IELTSライティングは何を書いたら減点されるか(Task1論理編)

こんにちは。藤本です。

IELTSではライティングでスコアが思ったように上がらない人は多いと思います。

私の元に寄せられるご相談もライティング関連が最も多いですね。

 

それは、IELTSがスコア以外は、何もフィードバックをしてくれないことが大きいです。

何がダメでスコアが上がらないのかが分からないわけですね。

せめてTask1とTask2の個別スコアだけでもフィードバックがあれば、考えるとっかかりになるんですけどね。。。

でもこの部分は我々でコントロールできる部分ではないので、どうしようもないです。

 

それよりも、もっと問題なのは、記載した本人が、

「今回は書けた」「今回は書けなかった」

というざっくりした感覚しか持っていないことです。

 

だからこそ、

「書けたつもりなのに前回とスコアが変わらなかった」

「あまり書けなかったのに前回と同じスコアだった」

といったように感覚と結果とを関連づけるしかなく、結果的に、

「IELTSのライティングはよく分からない」

という結論になるわけですね。

 

しかし

「何を書いたらスコアが上がり、何を書いたらスコアが下がるのか」

ここを頭に入れている人は、ざっくりした「書けた」「書けなかった」という感覚に頼っている人よりも、ずっと明確に結果の分析が出来て、その分、次の対策も立てやすいことになります。

 

ちなみに、ライティングで7.0が獲れていない人は、記載した英文の中に必ず何かしらのミスが含まれており、減点されています。

6.0のスコアの人であれば、Task2だけでも最低でも20箇所ぐらいは減点されています。

多い人は50箇所ぐらい減点されています。

「そんなに?」

という感じかもしれませんが、記載されたライティングを添削していくと、実際そのぐらい減点されそうなポイントが入っています。

 

ですので、この減点を減らしていけば必然的にスコアは上がっていきます。

この理屈は分かりますよね。

 

では、その減点がどのようなポイントで行われるかは頭に入っているでしょうか?

これが頭に入っていないと、自分のライティングのどこが課題かを理解するにしても、その課題を改善するためにトレーニングするにしても、方向性が決まらないですよね。

 

ということで、IELTSライティングの減点ポイントを挙げて行きたいと思います。

あらかじめ断っておきますが、これはIELTSの正式な減点基準ではなく、ここまで8年間、数百人のIELTS受験生とそのスコアを見てきて、私なりに整理したポイントです。

ですが、実際に本番で獲得されているスコアを見ると、それなりに整合は取れていると思います。

 

そして、この減点ポイントは数が多いです。

多いので、記事でも4回に分けて説明していきます。

  1. Task1理論編
  2. Task1表現編
  3. Task2理論編
  4. Task2表現編

いきなり全部は頭に入らないと思いますが、これまで意識していなかったポイントがないかを確認してみましょう。

もし、そういうポイントがあれば、是非今後のライティングのトレーニングに活かしてみて下さい。

 

まず本日は、Task1理論編です。

課題達成度(Task Achievement)アカデミックモジュール

1)適切な文字数で書けていない

  • 文字数が指定された最低文字数150ワードに到達していない

2)適切なフォーマットを使っていない

  • 同一パラグラフの中に改行を入れている
  • パラグラフを分けるときに改行だけしていて1行空けていない
  • 箇条書きを入れている
  • 疑問文を入れている

3)図表にある情報を正確、客観的、網羅的に記述していない

  • 図表にある情報(名称や数値、位置など)を明らかに間違えている
  • 図表にない情報を推測で記載している
  • 図表のどの箇所の話をしているか分からない
    (例えば、図表が2つあるときにどちらの話をしているのか分からない。グラフの中に複数のカテゴリーがあるのにどのカテゴリーの話をしているか分からない、など)
  • 図表で示された内容と時制が合っていない
    (例えば、過去の時系列のグラフで現在形で説明している、現在の地図を過去形で説明している、など)
  • 図表で示された内容と単複が一致していない
    (例えば、2つのグラフがあるのに、The graph shows ~のように1つのグラフしかないような記載になっている、など)
  • 主観的な表現を使っている
    (例えば、the number is largeなど形容詞が原形で使われている。【⇒larger、largestのように比較級・最上級であれば事実になるので客観的な表現になる】)
  • 図表にある情報が網羅的に記載されていない
    (例えば、地図で示されたもののうち、明らかに説明すべき建物の説明が抜けている、など)

