ライティング6.0、6.5の壁の超え方

こんにちは。藤本です。

IELTS受験生からの最も多い相談がやはりライティングですね。

ライティングは5.5から6.0に行くときが大きな壁になります。

さらに6.0が取れてから6.5に行くのももっと大きな壁になります。

この壁に阻まれて、5.5、6.0で低迷している人も多くいると思います。

 

そこで、

・ライティング6.0の壁の超え方
・ライティング6.5の壁の超え方

を説明していきたいと思います。

 

ライティング6.0の壁の超え方

ライティング6.0の壁の正体

ライティング6.0の壁の正体とは何でしょう?

 

私のライティング対策講座を受講される方の多くは5.0-5.5ぐらいからのスタートになります。

そして添削をしてみると初回は本当に真っ赤に指摘が入ります。

1つのタスクで合計20-40カ所ぐらいの指摘が入ります。

ほとんど1センテンス書くごとに1-2個の指摘が入るぐらいですね。

 

多くの方は、まずここで驚きます。

「こんなに間違いを含んだ文章を作っていたとは・・」

という感想を持たれる方も多いです。

 

そうなんですね。

6.0が取れない方の多くは、本人がびっくりするぐらいツッコミどころがある英文を書いているんですね。

 

まずここを自覚することです。

ここが自覚できていないと、間違った考え方でライティング対策をしてしまいます。

 

例えば

「難しい単語を使えばスコアが上がる」

とか。

 

でもこの段階ではそんな対策は必要ありません。

スコア5.5以下の方は、指摘の5-6割ぐらいが文法の指摘になります。

文法がまずいと何がダメかって、文章の意味が読み手に伝わらないんですね。

 

これが厳しい。

せっかくいい内容を書いていたとしても伝わらないとゼロなんですね。

だから、この伝わらない英文を書いている段階で小難しい単語を使っても意味がないですし、下手すると余計に意味が伝わらなくなるんですね。

文法的に正しい文章を書く、ということが最優先なのです。

 

6.0のもう1つの壁

IELTSライティングで6.0に届かない方のもう1つの壁がエッセイの構成です。

 

そもそも英文には決まった構成があります。

これって決まった構成を持たない日本語話者にとってはすごく分かりにくいのですが、英語ネイティブたちは、もう子供時代から徹底的にこの構成で英文を書くことを求められます。

なので、ネイティブが書く英文は、判で押したように同じ構成なんですね。

 

もちろん、小説など書き手の個性を出すために敢えてこの構成を崩すことはあるのですが、「情報を伝える」ことを目的とする英文は同じ基本構成です。

だからまずこの構成に沿っていないとものすごく違和感ある英文になります。

 

加えてIELTSならではの要件があります。

ライティングの採点基準を見て頂くとそれらが記載されています。

これらがかなーり重要なんです。

以前も書いたので気になる方はご覧ください。

Task1の減点ポイント

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これらのポイントに当てはまる内容で記載するとことごとく減点されていってしまいます。

 

ライティング6.0の壁の超え方

さて、6.0の壁の正体として、文法とエッセイ構成を挙げましたが、この壁を超えるためには、どうすればよいでしょう?

 

まず文法について大事なことは、とにかく徹底的に文法ルールを頭に叩き込んだうえで正しい英文をマネすることです。

自分で文章考えて書いているうちは、まあ文法ミスは無くならないです。

そのマネというのが、人によってかなり捉え方が違います。

 

ある人は、解答例があってもそれもさらっと読むぐらいで、書くときは相変わらず自分のスタイルで書きます。

これは大量の文法ミスから免れません。

 

別の方は、解答例をそのままコピーしてない?っていうぐらいマネして書いてきます。

 

そうです。

マネするなら、これが正しいアプローチです。

それぐらいやらないとダメなんですね。

まさにTTP(徹底的にパクる)です。

 

一旦完全にマネしてみると、そこから見えてくるものがあります。

こんな表現を使っているんだとか、こんな順番で書いているんだ、ということですね。

残念ながら読むだけだとほとんど頭には残らないんですね。

 

ただし、いつまでもマネだと自分のものにならないので、マネしたい内容はどんどんノートに記載していって覚えていかないといけないですね。

 

