている、など)
  • オーバービューに補足情報レベルの内容が入っている
    (例えば、グラフで具体的な数値の説明が入っている、など)
  • 図表が複数ある場合、すべての図表について触れていない
    (例えば、グラフAとグラフBがあるのにグラフAにしか触れていない、2枚の地図があるのに1枚の話しかしていない、など)

 

6)重要点を適切に記述していない

  • 重要点の記載(グラフで言えば順位・増減・類似性など、地図なら記載されている施設や配置されている物、フロー図なら各プロセスの処理・変化など)が単純過ぎる
    (例えば、時系列のグラフで増減のみの説明しかしていない。【⇒順位と増減を織り交ぜながら説明をする必要がある】)
  • 重要点の記載の中に「比較」が入っていない
    (例えば、時系列のグラフで1つのプレーヤーの説明だけで終わっており、他のプレーヤーとの比較(順位・大小)がない、など)
  • 重要点の記載だけで終わっており、補足情報の説明がない
    (例えば、時系列のグラフの説明で「増えた」「減った」という説明だけしか入っておらず、具体的にどのような数値なのかの説明がない、など)

 

7)補足情報を適切に記述していない

  • 補足情報の記載(グラフで言えば具体的な数値、地図なら位置関係、フロー図なら各プロセスの順位や関係性)のみの説明になっている
    (例えば、グラフで数値の説明だけになっており、その数値が「大きい」のか「小さい」のか、「増えている」のか「減っている」のかの重要点の説明がない、など)
  • 補足情報の選択が狭すぎる、または多すぎる
    (例えば、グラフを見ていない人が、その情報を与えられるとおよそ同じグラフが再現できる程度には補足情報を説明したい)
設問に対する理解力・回答力(Task Achievement)ジェネラルトレーニング

1)適切な文字数で書いていない

  • 文字数が指定された最低文字数に到達していない

 

2)適切なフォーマットを使っていない

  • 同一パラグラフの中に改行を入れている
  • パラグラフを分けるときに改行だけしていて1行空けていない
  • 箇条書きを入れている
  • 疑問文を入れている
  • 手紙としてのフォーマットが出来ていない
    (例えば、最初に宛名を入れる、最後に自分の名前を入れる、など)

 

3)設問に沿った内容で記述していない

  • 設問の設定に合った内容になっていない
    (例えば、相手からもらった手紙に対する返事のはずなのに、こちらから出した手紙のような内容になっている、など)

 

4)手紙の目的を適切に説明していない

  • 手紙の目的が記載されていない

 

5)適切なトーンで記述していない

  • 設問内容にあったトーンになっていない
    (例えば、謝罪の手紙なのにラフなインフォーマルな文体になっている、友達への手紙なのに堅苦しいフォーマル過ぎる文体になっている、など)
  • 手紙のトーンが一貫していない
    (例えば、始まりはフォーマルなのに、突然インフォーマルな言葉遣いが入っている、など)

 

6)箇条書きの設問に対して適切に答えていない

  • 箇条書きの設問と記載内容が合っていない
    (例えば、3つある箇条書きのうち、2つにしか答えていない、など)
  • 箇条書きの設問に対して記載内容がバランスが悪い
    (例えば、3つある箇条書きのうち、2つは1行程度しか触れていないのに、残り1つは2つのパラグラフを使って説明している、など)
論理展開力(Coherence andCohesion)

1)パラグラフを適切に分割していない

  • パラグラフの分け方が、内容の関連性と合っていない
    (例えば、A国、B国の時系列のグラフを説明するのに、A国の前半はBody1、A国の後半とB国の前半・後半はBody2のように記載されている、など)

 

2)曖昧さ、重複感、矛盾のない記述をしていない

  • 論理的に必要な前提条件の記載がない
    (例えば、地図の問題で、「Aは東側にある」と書かれているが、「何から見て」東側かが分からない、など)
  • 比較対象が複数考えられるのに、その比較対象が明確でない
    (例えば、3カ国の12か月間の変化を示したグラフで、A国の5月が一番大きい、という表現は3カ国の中で一番なのか、A国の12か月の中で一番なのかが不明瞭、など)
  • 変化の表現で、変化前か変化後の説明が記載されていない
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、100上昇した、とだけ記載されていると、10から110に増加した話なのか、1000から1100に増加した話なのかが分からない、など)
  • 重複する内容を二重に記載している
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、「Aは上昇傾向にある」という説明をした後に「Aは20から40まで増加した」という説明が出てきて「上昇傾向」「増加した」が重複している、など)
  • 論理的に不要な表現が入っている
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、「Aは100から200に増加した」という説明をした後に「Aは200から300に増加した」という説明が出てくる。【⇒最初から「Aは100から300に増加した」で良い】)
  • 矛盾した説明が入っている
    (例えば、Aが一番大きい、という説明をした後に、Aは二番目に大きい、という説明が入る、など)

 

3)適切に区分して記述していない

  • 「状態」を示す表現にすべきときに、「変化」を示す表現になっている、またはその逆
    (例えば、「Aは数字を増やして一番大きな数字になった」と変化を表現したい場面で、「一番大きな数字である」といった状態を表現してしまう、など)
  • 「絶対的な表現」と「相対的な表現」を正確に使い分けていない
    (例えば、地図でAはBよりも西にある、と言いたいときに、Aは西にある、とだけ説明して、Bから見た相対的な説明になっていない、など)
  • 複数の要素を適切に分類していない
    (例えば、5か国の数字が比較されたグラフにおいて、明らかにAとBは近く、CとDとEが近い関係なのに、AとCをグルーピングして、B、D、Eをもう1つのグループとして説明する、など)

 

4)適切な順序で説明していない

  • 読者にとって分かりにくい順序で説明されている
    (例えば、フローチャートをプロセス順に説明していない、5か国の比較なのに、数字が大きい順ではなく、いきなり3番目に大きいプレーヤーから説明をしている、など)
  • 未説明のものを前提とした説明になっている
    (例えば、地図で位置の説明をするときに、Aが未説明の段階で、Bの位置はAよりも東側である、などの説明をしている、など)

 

5)つなぎ表現を適切な使用していない

  • パラグラフの書き出しが、そのパラグラフで何を説明するか分かりにくい表現になっている
  • つなぎ表現の使用が不十分
  • 使われているつなぎ表現が前後の関係から不適切
    (例えば、逆接でつなぐべき内容なのに、順接でつながれている、など)

