スピーキングのスクリプト準備をお手伝いしてきて気づいた5つの重要ポイント

こんにちは。藤本です。

スピーキング対策支援サービスを開始して半年ほど。

ここまで数十名の方のスクリプト作成をお手伝いしてきました。

スクリプト作成はネイティブにもチェックをしてもらっていますが、そこでのフィードバックは私自身も勉強になることが多いです。

恐らく多くの受験生も意識できていないポイントだと思いますので、今日はそれを5つほどシェアしたいと思います。

 

1.違和感ない英文のキーは時制

本番のスピーキングセクションにおいて正確な時制を使えるスキルはかなり重要です。

 

時制ぐらい違っていても文意が分かればいいじゃん。

些細なことでしょ?

・・・って思いますか?

 

でも日本語であっても時制が違えば、とても違和感ある文章が出来上がります。

「昨日、私は学校に行くだろう」

この日本語って明らかに変ですよね?

どう見ても

「昨日、私は学校に行った」

という過去形にするか、「昨日」を「明日」に変えて

「明日、私は学校に行くだろう」

という未来形に合わせた表現にするか、どちらかじゃないと変ですよね。

だから時制は正確でないとものすごく違和感があるんです。

 

IELTSのスクリプトを作るときでも例えば

「今までに下した難しい決断について」

というトピックの場合。

「私は2年前に転職することに決めました。これはとても難しい決断でした。なぜなら私は前の会社で10年以上、たくさんの親しい同僚と働いていたからです。」

と言いたい場面を考えてみましょう。

「とても難しい決断でした」
「親しい同僚と働いていた」

この2箇所の時制は何が良いか、すぐに判断がつくでしょうか?

 

「とても難しい決断でした」

過去のことなので過去形ですね。

This decision was very difficult.

という感じですね。

 

そして

「親しい同僚と働いていた」

は、難しい決断よりもさらに前の過去から、2年前の辞めた時点までの話なので過去完了形になります。

 

I had worked at my previous company with many close colleagues for more than 10 years.

こんな感じで過去完了形がサラっと出てくると良いですね。

 

特にIELTSではPart1、Part2で、体験談を語る場面が多いので、過去形と完了形の使い分けなどが重要になってきます。

しかし、完了形が自然に使えるまでには結構時間がかかるところだと思います。

正確な時制を織り込んだスクリプトを準備して、それを体に染み込ませることが近道ですね。

 

2.文法は正しいけど、そうは言わない表現

日本語でも自然な会話と不自然な会話ってありますね。

「私は家の近くに存在しているお店によく行きます」

うーん、意味は分かるけど・・・って感じじゃないですか?

会話文としては、ものすごく不自然ですよね。

「私は近所のお店によく行きます」

ぐらいじゃないですか。普通。

 

「確かに意味は通じる、けど、そういう言い方はしないんだよな」ってやつです。

でも日本語から英文を作ると、こういう英文を作ってしまいがちです。

 

例えば

「車が雪で動かなくなった」

と言いたい場合、

My car didn’t move because of the snow.

としても確かに意味は分かります。

でもすごく理屈っぽいというか、ちょっとまどろっこしい表現なんです。

My car got stuck in the snow.

ぐらいの方が圧倒的に自然です。

 

より簡潔な、よりシンプルな表現がスピーキングでは好まれるわけですね。

ネイティブスピーカーとしてよく使う自然な表現を盛り込むこともスコアアップには重要です。

 

3.ネイティブの使用頻度が高いのに受験生が使いこなせていない構文

ネイティブのフィードバックを受けて

「この構文めちゃくちゃ使うな!」

と改めて実感した構文の1つが「使役構文」です。

「人に~してもらう」という意味の構文ですね。

この使役構文が、正確に使いこなせる人はかなり少ないのでは?と感じています。

 

例えば

「その音楽を聴くとリラックスできる」

という場合。

I can relax by listening to the music.

でもよいのですが、

Listening to the music helps me relax.

使役動詞のhelpを使う方が会話としては自然です。

 

そして使役なら何でも良いかというとそうでもありません。

例えば

「彼に私のスケート靴を研いでもらった」

という体験について話したい場合。

I made him sharpen my skates.

と使役動詞のmakeを使うと少し違和感があります。

なぜなら、makeは「強制的に~させる」という意味であり、この文脈を使うと、かなり「上から目線」な感じだからです。

こういう時、ネイティブスピーカーは

I had him sharpen my skates.

と使役動詞haveを頻繁に使います。

使役動詞を正確に使えると、英会話力が高いことを印象付けることが可能です。

 

4.翻訳サイトの限界

スクリプトの準備をするのに翻訳サイトを使っている方もいると思います。

翻訳サイトのレベルは近年かなり上がっていますが、それでも限界はあります。

翻訳させる日本語にもよりますが、翻訳結果が不自然な英語になることも多く、自然なスクリプトを作成するには最終的にはネイティブスピーカーによるチェックが必須です。

例えば

「料理レシピサイト「Cook Pad」を参考に、自分で料理しています。
(I cook by myself, using a cooking recipe website called “Cook Pad”. )」

に続く文として、

「このウェブサイトでは手順を説明するビデオを見ることができます。」

と言いたい場合の翻訳サイトの結果とネイティブチェックによる修正の違いを見てみましょう。

 

翻訳サイト: On this website, you can see a video explaining the procedure.

ネイティブスピーカーによる修正 : On this website, I can see videos explaining the steps.

この場合、以下の点で翻訳ソフトに問題があります。

・日本語では単数複数の区別がないので翻訳サイトでは文脈に合わない単複が選択されることがある
(a video⇒videos, procedure⇒steps)

・日本語では主語を省略することが多いので翻訳サイトでは間違った主語が選択されることがある
(you⇒I)

・ネイティブスピーカーにとって自然な文脈に合う単語を選択することが難しいことがある
(procedureは料理の文脈で使うには固すぎるのでstepsに変更)

 

翻訳ソフトを確かに便利ですが、このような限界があることも知っておきましょう。

 

5.使うべきでない表現

和製英語って聞いたことありますよね。

日本では当たり前のように使われている言葉が実はネイティブは使わないってやつです。

この和製英語に気付かずにスピーキングで使ってしまうと全然通じません。

 

例えば「SNS」

まあ、日本では普通に使いますし、そのまま通じるって思う人も多いと思いますが、これが全然通じません。

「social media」

でないと通じません。

 

他にも「CM」

テレビのCMは見ない、

とかって言っても通じません。

commercialadvertisementですね。

 

北国で見られる「オーロラ」

これを

aurora

というと、通じることは通じますが、すごく違和感あります。

auroraはどちらかというと科学用語なんですよね。

例えば

「この料理、塩が効きすぎじゃない?」

というべき場面で

「この料理、塩化ナトリウムが効きすぎじゃない?」

って言っているみたいな感じで、不自然です。

英語ならnorthern lights(複数形)ですね。(南半球ならsouthern lights

 

こんな感じで、意外に和製英語は多いので、気を付けましょう。

 

まとめ

ということで、スピーキングスクリプト準備時に注意すべき5つのポイントをお伝えしました。

1.違和感ない英文のキーは時制
2.文法は正しいけど、そうは言わない表現
3.ネイティブの使用頻度が高いのに受験生が使いこなせていない構文
4.翻訳サイトの限界
5.使うべきでない表現

是非参考にしてみてくださいね。