あとエッセイ構成については、お手本を徹底的に研究して、パターン化してしまうことです。

毎回ゼロから構成を考えていては時間もかかるし、何かしらの減点ポイントに引っ掛かりますからね。

 

パターン化というのはたとえばTask1のグラフ問題であれば、

1文目に何を書くか、
2文目に何を書くか、
3文目に何を書くか、

といったところまでパターン化するイメージです。

 

ここまで行くと、設計で迷うということもほぼなくなります。

 

そしてパターン化出来たら、ひたすらそのパターンで設計の数稽古をしてみることですね。

私はこれまでTask2だけで500問以上設計をしています。

 

ここまでやらなくても各タスク50問分ぐらい設計練習をしていくと、一通りの問題に対して一度はやったことあるぐらいの感覚になるので自信が持てます。

 

以前ご覧になったことがあるかもしれませんが、私が勉強していたときの文法の勉強方法や展開や表現のパターンを抽出していったときの動画をもう一度アップしました。

「私の修行時代の勉強ノートを公開します」

 

全部必要とは言いませんが、研究するとき、マネるときは、これぐらいしてもらうとあっという間に6.0の壁は越えられますよ。

 

では次は6.5の壁の超え方です。

ライティング6.5の壁の超え方

ライティング6.5の壁の正体

ライティング6.0のライティングでもまだ多くの文法ミスは含まれます。

時制とか冠詞とか単複などの細かいミスは残っています。

 

でも5.5以下のような1センテンスに1-2個というペースではなくて、2センテンスで1箇所ぐらいのペースに落ちますので、文章としてはずっと意味が捉えやすくなります。

残ったミスは地道に減らしていく必要がありますが、ここではそれ以外の壁についてお話をしてみましょう。

 

私自身の経験、そしてこれまでに多くの受験生を見てきた経験から、6.0には届くけど6.5に届かない方が課題になるのは抽象的な言い方ですが

「滑らかな文章」

かなと思っています。

 

逆に言うと6.0の方のライティングというのは

「ぎこちなさ」

を感じるんですね。

 

このぎこちなさの正体ですが、ズバリ

「日本語の直訳」

です。

 

これがあるので、日本人には意味は伝わってもどうしてもちょっと読みにくい文章なんですね。

 

例えば

「政府がたばこの広告を規制したことがそれまで煙草を吸っていた国民を健康にさせた。それは結果的に国の発展をもたらした。」

と言いたいときに

The government’s regulation of tobacco advertising has made people who had previously smoked cigarettes healthier. It has led to the development of the country.

という英文になったりしますが、これは文法的に正しくても、割と日本語直訳という感じであまり滑らかさを感じません。

 

ライティング6.5の壁の超え方

日本語直訳から卒業して、スムーズな英文を作るためにどうすれば良いでしょう?

本質的な答えとしては、

「多くの英文に触れること」

です。

 

やはり英文に触れる絶対量が少ないので、どうしても

「普通はこう表現するよね」

といったデータベースがないんですね。

この自分なりのデータベースをコツコツ作っていくことが直訳英語をなくす本質的な答えです。

 

ただ、これは時間がかかり過ぎますね。

 

ということで、今回は日本語直訳になりがちだけど、お手軽にそれを回避する方法を3つお伝えします。

 

私も英文を書く中で、この3つに気付いたときに、自分の中で一段英文のレベルが上がったという感覚がありました。

 

1.従属節を使った因果関係

2.this+抽象名詞

3.名詞よりも動詞

では順に行きましょう。

 

1.従属節を使った因果関係

これは特にTask2で重要です。

私は修業時代、模範解答を写経していて、ふと、模範解答の中でif節、when節の出現頻度が高いことに気づきました。

これはとても重要な気づきでした。

Task2というのは「因果関係」を繰り返して自分の主張をサポートしていきます。

 

AだったらB
BだったらC
よって
AだったらC

という流れですね。

この因果関係における「Aだったら」「Bだったら」という部分がif節、when節になるんですね。

これを意識的に使うようになったことで、英文が随分と自然に、楽に書けるようになりました。

 

現在も「因果関係」の表現はライティング講座の重要なテーマの1つです。

因果関係を制するものはTask2を制す

と言っても良いでしょう。

 