 

6)指示語を適切に使用していない

  • 代名詞が不適切に使われている
    (例えば、itが使われているがitが指す内容が複数考えられる、itが指す内容がない、など)
  • 指示語(代名詞)が使える場面なのに指示語を使わず同じ単語を繰り返している
  • 定冠詞theが不適切に使われている
    (例えば、theを入れるべき場面でtheがついていない、theをつけるべきでない場面でtheがついている、など)

 

③ライティングTask2の減点ポイント

設問に対する理解力・回答力(Task Response)

1)適切な文字数で書けていない

  • 文字数が指定された最低文字数250ワードに到達していない

 

2)適切なフォーマットを使っていない

  • 同一パラグラフの中に改行を入れている
  • パラグラフを分けるときに改行だけしていて1行空けていない
  • 箇条書きを入れている
  • 疑問文を入れている

 

3)設問に沿った内容で記述できていない

  • 設問内容に忠実に答えていない
    (例えば、To what extent do you agree or disagree?と聞かれているのに、「どの程度」について答えていない、など)
  • 設問の前提条件や目的に沿った議論になっていない
    (例えば、ゴミを減らすためにリサイクルをすべきか、という問題で、ゴミを減らすこと以外の理由で賛成意見を述べる、など)
  • 対立点が明確になるように表現していない
    (例えば、子供はアカデミック学習に集中すべきか、職業訓練をすべきか、という問題で、アカデミック学習をサポートする意見で「将来役立つ」といった内容を記載すると、それは職業訓練のサポート意見としても成立してしまう)
  • Solution問題で、Body1で述べた内容が、そのSolutionによって解決できることが記載できていない

 

4)ポジションを適切に説明できていない

  • Introductionでポジションを述べていない
  • Conclusionでポジションを述べていない
  • IntroductionとConclusionで矛盾したポジションを述べている

 

5)結論を適切に説明していない

  • Bodyで2つの相反する見解を述べた場合、その両見解を比較した上で結論が記載できていない
    (例えば、最初のBodyでメリット、次のBodyでデメリットを述べた場合、両者を比較してメリットよりもデメリットが大きいことを説明する必要があるが、その比較が論理的に記載できていない、など)
  • 結論でBodyで述べた内容がカバーされていない
    (例えば、Cause+Effectの設問で、最初のBodyでCause、次のBodyでEffectを説明しているが、結論のパラグラフではEffectにしか触れていない、など)

 

6)サポーティングアイデアを適切に説明していない

  • サポーティングアイデアを複数挙げているが、似通った内容になっている
  • サポーティングアイデアが客観的、具体的にに述べられていない
    (例えば、子供に教育が必要な理由として、「教育が重要だから」といった主観的、感覚的、抽象的な理由を挙げている、など)
Task2で設問に合致していないパターン6選

例1:To what extentと聞かれているのに「どの程度か」を述べていない

IELTSのライティングTask2でおなじみの設問「To what extent do you agree or disagree?」

ですが、わざわざ「To what extent」とついているからにはこれに答える必要があります。

 

単に

「賛成です」
「反対です」

ではダメです。

 

同じ賛成でも

「強く賛成です」

「どちらかというと賛成です」

といった程度を含めた立場を説明しなければなりません。

 

そして、

「強く賛成です」

「どちらかというと賛成です」

では、その後の展開の仕方も変わります。

 

「強く賛成」ならひたすら賛成の理由を展開すればいいです。

反対の理由を述べる必要はありません。

 

でも「どちらかというと賛成」なら、反対する理由も分かるということなので、反対側の理由も述べつつ、最終的に賛成する理由が勝るという展開になります。

 

例2:Discussionで両方の意見をDiscussさせていない

こちらもIELTSのライティングTask2でおなじみの設問「Discuss both views and give your opinion」

ですが、ここで「both views」がディスカッションされてないとNGです。

 

このタイプの設問は、設問文の中に必ず2つの意見が書かれているのが特徴です。

例えば

Some people believe that government should support art and cultural tradition, while others argue that it should spend budget on other fields such as science and technology. Discuss both views and give your opinion.

みたいな感じです。

 

この設問なら

意見A:政府は芸術や伝統芸能をサポートすべき
意見B:政府は科学や技術をサポートすべき

という2つの意見があるわけですね。

 

この2つの意見をそれぞれのBodyで書いていきます。

1つ目のBodyでは意見Aを支持している人たちの主張
2つ目のBodyでは意見Bを支持している人たちの主張

という感じですね。

 

これが、例えば

1つ目のBodyで意見Aに対する反対意見
2つ目のBodyで意見Bに対する賛成意見

だったとしたら、どうでしょう?

 

これは一見両方の意見を説明しているように見えますが、実は、意見Aを支持している人たちの主張は一切入っていません。

「意見Aの良さ」とか、「意見Aに対する賛成意見」はどこにも入りませんね。

これだと両者の意見をDiscussしたことにはならないです。

設問に答えたことになりません。

 

例3:2 Questionsの設問を捉え違いしている

例えばThe number of cars is increasing. Describe some problems that this trend causes and suggest possible solutions.

のように2つの設問をされているのが2 Questionsです。

 

このタイプに関しては、2つの設問ともに、同じようなボリュームを使って回答していく必要があります。

通常は

1つ目のBodyで1つ目の設問に対する答え
2つ目のBodyで2つ目の設問に対する答え

を書いていきます。

 

ここまでは良いのですが、問題はその先です。

この2 Questionsは、実によく設問の捉え違いが起こります。

 

例えば上記の設問で

「車が増えている原因とそれに対する解決策」

を問われていると考えた方は要注意です。

 

これは、設問文にあるcauseという単語に引っ張られていますね。

causeは名詞と動詞があります。

名詞のcause:原因
動詞のcause:~をもたらす

ということで、この部分は動詞で使われているわけですね。

 

だから

「車が増えていることが引き起こす問題とそれに対する解決策」

としなくてはなりませんね。

 

2 Questionsタイプは、このような設問の捉え違いに注意です。

 

例4:「目的に対する手段」の問題のときに「目的」とは無関係なアイデアを使っている

例えばIn order to improve the lives of citizens, some people say that government should encourage companies to move to its area. To what extent do you agree or disagree?

