4-6)適切なトレーニングでリーディングスコアを伸ばす

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①リーディング対策を始めるタイミング

どのタイミングからリーディング対策を始めるべきかを説明します。

リーディング対策を始めるタイミング

リーディングは4セクションの中で最初に対策すべき

  • 日本で英語教育を受けた人にとっては最もとっつきやすいのがリーディング。
  • リーディングが弱いと、リスニングの設問先読みも出来ないし、ライティング、スピーキングの設問も分からない。まずは英文が読める状態を作る

 

②公式問題集4度読み

リーディングにおいて必要な対策をまとめます。

リーディング対策は公式問題集一択

リーディング対策は公式問題集のみで良い

  • 多数の参考書があるが、公式問題集以上に本番レベルに近いものはない。よって使うべきは公式問題集一択。リーディング対策として揃えるべきものは単語集、文法書以外は公式問題集のみで良い。
  • 公式問題集は、一度解いただけで終えてしまう人がいるが、これは勿体ない。リスニング音源を何度も聞いて使い倒すように、リーディングも何度も読むことで得られるものがある。
  • ただし一度読めば何となく内容は覚えてしまうものなので、ただ問題を解くだけだと、同じ題材を繰り返し使うのはあまり意味がない。毎回、その読み方や意識の持ち方を変えながら読んでいくと良い。

 

公式問題集4度読み

  • お勧めしているのは同じ問題を4回、目的を変えて読むこと。
  • 1回目:初見の問題を本番と同じ環境で解く。
    • 目的
      • 初見の問題でも集中力を切らさず最後まで読み切るスキルを鍛える。
      • 制限時間がある中でも空読みにならないように平常心で中身を理解しながら読むスキルを鍛える。
      • 理解しにくい内容でも設問で求められる必要情報を探索することに集中するスキルを鍛える。
    • 注意点
      • 制限時間内に解き終われなかった場合は、時間を延長して継続して、何分延長すれば最後まで出来たかを確認する。
      • 1回目終了後、答え合わせをして間違えた箇所はなぜ間違えたのか、どうすれば正解を導けたのかを確認する。
  • 2回目:分からないところは調べながら精読を行う。
    • 目的
      • 正確に構文を掴むスキルを鍛える。(文法的理解
      • 文脈に合わせた単語の解釈、省略の推測を行い、腹に落ちる解釈が出来るスキルを鍛える。(文脈的理解
    • 注意点
      • 文章の先頭から読んでいって一度で構文構造が解釈できないセンテンスはノートに書き出していく。(あとで見直しを行い、一度で構文が取れるパターンを増やしていく
      • 全センテンスに対して腹に落ちる解釈が出来るまで継続する。
      • どうしても理解できないところはChatGPTに解釈を聞いたり、分かる人に確認していく。
  • 3回目:パラグラフリーディングを行う。
    • 目的
      • パラグラフ構造を意識しながらパラグラフ全体で言いたいことを掴むスキルを鍛える。(論理的理解
    • 注意点
      • パラグラフリーディングのやり方」でお伝えしたステップ1~4の順でパラグラフを解析していく。
      • パラグラフを読み終えた段階で3行程度の簡単なサマリーを作る練習を行う
  • 4回目二度読み・返り読みをせずに最後まで読み切る。
    • 目的
      • 二度読み・返り読みをしないスキルを鍛える。(3回目までで二度読み・返り読みをする理由をすべてつぶしたはずなので、4回目は一度も二度読み・返り読みをせずに読み切れるはず。もし返り読みをしてしまったらそれはただのクセ。このクセを撲滅していくのが目的。)
    • 注意点
      • 一度でも二度読み・返り読みが発生したら最初からやり直すぐらいの厳しさで臨む。
      • とはいえ、目で追うだけで中身が頭に残らない空読み状態にならないように気を付ける
      • 時間を計測しておく。二度読み・返り読みをせずに読み終えた場合、どれぐらいの時間がかかったかを把握しておく。10分以内が目安。時間を把握しておけば本番で残り時間が限られた場面でも焦ることなく平常心で読めるようになる。

 

4度読みを公式問題集3冊分行う

  • 4度読みを行う分量は公式問題集3冊分。
  • 1つのパッセージを4度読みすると早い人でも3-4時間程度かかる。
  • 1回のテストで3パッセージあるため、すべて4度読みを行うと10時間以上かかる。
  • 1冊の公式問題集に4回分のテストがあるので、すべて4度読みを行うと40時間以上かかる。
  • 3冊分の4度読みを行うと120時間以上かかる。
  • ここまで行えばリーディング力は相当上がる。

 

③試験に向けたスケジューリング

試験本番に向けてどのようにトレーニングのスケジュールを組むかについて説明します。

リーディングは基本的に長期計画で取り組む

「即効性ある対策」と「長期計画で取り組む対策」

  • リーディングは即効性のある対策が少ない。
  • 最も即効性がある対策が単語を覚えること。「とりあえず3,000単語は制覇しておこう」で説明した通り、1-2か月あれば単語力は大幅に伸びる。また「語彙カバレッジ98%の法則」で説明の通り、語彙カバレッジが98%に近づくにつれて大幅に理解度が高まる
  • もう1つ即効性がある対策が「IELTSリーディングセクションの取り組み戦略をマスターする」で説明したタイムマネジメント設問の取り組み順本文を読む際のキーワードの取り方メモの取り方をマスターすることである。すでに基礎スキルがある(通常の英文は苦労なく読める)のに、回答の最適化が出来ていなかった場合は、これらをマスターすることで大きくスコアアップ出来る可能性がある。
  • 既に3,000単語はしっかり覚えている、回答の最適化も実行している、それでも目標点に達していない場合は、リーディングの3つの基礎スキルである「文法的理解」「文脈的理解」「論理的理解」を順に地道に高めていくしかない。この具体的トレーニングは上述の通り「公式問題集4度読み」であり、このトレーニングは時間もかかるし、徐々にしか効果が出ないため、長期計画で取り組んで行く必要がある。
スコアの伸び方に関する考察

6.5が1つの境目

  • リーディングの1つの境目がスコア6.5である。個人差はあるが、多くのケースを見てきた結果として、リーディングについては一度6.5以上が出るようになるとそれ以下のスコアに落ちにくい性質がある。ここが「まずまず読めている」か「読めていない」かの境目と考えて良い。
  • 6.5に届いていない場合、あるいは安定して取れていない場合は、まずは単語力や文法力が不足していると考えて、そこからしっかりと取り組んで欲しい。

 

突然7.5以上が出るケース

  • またリーディングの場合、いつも6.5だった人が突然7.5や8.0といった驚異的なスコアの伸びを見せる場合が時折見られる。
  • こういった驚異的な伸びはそのときの試験問題の相性などの要素が大きいが、1つ共通して言えるのが、そういうケースは、その試験の前にかなりの量の英文を読み込んだ場合が多い、ということである。大量の英文に触れることで長文を読む際の集中力が高まっていたり、知らない単語が出たときの推測力が鍛えられたりという要素があるものと思われる。
  • ただし、最大瞬間風速として出たこれらのハイスコアは継続しないことが多い
  • 毎回安定して7.5以上のハイスコアを獲れる人は、単語、文法力といった基礎力を完璧にしたうえで、4度読みを地道に長期間行った人である。

 

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