4)イントロダクションを適切に記述していない

  • イントロダクションの記載(図表の記載内容の説明)がない
  • イントロダクションは記載されているが説明すべき重要な情報が抜けている
    (例えば、グラフで「英国で寄付をしている人の割合」が示されているのに「英国の人の割合」といった表現になっているなど)

5)オーバービューを適切に記述していない

  • オーバービューの記載(図表から読み取れる概要)がない
  • オーバービューの内容がどんな図表でも言える抽象的過ぎる内容になっている
    (例えば、このグラフは4カ国の様々な変化が分かる、のような内容。【⇒具体的に、どの国が増えて、どの国が減ったのかぐらいまでの説明は必要】)
  • オーバービューの内容が図の内容から見て、取るに足らない、優先度の低い内容だけを記載している
    (例えば、グラフから分かるトップのプレーヤーについては触れずに、最下位のプレーヤーだけ触れている、など)
  • オーバービューに補足情報レベルの内容が入っている
    (例えば、グラフで具体的な数値の説明が入っている、など)
  • 図表が複数ある場合、すべての図表について触れていない
    (例えば、グラフAとグラフBがあるのにグラフAにしか触れていない、2枚の地図があるのに1枚の話しかしていない、など)

6)重要点を適切に記述していない

  • 重要点の記載(グラフで言えば順位・増減・類似性など、地図なら記載されている施設や配置されている物、フロー図なら各プロセスの処理・変化など)が単純過ぎる
    (例えば、時系列のグラフで増減のみの説明しかしていない。【⇒順位と増減を織り交ぜながら説明をする必要がある】)
  • 重要点の記載の中に「比較」が入っていない
    (例えば、時系列のグラフで1つのプレーヤーの説明だけで終わっており、他のプレーヤーとの比較(順位・大小)がない、など)
  • 重要点の記載だけで終わっており、補足情報の説明がない
    (例えば、時系列のグラフの説明で「増えた」「減った」という説明だけしか入っておらず、具体的にどのような数値なのかの説明がない、など)

7)補足情報を適切に記述していない

  • 補足情報の記載(グラフで言えば具体的な数値、地図なら位置関係、フロー図なら各プロセスの順位や関係性)のみの説明になっている
    (例えば、グラフで数値の説明だけになっており、その数値が「大きい」のか「小さい」のか、「増えている」のか「減っている」のかの重要点の説明がない、など)
  • 補足情報の選択が狭すぎる、または多すぎる
    (例えば、グラフを見ていない人が、その情報を与えられるとおよそ同じグラフが再現できる程度には補足情報を説明したい)

 

課題達成度(Task Achievement)ジェネラルトレーニングモジュール

1)適切な文字数で書いていない

  • 文字数が指定された最低文字数に到達していない

2)適切なフォーマットを使っていない

  • 同一パラグラフの中に改行を入れている
  • パラグラフを分けるときに改行だけしていて1行空けていない
  • 箇条書きを入れている
  • 疑問文を入れている
  • 手紙としてのフォーマットが出来ていない
    (例えば、最初に宛名を入れる、最後に自分の名前を入れる、など)

3)設問に沿った内容で記述していない

  • 設問の設定に合った内容になっていない
    (例えば、相手からもらった手紙に対する返事のはずなのに、こちらから出した手紙のような内容になっている、など)

4)手紙の目的を適切に説明していない

  • 手紙の目的が記載されていない

5)適切なトーンで記述していない

  • 設問内容にあったトーンになっていない
    (例えば、謝罪の手紙なのにラフなインフォーマルな文体になっている、友達への手紙なのに堅苦しいフォーマル過ぎる文体になっている、など)
  • 手紙のトーンが一貫していない
    (例えば、始まりはフォーマルなのに、突然インフォーマルな言葉遣いが入っている、など)