という設問を考えてみましょう。

 

この設問で重要なのが

In order to improve the lives of citizens」

の部分です。

 

つまり

「市民の生活を良くする」が目的で、「政府が企業を誘致する」がその手段という関係ですね。

 

このように目的に対する手段が問われたときは、単に

手段としての良さ、悪さ

を答えるだけでは弱いです。

 

目的に対する手段の有効性

を論じていく方が設問により合致しています。

つねに目的を意識したアイデアを論じていくということですね。

 

なので、例えば

「企業を誘致するとコストがかかるから反対」

とか

「企業を誘致すると政府の税収入が増えるから賛成」

というだけでは不十分ですね。

目的である「市民の生活の向上」にどう関連するかが重要です。

 

例えば

「企業を誘致するとコストがかかり、むしろ市民サービスに使う予算が減ることになるから反対」

「企業を誘致すると税収入が増え、その分、市民サービスが充実するから賛成」

だったら目的となる「市民の生活の向上」に関連する話ですね。

 

このように「目的に対する手段の良し悪し」を問われる場合は、目的に対する効果という要素を忘れずに説明していきましょう。

 

例5:設問に変化の表現が書かれているのに「変化」ではなく「状態」として書いている

日本語は「変化」「状態」の違いが曖昧ですが、英語はその違いがハッキリしています。例えば

Nowadays, there are more and more companies where computers are used. Describe some reasons for this development and some effects it brings about.

のような設問の場合に

「企業でコンピュータが使われている理由と影響」

を述べるのか

「コンピュータを使っている企業が増えている理由と影響」

を述べるのかは大きな違いです。

 

この設問にはmore and moreという表現が使われており、これは「増えている」という表現です。

だから

「企業でコンピュータが使われている理由と影響」

と考えて、例えば理由を

「コンピュータは便利だから」

とするのはNGになります。

 

「コンピュータを使っている企業が増えている理由と影響」

と考えて

「コンピュータが昔に比べて安くなったから」

のように昔は無かったけど今はある理由にする必要があります。

 

このように変化を問われているのか状態を問われているのかの見極めは重要です。

 

例6:「欠点」と書いているのにアイデアが欠点になっていない

例えばIn some countries, government financially support universities. Do the advantages of this policy outweigh its disadvantages?

という設問だったとしましょう。

 

このような設問は、例えば

1つ目のBodyでは利点
2つ目のBodyでは欠点

といった感じで、2つのBodyを使って利点と欠点をそれぞれを書いていきます。

 

ただ、このときに「欠点」と言いつつ「欠点になっていないアイデア」が使われているケースが見られます。

 

例えば

「政府が大学に予算を使えば税金が必要になるため、結果的に納税者の負担が増える」

は欠点ですね。

欠点というのは、ゼロのものがマイナスになることです。

「納税者の負担が増える」というのは、政府が予算を使った結果として発生するマイナスの出来事なので欠点です。

 

でも、

「もし政府が大学に予算を使えば学費が抑えられるため、これまで経済的な理由で大学に行けなかった人が大学に行けるようになったはずなのに、それがなくなる」

は欠点でしょうか?

 

違いますね。

これは、プラスになったはずのものがゼロになる、ということなので、マイナスの話ではないんです。

こういったアイデアを欠点として出すと、ちょっと違う、ということになります。

論理展開力(Coherence and Cohesion)

1)パラグラフが適切に分割できていない

  • 関連が薄いトピックが同じパラグラフに入っている
  • 関連が強いトピックが異なるパラグラフに入っている

 

2)トピックセンテンスが適切に記述されていない

  • Bodyにトピックセンテンスがない
  • トピックセンテンスがそのパラグラフ全体をカバーする内容になっていない

 

3)一貫性がある展開になっていない

  • パラグラフの内容がトピックセンテンスから外れた内容になっている
    (例えば、トピックセンテンスで「メリットについて述べる」と記載しているのに、その後の内容が「メリット」の説明になっていない、など)
  • 異なるアイデアを1つのサポーティングアイデアとして扱っている
  • サポーティングアイデアが結論から説明出来ていない
    (例えば、「コンピュータは仕事を効率化する。なぜなら今やあらゆる場面でコンピュータが使われているからだ。」と説明すべきところを「今やあらゆる場面でコンピュータが使われている。だからコンピュータは仕事を効率化する。」という順序で説明している、など)
  • サポーティングアイデアで適切な展開が出来ていない
    (例えば、「理由」を説明すべきなのに「結果」で説明している、「具体例」の展開が欲しいのに抽象論で終わっている、など)

 

4)飛躍・重複・矛盾がある

  • 議論の前提条件が明確に記載されていない、因果関係が不明瞭
    (例えば、「もし政府が地方に投資をすれば地方の経済が活性化する」というべき場面で「地方の経済が活性化する」という結論だけを説明して、その前提条件の説明を忘れている、など)
  • 途中のプロセスの説明がなく、論理が飛躍している
    (例えば、「交通ルールを厳しくすれば経済が発達する」のように、一般的にはつながらない話を当然のようにつないで説明している、など)
  • 重複する内容を二重に記載している
    (例えば、「企業が広告をするおかげで、我々は買うべきものを選ぶことができる。」というべきところを「企業が広告をするおかげで我々は企業の広告を見ることが増える。その結果、企業の広告をたくさん見て、買うべきものを選ぶことが出来る。」のように、重複する内容が入っている、など)
  • 論理的に不要な表現が入っている
    (例えば、日本に限らず世界的に言える現象について、わざわざ「日本では~」のように限定的な説明をしている、など)
  • 論理的に矛盾している、ロジックがつながっていない
    (例えば、Body1では「コストがかかる」という説明をしておきながら、Body2では「コストが削減できる」といった説明をしている、など)

 

5)適切な順序で説明出来ていない

  • 読者にとって分かりにくい順序で説明している
  • 未説明のものを前提とした説明になっている

 

6)つなぎ表現を適切に使用していない

  • サポーティングアイデアの始まりが分かる書き出しになっていない
  • つなぎ表現の使用が不十分
  • 使われているつなぎ表現が前後の関係から不適切
    (例えば、逆接でつなぐべき内容なのに、順接でつながれている、など)

 

7)指示語を適切に使用していない

  • 代名詞が不適切に使われている
    (例えば、itが使われているがitが指す内容が複数考えられる、itが指す内容がない、など)
  • 指示語(代名詞)が使える場面なのに指示語を使わず同じ単語を繰り返している
  • 定冠詞theが不適切に使われている
    (例えば、theを入れるべき場面でtheがついていない、theをつけるべきでない場面でtheがついている、など)
Task2で論理的でないパターン7選

