
(「4-4)IELTSリーディングセクションの取り組み戦略をマスターする」に戻る)
目次
①空欄補充問題の攻略法
空欄補充問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問順に先読みしていく
- 空欄補充問題は、基本的には設問の順番通りに本文に情報が出てくる。
- 従って、設問番号の若い順に、設問文を読み、その答えを求めながら本文を読んでいく。
何ワードまで記入できるかを確認しておく
- NO MORE THAN THREE WORDSとなっていれば3単語まで記入可。
- ONLY ONE WORDとなっていれば1単語しか入れられない。
- ONE WORD AND/OR A NUMBERとなっていれば「1単語」「1つの数字」「1単語+1つの数字」の3通りのパターンが考えられる。
空欄に入る品詞を絞り込む
- 空欄に入る品詞は前後の形からある程度絞ることが可能。先読み段階で、空欄に入る品詞を絞り込んでおく。
- これによって読み取るべき品詞を絞れるし、答えだと思った単語が正しいかどうかのチェックも可能になる。
品詞が決まるケース
- 述語の前 ⇒ (主語だから)名詞
- 他動詞の後ろ ⇒ (目的語がだから)名詞
- 自動詞の後ろ ⇒ (修飾語だから)副詞
- be動詞の後ろ ⇒ (補語だから)名詞または形容詞、(受動態だから)動詞の過去分詞
- 前置詞の後ろ ⇒ 名詞
- 冠詞の後ろ ⇒ 名詞
- 前置詞と名詞の間 ⇒ 形容詞
- 冠詞と名詞の間 ⇒ 形容詞
- 不定詞のtoの後ろ ⇒ 動詞
名詞の中でもさらに単数・複数が絞れるケース
- 述語の前で述語がisまたは三単現sがついている ⇒ (主語は単数のはずだから)名詞の単数形
- a, an, another, every, eachの後ろ ⇒ 名詞の単数形
- two, threeなどの数値, allの後ろ ⇒ 名詞の複数形
- ONE WORD ONLY問題で直前にa/an/the/thisなどがついていない ⇒(可算名詞単数形は冠詞が必要なので)可算名詞複数形か不可算名詞
空欄の前後から文法違反にならないかチェックする
- 選んだ単語が先読み時に絞り込んだ品詞になっているかを確認する。
空欄に入れてみて意味が正しいか確認する
- 空欄に単語を入れて前後の文脈から意味が合うかを確認する
- eatの後ろには「食べる対象になるもの=食べ物系の単語」
- readの後ろには「読む対象になるもの=文章・文字系の単語」
- earnの後ろには「稼ぐ対象になるもの=お金や評価系の単語」
- solveの後ろには「解決する対象になるもの=問題系の単語」
②TF/YN問題の攻略法
TF/YN問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問順に先読みしていく
- TF/YN問題は、基本的には設問の順番通りに本文に情報が出てくる。
- 従って、設問番号の若い順に、設問文を読み、その答えを求めながら本文を読んでいく。
FalseとNot Givenの違い
- 「Not Given」という表現が紛らわしい。これを文字通り「与えられていない」と考えてしまうとFalseとNot Givenの境界線が分からなくなってしまう。
- 例えば、「Falseっぽいけど、直接書かれた情報はない」という領域が出てきたときに、FalseなのかNot Givenなのかが分からなくなる。
- Not Givenは「TrueともFalseとも言い切れない」または「TrueにもFalseにもなり得る」と考える。そうするとFalseとNot Givenの区分がはっきりする。
- 本文の情報から設問文の内容が100%違うことが分かる場合はFalse、本文の情報から設問文の内容が100%違うとは言い切れない場合はNot Given
例1
- 本文:Aさんはフィリピンを訪れた
- 設問文:Aさんは日本を訪れた
こうなっていた場合、Aさんがフィリピンを訪れたのは確実ですが、それ以外に日本を訪れたかどうかは判断できない。訪れた可能性もあるし、訪れなかった可能性もある。
従って、Not Givenが正解。
「日本に訪れた」という内容と「フィリピンに訪れた」という内容が異なるからFalseとしてしまうケースが見られるが、Falseは、設問文の内容が100%否定できるときだけ。
もし本文に「Aさんは日本を訪れなかった」と書かれていれば100%否定できるのでFalseだが、上記の本文の情報だけでは否定できない。
例2
- 本文:Aさんはフィリピンを訪れたが、その他の国は訪れなかった
- 設問文:Aさんは日本を訪れた
こうなっていた場合、Aさんはフィリピンだけを訪れたことになるので、日本には100%訪れていないことになる。
従って、Falseが正解。
「日本に訪れたかどうか」が直接書かれていない、つまり「与えられていない」からNot Givenとしてしまうケースが見られるが、これは間違い。
Not Givenを「TrueともFalseとも言い切れない」という定義で捉えると、直接その情報が与えられていなくても、100%否定出来る場合はFalseだと自信をもって答えられる。
③選択肢問題の攻略法
選択肢問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問順に先読みしていく
- 選択肢問題は、基本的には設問の順番通りに本文に情報が出てくる。
- 従って、設問番号の若い順に、設問文を読み、その答えを求めながら本文を読んでいく。
①4つの選択肢から1つ選ぶタイプ
- 短い選択肢の場合、選択肢まで含めて先読みしておく。
- 長い選択肢の場合、先読みしても内容が覚えられないため設問文だけを先読みしておく。
②5つの選択肢から2つ選ぶタイプ