6)箇条書きの設問に対して適切に答えていない

  • 箇条書きの設問と記載内容が合っていない
    (例えば、3つある箇条書きのうち、2つにしか答えていない、など)
  • 箇条書きの設問に対して記載内容がバランスが悪い
    (例えば、3つある箇条書きのうち、2つは1行程度しか触れていないのに、残り1つは2つのパラグラフを使って説明している、など)

論理の一貫性とつながり(Coherence and Cohesion)アカデミック・ジェネラル共通

1)パラグラフを適切に分割していない

  • パラグラフの分け方が、内容の関連性と合っていない
    (例えば、A国、B国の時系列のグラフを説明するのに、A国の前半はBody1、A国の後半とB国の前半・後半はBody2のように記載されている、など)

2)曖昧さ、重複感、矛盾のない記述をしていない

  • 論理的に必要な前提条件の記載がない
    (例えば、地図の問題で、「Aは東側にある」と書かれているが、「何から見て」東側かが分からない、など)
  • 比較対象が複数考えられるのに、その比較対象が明確でない
    (例えば、3カ国の12か月間の変化を示したグラフで、A国の5月が一番大きい、という表現は3カ国の中で一番なのか、A国の12か月の中で一番なのかが不明瞭、など)
  • 変化の表現で、変化前か変化後の説明が記載されていない
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、100上昇した、とだけ記載されていると、10から110に増加した話なのか、1000から1100に増加した話なのかが分からない、など)
  • 重複する内容を二重に記載している
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、「Aは上昇傾向にある」という説明をした後に「Aは20から40まで増加した」という説明が出てきて「上昇傾向」「増加した」が重複している、など)
  • 論理的に不要な表現が入っている
    (例えば、増加傾向にある数字を説明する際に、「Aは100から200に増加した」という説明をした後に「Aは200から300に増加した」という説明が出てくる。【⇒最初から「Aは100から300に増加した」で良い】)
  • 矛盾した説明が入っている
    (例えば、Aが一番大きい、という説明をした後に、Aは二番目に大きい、という説明が入る、など)

3)適切に区分して記述していない

  • 「状態」を示す表現にすべきときに、「変化」を示す表現になっている、またはその逆
    (例えば、「Aは数字を増やして一番大きな数字になった」と変化を表現したい場面で、「一番大きな数字である」といった状態を表現してしまう、など)
  • 「絶対的な表現」と「相対的な表現」を正確に使い分けていない
    (例えば、地図でAはBよりも西にある、と言いたいときに、Aは西にある、とだけ説明して、Bから見た相対的な説明になっていない、など)
  • 複数の要素を適切に分類していない
    (例えば、5か国の数字が比較されたグラフにおいて、明らかにAとBは近く、CとDとEが近い関係なのに、AとCをグルーピングして、B、D、Eをもう1つのグループとして説明する、など)

4)適切な順序で説明していない

  • 読者にとって分かりにくい順序で説明されている
    (例えば、フローチャートをプロセス順に説明していない、5か国の比較なのに、数字が大きい順ではなく、いきなり3番目に大きいプレーヤーから説明をしている、など)
  • 未説明のものを前提とした説明になっている
    (例えば、地図で位置の説明をするときに、Aが未説明の段階で、Bの位置はAよりも東側である、などの説明をしている、など)

5)つなぎ表現を適切な使用していない

  • パラグラフの書き出しが、そのパラグラフで何を説明するか分かりにくい表現になっている
  • つなぎ表現の使用が不十分
  • 使われているつなぎ表現が前後の関係から不適切
    (例えば、逆接でつなぐべき内容なのに、順接でつながれている、など)

6)指示語を適切に使用していない

  • 代名詞が不適切に使われている
    (例えば、itが使われているがitが指す内容が複数考えられる、itが指す内容がない、など)
  • 指示語(代名詞)が使える場面なのに指示語を使わず同じ単語を繰り返している
  • 定冠詞theが不適切に使われている
    (例えば、theを入れるべき場面でtheがついていない、theをつけるべきでない場面でtheがついている、など)

 

理論編はここまでです。

次はTask1の表現編です。