話の前提となるTask2の構成について

  • Task2は以下の4段構成で書く。
    • Introduction(第1パラグラフ)
    • Body1(第2パラグラフ)
    • Body2(第3パラグラフ)
    • Conclusion(第4パラグラフ)

 

  • Introductionの構成要素
    • 「問題提起」:何のテーマについて語るか
    • 「ポジション」:自分の立場
    • 「アウトライン」:この後のBodyで何を説明するかの予告

 

  • Bodyの構成要素
    • 「トピックセンテンス」:そのパラグラフで何を述べるかの予告
    • 「サポーティングアイデア」:トピックセンテンスで予告した具体的な中身。通常は1つのBodyの中に2つ以上述べる。

 

  • Conclusionの構成要素
    • 「ポジション」:自分の立場
    • 「理由」:なぜそのポジションなのかの理由

 

例えば「子どもは小さいうちから第2言語を学ぶべきか」

というテーマだったときに、

「学ぶべきでない意見もあるけど、どちらかというと学ぶべきという意見に賛成」

と言いたいのであれば、ざっくりと以下のような感じの構成になります。

 

Introduction(第1パラグラフ)
子どもは小さいうちから第2言語を学ぶべきという意見がある。(←問題提起)
私はその意見にどちらかというと賛成で、学ぶデメリットもあるかもしれないが、学ぶメリットがより大きい。(←ポジション+アウトライン)

Body1(第2パラグラフ)
子どもは小さいうちから第2言語を学ぶとデメリットがある。(←トピックセンテンス)
そのデメリットの1つは、初期の段階では母国語と混乱することである。なぜなら・・(以下省略)(←サポーティングアイデア1)
別のデメリットは、子どもに第2言語を学ばせるのはお金がかかることである。例えば・・(以下省略)(←サポーティングアイデア2)

Body2(第3パラグラフ)
子どもは小さいうちから第2言語を学ぶより大きなメリットがある。(←トピックセンテンス)
メリットの1つは、言語は大人になってから学ぶより習得しやすいことである。ある研究によると・・(以下省略)(←サポーティングアイデア1)
もう1つのメリットは、子どもが将来仕事をするときに選択肢が増えることである。例えば・・(以下省略)(←サポーティングアイデア2)

Conclusion(第4パラグラフ)
子どもに小さいうちから第2言語を学ばせることはどちらかというと賛成である。(←ポジション)
なぜならデメリットもあるが、それは短期的なものであり、長期的に見ればメリットの方が大きいからである。(←理由)

 

実際は、サポーティングアイデアは1文だけでなくもっと詳しく説明していきますが、ここでは省略をしています。

 

◆論理的でない例

では、理論的でない例を7つほど挙げてみます。

 

例1:サポーティングアイデアが結論から書かれていない

例えば、「子どもにゲームを販売することを禁ずるべきという意見がある。この利点は欠点を上回るか?」

という設問があったとします。

 

このとき、Bodyのトピックセンテンスで、

子どもにゲームを販売することを禁ずることは利点がある。

と書いたとしましょう。

当然、この後のサポーティングアイデアでは、禁止することの利点を説明すべきですね。

 

ところが、

子どもは楽しいものにすぐ夢中になるものである。
だからゲームがあるとそれに夢中になり、勉強がおろそかになる。
ゲームを販売禁止にすると、そのような子どもを減らすことが出来る。

のような説明をするとどうでしょう?

 

言いたい内容は分かりますよ。

でも、最初の

「子どもは楽しいものにすぐ夢中になるものである。」

は「利点」の説明ではないですね。

利点を説明するための前提条件です。

これはとても日本語的な展開の仕方です。

 

英文では結論から入る必要があります。

トピックセンテンスで

「利点がある」

と書いたのであれば、サポーティングアイデアは

「その利点とは~である」

という結論から入る必要があります。

 

ゲームを販売禁止にする利点は、勉強がおろそかになる子どもを減らせることである。
そもそも、子どもは楽しいものにすぐ夢中になるものである。
だからゲームがあるとそれに夢中になり、勉強がおろそかになるのである。

 

これならきちんと「利点の説明」という結論から入っていますね。

こんな順番で展開する必要があります。

 

例2:Body1とBody2で書かれている内容が矛盾している

例えば「学校にコンピュータを導入すべきという意見がある。どの程度賛成か、反対か」

という設問だったとしましょう。

 

このときに

Body1のトピックセンテンスで、

コンピュータを学校に導入すると利点がある。

と書いて、その後のサポーティングアイデア

コンピュータを学校に導入すると勉強する生徒が増える。

と書いたとしましょう。

ここまでは問題ありません。

 

ところがその後Body2のトピックセンテンス

コンピュータを学校に導入すると欠点がある。

と書いた上で、サポーティングアイデア

コンピュータを学校に導入すると勉強する生徒が減る。

と書いたとするとどうなるでしょう?

 

あれ?

コンピュータを学校に導入すると勉強する生徒が増える

コンピュータを学校に導入すると勉強する生徒が減る

これは完全に矛盾した言い方になりますね。

 

もしかすると書いた人の中では違うロジックで、それぞれ「増える」「減る」と言いたいのかもしれません。

例えば

コンピュータを学校に導入すると、インターネットには教科書より分かりやすいコンテンツがあるのでそれで勉強する生徒が増える

コンピュータを学校に導入すると、ゲームや勉強に関係ないコンテンツ閲覧に時間を費やし勉強する生徒が減る

と言いたかったのかもしれません。

 

だったら、それが分かるように表現すべきですね。

例えば

コンピュータを学校に導入すると、学習意欲がある生徒はますます勉強するようになる
コンピュータを学校に導入すると、学習意欲が薄い生徒は勉強しなくなる可能性がある

この表現だったら、両者は矛盾しなくなります。

 

例3:同じBodyの中で挙げられている2つのアイデアが似ている、重複している

今度は「政府は大気汚染問題解決に責任を持つべきである。賛成か反対か。」

という問題だったとしましょう。

このときに賛成側のサポーティングアイデアを2つ述べるときに

サポーティングアイデア1:政府が大気汚染問題を解決すると住民が助かる。
サポーティングアイデア2:政府が大気汚染問題を解決すると子どもが助かる。

という話を述べるとどうなるでしょう?