特に日本語で因果関係を考えるときは、「無生物主語」の形になりやすいんですね。

「政府がたばこの広告を規制したことがそれまで煙草を吸っていた国民を健康にさせた」

これなんてまさに因果関係の表現ですが、これを直訳にすると「規制したこと」が主語になる無生物主語になりますね。

 

このように日本語で因果関係を説明するときは無生物主語の形になりやすいんです。

 

そして無生物主語の弱点は、因果関係の「原因」の部分が複雑になればなるほど主語が長ったらしく、頭でっかちな英文になる、ということです。

 

The government’s regulation of tobacco advertising has made people who had previously smoked cigarettes healthier.

この文章なんてすごく頭でっかちで不格好な英文に見えます。

 

そんなときはとりあえずwhen節、if節で考えてみる、というクセを付けてみると良いです。

When government regulated tobacco advertising,

という従属節で因果関係の「原因」の部分を表現すると「結果」の部分も

people who had previously smoked cigarettes became healthier.

という能動態になり、スッキリします。

 

英文を書き慣れていない人よりも書き慣れている人の方がwhen節、if節を使った従属節をよく使っている印象です。

 

2.this+抽象名詞

「政府がたばこの広告を規制したことがそれまで煙草を吸っていた国民を健康にさせた。それは結果的に国の発展をもたらした。」

2つ目の文章の「それ」は何を指しているでしょう?

 

ちょっと曖昧ですね。

「広告を規制した」という原因の部分なのか、
「健康にさせた」という結果の部分なのか。

 

itを使って表現するとそのあたりが曖昧になります。

 

かといって

「政府がたばこの広告を規制したこと」

などともう一度説明したくはないです。

 

ここで使いたいのがthis+抽象名詞です。

 

パラフレーズするときに、「this+抽象名詞」を使うことで文章がものすごく明確に、かつスムーズになります。

thisの後ろにどのような抽象名詞を置くのかはセンスが問われます。

 

もし「広告を規制した」という原因の部分を指すのであれば

this policy
this decision

などが使えますね。

 

「健康にさせた」という結果の部分を指すのであれば

this result
this consequence

などを使うと良いでしょう。

 

thisの後ろに使える抽象名詞を多くストックしておくと、この表現もスムーズになります。

 

よくIELTSでは「難しい単語を使え」という教えを見ます。

でもこれは6.0以下の人にとっては逆効果のことが多いです。

6.0で低迷している段階では、まだまだ文法ミスが大量に含まれている段階です。

この段階でやたら難しい言葉を入れてもスコアは変わらないどころか、意味が余計に伝わらなくなり、マイナス評価になることもあります。

 

でも「難しい単語」とは「抽象度の高い単語」と置き換えると事態は好転することがあります。

 

死刑制度⇒this system
人口増加傾向⇒this trend
コンピュータ社会⇒this development
飲酒運転⇒this behavior

 

こんな感じで、this+抽象名詞がきれいに使えると、かなり文章のレベルは高く感じます。

 

3.名詞よりも動詞

「それは結果的に国の発展をもたらした」という部分、「それ」は先ほどご説明したように

 

This decision

と表現したとしましょう。

問題はその後です。

 

この日本語を直訳すると

This decision has led to the development of the country.

としがちです。

でもこれって

This decision has developed the country.

と意味的に同じですよね。

 

日本語で因果関係を表現するときって主語を無生物主語で思い浮かべがちなのと同様に述語の部分も

「~をもたらす」
「~につながる」

といった表現を思い浮かべがちです。

 

そうすると述語は

lead to + 名詞
contribute to + 名詞
bring about + 名詞

などの表現になりがちですが、この「名詞」の部分って元々動詞だった単語を名詞化した表現になることが多いです。

これがまどろっこしいのです。

 

名詞化する前の動詞に戻して、それを述語で使った方がずっと簡単に表現できることが多いです。

なので英文を書いていて

lead to / contribute to / bring about

などを使いそうになったときは、その後ろにある名詞を動詞として表現できないかを考えてみると良いです。

 

ということで、6.5の壁を乗り越えるための3つのテクニックのお話をさせて頂きました。

参考にしてみてくださいね。