- 選択肢まで読むと情報量が多すぎて覚えられないため設問文だけを先読みしておく。
2つのモードを持っておく
- 基本的な考え方として、選択肢ごとにTrue/False/Not Givenの判断をしていく。最終的にTrueが残るので、それを回答する。
- 選択時に、積極的に正解を探すモードと、不正解を探すモード(消去法)の2つのモードを持っておくと良い。
- 設問によってはTrueと言い切れる選択肢はないが、Not Givenの選択肢が2つある、というケースがあり、その場合は消去法の方が選びやすい。
選択肢のパワーワードに引きずられない
- 選択肢の中にある目立つ単語(パワーワード)だけを見て選ぶと不正解になるケースがある。
- 実はパワーワードに隠された目立たない単語がキーになっていることもあるので、選択肢は丁寧に読んで判断するようにする。
5つの選択肢から2つ選ぶタイプでは時間をかけ過ぎない
- 選択肢が多くて長いので、まともに回答しようとすると時間を取られることが多い。
- しかしランダムで選んでも1問以上正解する確率は7/10である。
- 5問中ランダムに2問選んでどちらも正解になる確率:2/5×1/4=1/10
- 5問中ランダムに2問選んで1問だけ正解になる確率:2/5×3/4+3/5×2/4=6/10
- 5問中ランダムに2問選んでどちらも不正解になる確率:3/5×2/4=3/10
- 従って本文の記憶を頼りに回答するだけでもそれなりの正解率になる。あまり時間をかけるべきではない。
④リストマッチング問題の攻略法
リストマッチング問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問先読みはタイプによって変える
- リストマッチングは3つのタイプがあり、そのタイプによって設問先読みを行うかどうかを決める。
①「設問:単独の文章+リスト:単語」タイプ
- 設問の順番通りに本文に情報が出てくるとは限らないので、設問文の先読みはしない。
- リストにある単語(人物名や生物の名前など)は先読みする。その情報を探しながら本文を読んでいく。
②「設問:本文のサマリー+リスト:単語」タイプ
- 設問の順番通りに本文に情報が出てくるので、設問文の先読みを行う。その情報を探しながら本文を読んでいく。
- リストの先読みを行う必要はない。
③「設問:文章の前半+リスト:文章の後半」タイプ
- 設問の順番通りに本文に情報が出てくるので、設問文の先読みを行う。その情報を探しながら本文を読んでいく。
- リストの先読みを行う必要はない。
人物の主張の違いを読み取る
- リストマッチングでよくあるパターンの1つが、設問が人物の主張や実施内容で、リストに人物が入っているケース。
- この場合、各人物の主張内容や実施内容を区分しながら本文を読んでいく必要がある。
- これはただ読みながら頭の中で整理するだけだと日本語であっても難しい。ペーパー受験の場合は問題用紙に、コンピュータ受験の場合は手元のメモ用紙に各人物の違いをメモしながら読んでいくと人物間の違いが明確になる。
⑤パラグラフ選択問題の攻略法
パラグラフ選択問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問先読みはしない
- パラグラフ選択問題は、設問の順番通りに本文に情報が出てくるとは限らないので、設問文の先読みはしない。
- このため設問先読みは行わず、1つのパラグラフを読み終わるたびに設問グループの設問をすべてチェックしていく。
パラグラフリーディングを行う
- 「基礎スキル3:論理的理解力」で説明したパラグラフリーディングの読み方で各パラグラフを読み込む。
- トピックセンテンスを見つけて、そこからそのパラグラフの内容を予測、その予測と照らし合わせながら本文を読み、パラグラフのサマリーを簡単に頭の中でまとめてみる。
パラグラフを読み終えた後に設問文を読む
- パラグラフのトピックセンテンスとサマリーを思い出しながら、設問文の内容がこのパラグラフで述べられていたかをチェックしていく。
- 特にトピックセンテンスでパラグラフのテーマと範囲が絞られるので、その範囲の話かどうかをチェックしていく。
⑥Heading(パラグラフタイトル)問題の攻略法
Heading(パラグラフタイトル)問題における先読み、回答時のポイントと対策をまとめます。
設問先読みはしない
- Heading問題は、選択肢が多く、1つ1つも長いため、先読みしても覚えていられない。
- このため設問先読みは行わず、1つのパラグラフを読み終わるたびに選択肢をチェックしていく。
パラグラフリーディングを行う
- 「基礎スキル3:論理的理解力」で説明したパラグラフリーディングの読み方で各パラグラフを読み込む。
- トピックセンテンスを見つけて、そこからそのパラグラフの内容を予測、その予測と照らし合わせながら本文を読み、パラグラフのサマリーを簡単に頭の中でまとめてみる。
タイトル選択のポイント
- まず選択肢からトピックセンテンスを言い換えた選択肢があればそれを選択する。
- このときに引っ掛けの選択肢として、トピックセンテンス以外のセンテンスの内容を言い換えた選択肢や、確かにパラグラフ内では触れられているけどトピックセンテンスから考えると狭すぎる、広すぎる選択肢が準備されていることが多いので間違えないように。
- トピックセンテンスを言い換えた選択肢がない場合、今度はパラグラフのサマリーを考えて、そのサマリーに近い選択肢を選択する。
- パラグラフの構造さえ、きっちり捉えられてしまえば、パラグラフタイトル問題は、感覚的なものではなく、かなり明確な根拠をもって回答することが可能。
⑦トレーニングの環境を整える時間が無い方へ
(「4-6)適切なトレーニングでリーディングスコアを伸ばす」に移る)