 

1つ目のアイデアが「住民が助かる」

2つ目のアイデアが「子どもが助かる」

これって、実質1つ目のアイデアの中に2つ目のアイデアが含まれますよね。

子どもだって住民なので。

 

もし「住民」を「子ども以外の大人」というニュアンスで言いたかったのであれば、きちんと

サポーティングアイデア1:政府が大気汚染問題を解決すると大人が助かる。
サポーティングアイデア2:政府が大気汚染問題を解決すると子どもが助かる。

と表現しましょう。

 

例4:Discussionで一方のBodyで挙げられているサポートアイデアが反対側のBodyもサポートできる内容になっている

「ある人は移動するのは電車が良いと言っている。別の人は移動するのは車が良いと言っている。両者の見解とあなたの意見を述べなさい。」という問題があったとしましょう。

このような問題は「両者の見解」を述べる必要がありますので、Body1で「電車派」の意見を説明したなら、Body2で「車派」の意見を説明しなければなりません。

 

このときにBody1のサポーティングアイデアで

電車で移動すると時間が節約できる。

と書いたとするとどうなるでしょう?

 

「時間が節約できる」というのは、何と比較しての話かが明確でありません。

例えば

「徒歩と比べて移動時間が節約できる」

という話だとしたら、これは車派でも成立してしまうことになります。

 

これマズいわけですね。

 

「両者の見解を述べて」というタイプの設問は、必ず2つの見解が出されるわけですが、一方にしかない良さを、それぞれのサポーティングアイデアの中で説明していく必要があります。

 

例えば

渋滞が激しい都心部では電車で移動する方が車よりも時間が節約できる。

だったら、「電車にしかない良さ」ということになります。

 

例5:Solution問題でBody1で挙げた内容でないものを解決している

IELTSライティングTask2では、Solution問題と呼ばれる解決策を提示する設問が出ます。このタイプの出題は、もう1つ別の設問とセットで聞かれるのが定番です。

例えば

「人口増加がもたらす問題と、その解決策を挙げなさい」

ような設問です。

この設問では、「人口増加がもたらす問題」について答え、さらに「その解決策」について答えなければなりません。

 

この場合、Body1で「人口増加がもたらす問題」について書いて、Body2で「解決策」を書くのが一般的です。

このときに、Body2の「解決策」をいかにBody1で挙げた「問題」に関連づけるかがポイントになります。

 

例えば

Body1の「人口増加がもたらす問題」についてのサポーティングアイデアで、

人口増加は食料不足問題をもたらす。

と書いたとしましょう。

このとき、Body2のサポーティングアイデアでは、この「食料不足問題」に関する解決策を挙げる必要があります。

 

しかし、

人口を抑制するためには子どもの数に制限を設ける。
そうすると人口増加を抑えることができる。

ようなBody1のサポーティングアイデアと関係ない解決策を挙げるのはNGです。

 

「食料不足問題」を直接解決するのであれば

農業技術を改善して、食料生産量を高める。
そうすると、人口増加による食糧不足問題を緩和できる。

であればOKでした。

 

例6:一般的とは言えないことを勝手に前提条件にして論じている

例えば「SNSが普及することに対して利点は欠点を上回るか」

という設問だったときに

Body1で欠点を述べるとしましょう。

 

このときのサポーティングアイデアで

SNSが普及すると仕事がなくなる人が出てくる。
仕事がなくなると生活できないため困る。

と書いてあったらどうですか?

 

え?

どういうこと?

って思いませんか?

 

これがよくある論理の飛躍です。

 

書いた本人の中では

SNSが普及する ⇒ 仕事がなくなる人が出る

というロジックがつながっているんですね。

でも、普通の人から見たら、これは全然つながっていません。

 

例えば

SNSが普及すると仕事がなくなる人が出てくる。
なぜなら、多くの有益な情報やスキルの上達方法が無料で入手できるようになり、情報やスキル上達法を教えて収入を得ていた人は需要がなくなるからである。

と書いてあげれば、

「ああ、なるほどね。」

となりますね。

 

このように本人の中ではつながっていることも、他人から見たら全然つながらないことはよくあります。

それをいかに文章の中で表現してあげるかが大事です。

 

ポイントは、自分と同じような背景の人に向かって書かない、ということです。

読み手も自分と同じような知識を持っていると思うと、余計なことは省略して書いてしまいます。

だから、子どもに向かって書くようにしてください。

小学5年生ぐらいの子どもが分かるように説明すると、途中の過程を省略せずに伝えることになるので、読み手に取っても分かりやすい文章になります。

 

例7:両者を比較しての結論になっていない

これはConclusionの話です。Conclusionでポジションを述べた後の「理由」の部分が大事です。

 

例えば最初に挙げた例では、以下のように書きました。

Body1:子どもは小さいうちから第2言語を学ぶとデメリットがある。
Body2:子どもは小さいうちから第2言語を学ぶより大きなメリットがある。

Conclusion:
子どもに小さいうちから第2言語を学ばせることはどちらかというと賛成である。(←ポジション)
なぜならデメリットもあるが、それは短期的なものであり、長期的に見ればメリットの方が大きいからである。(←理由)

 

ここで、Conclusionで書いた、「デメリットもあるが、それは短期的なものであり」という部分が大事なんですね。

ここが抜ける人が多いです。

 

これがないとどうなるか?

端的に書くと

デメリットがある。
一方でメリットがある。
メリットが長期的だからメリットがより大きい。

というロジックになります。

 

これって言い切れないですよね。

デメリットだって長期的かもしれないじゃないですか。

もっというと、

「デメリットもあるけど、メリットがあるからメリットの方が大きい」

と言っているのと一緒です。

デメリット、メリットの両方を挙げたのであれば、最後に、デメリット<メリット、ということを示して初めて結論が言えるわけです。

 

そのためのコツは、メリットが大きいと強調するのではなくて、デメリットが小さいと否定することです。

上記の例では「デメリットもあるが、それは短期的なものであり」という表現でBody1のデメリットを否定しているわけですね。

最後の「理由」は、Body1で述べたことを否定することだと心得ましょう。

 

④ライティングTask1、Task2共通の減点ポイント

語彙力(Lexical Resource)

1)スペリングが正確でない

  • スペルミスがある
  • 1つの単語を2つの単語に分けて表現している
    (例えば、「countryside」を「country side」と表現している、など)
  • 2つの単語を1つにまとめて説明している
    (例えば、「computer screen」を「computerscreen」と表現している、など)

 

2)適切なニュアンスの単語を選択していない

  • 異なるニュアンスの単語を混同して使っている
    (例えば、proportion、ratio、rateの違いを理解しないで同じ意味として使っている、など)

 

3)適切なコロケーションの単語を選択していない

  • 決まった組み合わせの単語を使えていない
    (例えば、the number of people increasedと表現すべきところを、people increasedと表現している、など)

 

4)重複した表現を使っている

  • 重複する意味を持つ単語を使っている
    (例えば、the number of population(populatioにthe number ofを使うと重複する), the more figure increased(moreとincreasedが重複する)といった表現を使っている、など)

 

5)適切にパラフレーズが出来ていない

  • 設問文をそのままコピーしている
  • 短い間に何度も同じ単語・言い回しを繰り返している
  • ニュアンスが異なる単語・表現にパラフレーズしている
    (例えば、最初にカテゴリーのことをsectorと表現したのに、途中からcategoryという表現を使っている、など)

 

6)口語表現・初歩的過ぎる表現を使っている

  • 口語表現・カジュアル過ぎる表現を使っている
口語表現・カジュアルな表現の例言い換え候補
lots of / tons ofmany / a number of / a great deal of
a bitslightly / somewhat
besidesfurthermore / additionally
a kind ofsome
youを主語にした表現weを主語にした表現 / 別の構文に言い換え

 

  • 初歩的過ぎる表現をフォーマルな文体で使っている
初歩的過ぎる表現の例言い換え候補
biglarge / significant / enormous
goodpositive / beneficial / desirable
badnegative / harmful / undesirable
thinkconsider

 

7)差別表現を使わない

  • 性差別的な表現を使っている
差別的な表現の例言い換え候補
businessmanbusinessperson
salesmansales representative / salesperson
policemanpolice officer
manmadeartificial / synthetic
manpowerworkforce

 

8)略称を適切に扱っていない

  • 一般的でない略称を使っている
  • 一度使用した略称を最後まで一貫して使えていない
一般的でない略称の例言い換え候補
PEphysical education
GMOgenetically modified organism
NYNew York

 

9)一般的でない表現、意味不明な表現を使っている

  • 専門的過ぎる、古典的過ぎる表現を使っている
一般的でない専門用語の例言い換え候補
commutative(数学用語:可換性の)exchangeable
occidental society(史学用語:西洋社会)western society
fauna(生物学用語:動物相)この表現は使わない
endogeneity(経済用語:内生性)この表現は使わない

 

10)抽象的過ぎる表現を使っている

  • 複数の解釈ができる抽象的な表現を使っている
曖昧過ぎる表現の例言い換え候補
someone具体的に言い借る(citizen, customer, studentなど)
something具体的に言いかえる(item, material, factorなど)
thing具体的に言いかえる(item, material, factorなど)
and so on / etc.この表現は使わない

 

11)断定表現・極端な表現・感情的過ぎる表現を使っている

  • 確実でないのに断言する表現を使っている
  • 極端な表現を使っている
極端な表現の例補足説明
controversialcontroversialは、「論争の的になる」「物議をかもす」というニュアンスで、世論を二分するような内容ならともかく、大して議論になってもいない内容で、この言葉を使うと違和感がある。
cannotcannotは強い否定の意味で、完全に出来ないと言い切れない状況であればmay not be able toなどを使うのが無難。
extremely「極端に」というのは著者の感覚であり主観的。根拠もなく主観的な表現を使うと感情的に見えて説得力が落ちる。
surprisingly「驚くべきことに」というのは著者の感覚であり主観的。根拠もなく主観的な表現を使うと感情的に見えて説得力が落ちる。

 

12)適切な強調・補足表現を補う余地がある

  • 前後の流れから強調する表現を入れる余地があるのに入っていない
    (例えば、even、onlyなど)
  • 前後の流れから補足する表現を入れる余地があるのに入っていない
文法力(Grammatical Range and Accuracy)

1)節と句のミス

  • 主語または述語が欠けた節になっている
    (× People who are living in the suburbs and have to commute to the city.など)
  • 名詞節が正しく表現されていない
    (× What he passed the examination is unbelievable.など)
  • 1つの節の中に述語が2つ以上ある
    (× The criminal carry a gun should be caught soon.など)

 

2)代名詞のミス

  • 代名詞が指すものがない、または遠すぎる
    (× We went to the restaurant. It was very delicious.など)
  • 代名詞が指すものが1つに特定できない
    (× Many factories use computers these days. They are useful for operating many tasks at the same time.など)
  • 代名詞と指すものの単複が一致していない
  • 人称代名詞と指示代名詞が使い分けられていない
    (× The scientists tried to explore the area. However, those gave up the plan for some reasons.など)
  • 人称代名詞の人称が指すものと一致していない
    (× People living in the city are tired, so we need to take a rest.など)
  • 指示代名詞の選択が適切でない
    (× Some experts have developed the Internet system. That is the most valuable asset for us.など)
  • 再帰代名詞の使用が適切でない
    (× The robots automatically stop them after they work for one hour.など)
  • it・one・thatが適切に使い分けられていない
    (× There are various kinds of crops, but the most valuable that is coffee.など)
  • one・another・other・the otherが適切に使い分けられていない
    (× There are two cars. The first one is white one. Another is black one.など)

 

3)主語・述語・補語・目的語の選択のミス

  • 主語と述語の関係に合った適切な主語・述語が選択出来ていない
    (× The number of Japan was at the top position.など)
  • 第2文型で主語=補語の関係になっていない
    (× Japan was the top position.など)
  • 主語=補語の関係になのに第2文型になっていない
    (× The percentage of Japan accounted for 50%.など)
  • 補語に使えない形容詞を補語に使っている
    (× The share of Japan was less than that of the UK.など)
  • 人が主語の時に補語に使えない形容詞を補語に使っている
    (× We are possible to go there.など)
  • 自動詞の後に目的語を置いている
    (× Japan rose the number of people.など)
  • 他動詞の直後に必要な目的語を置いていない
    (× I can choose for what I want.など)
  • 他動詞の後に目的語に置けない名詞や意味的な不適切な名詞を置いている
    (× I played a computer.など)

 

4)受動態のミス

  • 主語と述語の関係から適切な態が選択されていない
    (× The sales of the company was increased.など)
  • 自動詞を使って受動態にしている
    (× A number of accidents was occured.など)
  • 受動態がbe+過去分詞の形になっていない
    (× The city should be developed although the space limitedなど)
  • 受動態の後ろに目的語を置いている
    (× I was stolen my bag.など)
  • by+主体者の使用が不適切
    (× Developing computers by scientists is important.など)

 

5)関係詞と分詞構文のミス

  • 関係詞の先行詞が名詞になっていない、先行詞が直前にない
    (× The company created innovative products, which employed many engineers.など)
  • 関係詞の種類(関係代名詞、関係形容詞、関係副詞)が適切でない
    (× We visited the country, where we learned many things from.など)
  • 関係代名詞節の中の文章が完全な文章になっている
    (× The teacher told what we still have things in mind.など)
  • 関係詞の制限用法と非制限用法の選択が正しくない
    (× My house where I have lived for 20 years is 10 minutes’ walk from the place.など)
  • 分詞構文の意味上の主語が主節の主語と一致していない
    (× Using the machines, some problems were found.など)
  • 付帯状況、独立分詞構文の形が正しくない
    (× The shape of the line graph is like a mountain , with hitting the peak in the middle.など)

 

6)単複のミス

  • 可算名詞が冠詞もなく複数形でもない
    (例えば、system、area、trend、problemなど)
  • aと複数形が同居している
  • 不可算名詞を複数形にしている、または冠詞aがついている
    (例えば、funiture、space、hosuework、foodなど)
  • 慣用的に複数形になる名詞が単数形で使われている
    (例えば、suburbs、means、speciesなど)
  • 集合名詞の単複の扱いが適切でない
    (例えば、the policeは複数扱い、familyは内容によって単数扱い・複数扱いが変わるなど)
  • 主語と述語の単複が一致していない
  • 形容詞・指示代名詞と直後にある名詞の単複が一致していない
    (× I am one of Takashi’s brother.など)
  • 文脈から不適切な単複を選択している
    (× All people in the place are a male.など)

 

7)接続詞と接続副詞のミス

  • 節と節、句と句、単語と単語を接続詞なしでつないでいる
    (× The figure for Russia was 1,500, this was the largest among all the countries.など)
  • 接続副詞を接続詞の代わりに使っている
    (× The number of Japan was the largest at the beginning, however, it decreased after that.など)
  • 接続詞が二重に使われている
    (× Although the figures showed a rise in 1980, but a slight fall was seen in the next two decades.など)
  • 従属節だけの単独の節がある
    (× This product must be selling well. Because it is not expensive but has high quality.など)
  • 文頭にAnd, Butを使用している
  • 3つ以上の要素を並べるときに、A, B, …, and Cの形になっていない
    (× The factory buys raw materials and processes them and ships the final products.など)
  • 使用している接続詞・接続副詞が内容と合っていない
    (× Although Japan was in the top position, the USA was in the second place.など)

 

8)比較構文のミス

  • 比較級・最上級がある形容詞・副詞でmore/mostを使っている
    (× These inventions help our life more healthy.など)
  • more/lessの位置が適切でない
    (× If the city constructs new hotels, visitors would go there more than before.など)
  • 比較級を使っていないのにthanを使っている
    (× Smart phones become popular these days than in the past.など)
  • rather than / compared withを不適切に使っている
    (× Sleeping time for adults is usually short compared with that for children.など)
  • as – as構文が不適切になっている
    (× This school has three times as more students as other schools in the area.など)
  • than・asの後の比較対象の表現が正確でない
    (× The contribution of biologists is greater than historians.など)
  • the+比較級, the+比較級の表現が適切でない
    (× The less we exercise, the more risk of illness.など)
  • 最上級にtheがついていない
  • 最上級の比較対象が適切でない
    (× Sydney is the sunniest city in the three cities.など)

 

9)パラレル構文のミス

  • パラレルの関係にある単語・句の形と概念が合っていない
    (× The highest number is recorded both in Tokyo and London.など)

 

10)時制のミス

  • 前後関係から時制が適切でない
    (× The number has decreased from 1990 to 2010.など)
  • 完了形がhave/had+過去分詞の形になっていない
    (×  I have already spend all my money.など)
  • 時、条件を示す副詞節の中で未来形を使っている
    (× When companies will invest in the education of employees, the possibility of success would increase.など)

 

11)使役構文のミス

  • 使役動詞の構文が適切でない
    (× The professor helped students teach the subject.など)
  • 「~に~をさせる」の構文ができていない
    (× Residents allowed the visitors entering the residential areas.など)
  • 「~をさせない」「~を妨げる」の構文ができていない
    (× Police officers with guns can prevent criminals to commit crimes.など)

 

12)イディオム・慣用表現のミス

  • イディオム・慣用表現が正確でない
    (× UK population slightly increased over the period between 1900 to 1950.など)

 

13)意味上の主語のミス

  • 副詞句の意味上の主語と主節の主語が一致していない
    (× By preparing from several weeks before, the event was held successfully.など)
  • 等位接続詞でつないだ2つの節で主語が違うのに省略している、または同じ主語なのに重複して記載している
    (× The Internet was developed a few decades ago and currently use it in various fields.など)

 

14)不定詞と動名詞のミス

  • to不定詞、in order toの後ろが動詞の原形になっていない
  • 前置詞のtoを不定詞のtoと間違えている
    (× Using vehicles leads to increase CO2 in the atmosphere.など)
  • 動名詞と不定詞の選択が不適切
    (× They suggest to construct tall buildings in the city center.など)
  • 主語+be動詞+形容詞+to不定詞の構文が適切でない
    (× He is easy to access the place.など)
  • 形容詞的用法の使用が正しくない
    (× Computers to learn history was introduced.など)

 

15)単語の品詞のミス

  • 名詞と動詞を間違えている
    (例えば、apologyとapoligize、saleとsell、successとsucceedなど)
  • 名詞と形容詞を間違えている
    (例えば、convenienceとconvenient、illnessとill、obesityとobeseなど)
  • 形容詞と動詞を間違えている
    (例えば、extinct、equalなど)
  • 形容詞と副詞を間違えている
    (例えば、downwardとdownwards、indoorとindoors、secondaryとsecondlyなど)
  • 前置詞と他の品詞を間違えている
    (例えば、across、insideなど)

 

16)同格・挿入のミス

  • 同格の表現が適切でない
    (× We know many cases that tourists are involved in troubles.など)
  • such asの使い方が不適切
    (× Children play outside such as baseball, basketball, and soccer.など)
  • 同格の挿入句が同格の関係になっていない
    (× In the supermarket, meat is packed in two types, plastic bags and paper boxes.など)

 

17)形容詞のミス

  • 名詞に対して適切な形容詞が使われていない
    (× This city enjoys more than twice as many sunshine hours as does London.など)
  • 形容詞になれない名詞を形容詞的に名詞の前に置いている
    (× The technology has increased famers income.など)
  • 複数の形容詞が1つの名詞を修飾するときの形容詞の順序が不適切
    (× The coach divided members into different five age groups.など)
  • 形容詞の位置が適切でない
    (× Government should put priority on the old buildings’ preservation project.など)
  • 名詞と形容詞の主従関係が適切でない
    (× The northern side of the station was replaced with a new shopping mall.など)
  • 名詞句なのに、形容詞しか使われてない
    (× 10 years ago, we lived in the rural.など)
  • mostとmost of the、manyとmany of the、someとsome of the、allとall of theを混同している
    (× These days, most of people use the Internet.など)

 

18)副詞のミス

  • 形容詞・動詞を修飾する単語が副詞になっていない、名詞を修飾する単語が副詞になっている
    (× This car is known as a vehicle in order to run on bad roads.など)
  • 副詞句になる名詞に前置詞をつけている
    (× Children stay longer with computers and TV at these days.など)
  • 動詞に余計な副詞をつけている
    (× Population in Japan is falling down.など)

 

19)助動詞のミス

  • 助動詞が必要な箇所で助動詞が使われていない
    (× As a solution to the traffic congestion problem, government imposes heavy tax on drivers, soon.など)
  • 助動詞の後の動詞が原形になっていない、助動詞の後でないのに原形になっている
  • 文脈に合った適切な助動詞が使われていない
    (× The improvement of education will increase the creativity of the country.など)

 

20)前置詞のミス

  • 前置詞の後ろに名詞以外が置かれている
    (× I visited a stadium last week and my bag was stolen at there.など)
  • 名詞を修飾語にするときに前置詞が抜けている
    (× The number increased about 50%.など)
  • 前置詞が二重に使われている
    (× The temperature declined from at 20 degrees.など)
  • 決まり表現で適切な前置詞を使えていない
    (× The rapid rise of population brings about some problems.など)
  • 前後の関係から不適切な前置詞を選択している
    (× The building is located in the southern side of the lake.など)

 

21)冠詞のミス

  • 名詞以外に冠詞をつけている
  • 可算名詞単数形の冠詞の選択が不適切
    (a、an、theの使い分けが出来ていない)
  • 不特定の複数形・不加算名詞にtheがついている、特定の複数形・不加算名詞にtheがついていない
  • 冠詞の位置が不適切
    (× Japan has the largest figure among the all countries.など)
  • 慣用的にtheがつく単語の前に正しく冠詞がついていない
    (例えば、USA、suburbs、environmentなど)
  • 冠詞theがつく限定詞の前に正しく冠詞がついていない
    (例えば、first、top、next、lastなど)
  • 名詞の後ろに修飾語句がつくときに冠詞がついていない
    (× There are some concerns over development of tourism.など)
  • 冠詞がつかない限定詞の前に冠詞をつけている
    (例えば、another、each、someなど)
  • 可算名詞が概念化・機能化したときに冠詞をつけている
    (例えば、by+乗り物、per+単位、など)

 

22)句読点・記号・数字・大文字小文字のミス

  • 文末にピリオドがない
  • 不必要なカンマを入れている
    (× Companies which move into the regional areas, can enjoy low cost operation because, the employment cost is low there.など)
  • 必要なカンマがない(文頭の副詞の後、主節と分詞構文の間、同格・挿入句の前後)
  • 複数のandがあるのにカンマがなく区切りが分かりにくい
    (× The course consists of the research work and the project and continues for one year.など)
  • コロン、セミコロンが適切に使われていない
    (× Students should do volunteer activities , cleaning parks, taking care for elderly people, and teaching children.など)
  • フォーマルな文体でand so on, etcを使っている
  • フォーマルな文体で短縮形を使っている
  • 数字のアラビア表記とスペルアウトが適切でない
    (× Among the 3 companies , one sells more than $ twelve million and the others do less than $3 million.など)
  • 数字の後ろの桁数の単複表現、単位の表現が適切でない
    (× The machine weighs two thousands ton .など)
  • 固有名詞が大文字になっていない
    (× We took part in the meeting called Japan housing council.など)
  • 文頭の単語が大文字になっていない、文中の固有名詞以外が大文字になっている

 

23)不定詞・名詞・動名詞の優先度のミス

  • 名詞が使える場面で動名詞を使っている
    (× The town has industrialized with introducing of three major buildings.など)
  • 不定詞は副詞的用法としても解釈できる場面で形容詞的用法として使われている
    (× Companies should not introduce the expensive software to secure their data.など)

 

24)修飾語の位置のミス

  • 述語と目的語の間に副詞が入っている
    (× The town changed rapidly its appearance.など)
  • 動詞群の中で副詞の位置が不適切
    (× The policy significantly can help citizens.など)
  • 修飾するものとされるものの関係が分かりにくい
    (× Debris is checked by people on conveyer belts.など)
  • 前から読んで分かる順に情報が記載されていない
    (× The figure for Japan was 10,000 and it was the second largest number in 2010.など)

 

25)避けるべき構文を使っている

  • that節やto不定詞を使った長い主語が使われている
  • 3つ以上の節を1つのセンテンスでつないでいる
  • 入れ子の構文になっている
    (× It is argued that it is significant that children read many books.など)
  • 受動態の必要がないのに受動態にしている
  • 節で説明すべき内容を句で説明している
    (× People may suffer from health problems in the future because of the climate.など)
  • 短すぎる文章になっている
    (× The sales increased and reached the peak in 2010. The figure was 1.5 million.など)
  • 簡潔な表現があるのにわざわざ長い言い方にしている
    (× Nobody knows who first designed the oldest city in Japan , which is Kyoto.など)
  • 同じ構文を続けている
    (例えば、it is構文、there is構文が同じパラグラフに3回以上出てくるなど)

 

「5-3)IELTSライティングの取り組み戦略をマスターする」に移る

IELTS完全対策マニュアルトップページに戻る