こんにちは。藤本です。
私の講座を受講される方はさまざまなバックグランドの方がいますが、明らかにアプローチが違うな、と感じる2つのグループがあります。
今回は、そのグループの違いと、対策の違いについて書いてみたいと思います。
感覚派と理屈派
その2つのグループとは何かというと「感覚派」と「理屈派」です。
英語を感覚として覚えている人と、理屈で理解している人です。
感覚派の人たちは主に以下のような特徴があります。
- 中学や高校を海外の学校(英語圏)で過ごした、あるいは、ネイティブが行う英語オンリーの授業環境で過ごした
- 大学受験は経験しておらずワーホリや海外旅行で英語を学んだ
- 英語を文法で説明されると面倒くさい、読み飛ばしたくなる
英語環境の中で、主に耳で英語を覚えてきた人たちです。
逆に理屈派の人たちは以下のような方達です。
- 海外経験は少なく大学受験まで日本で英語教育を受けた
- 「ネイティブはこう言うから」と感覚だけで説明され文法的な説明がないとイラっとする
- 逆に文法で説明されると納得できる
一概にくっきりと分けられるものではないかもしれませんが、典型的なイメージとしてこんな2つのグループに分かれる感じです。
IELTSは感覚派に有利か?
昨今の英語教育の中では「理屈派」の旗色は悪いですね。
「使える」英語を求められる場面では確かに理屈だけだと厳しい場面があります。
ただIELTSという試験対策に限って言うと、必ずしも感覚派が有利とは言えません。
感覚派の傾向としては、
- リーディング、ライティングよりもリスニング、スピーキングが得意
という傾向になります。
IELTSでは最終的にリーディングとライティングのスコアメイクで苦労する、という場面がよく見られます。
理屈派からすると羨ましいバックグランドですが、感覚派には感覚派の苦労があるわけですね。
逆に理屈派は
- リスニング、スピーキングよりもリーディング、ライティングが得意
という傾向が強いです。
そこで今回はまず感覚派の人たちにとって必要なIELTS対策を書いてみたいと思います。
次回、今度は理屈派の人にとってのIELTS対策を書いてみたいと思います。
感覚派の課題
さて、感覚派の人たちに共通していること、それは
- 文章が正しいか間違っているかを判断するのに自分のフィーリングに合っているかどうかで判断する傾向が強い
ということです。
これは理屈派の人が
- 文法のルールに合っているかで判断する
のとは対照的です。
自分のフィーリングで判断する場合、2つの課題があります。
まず基準になる「自分のフィーリング」なるものが絶対的に正しいものではない、ということです。
そもそも自分のフィーリングが間違っている場合もあります。
間違った英文を覚えてしまっている場合、その感覚に照らし合わせて間違った英文を書いてしまう、ということが起こります。
次に自分のフィーリングを越えた表現に出会った場合、対処出来ない、ということです。
リーディングで見たことないような複雑な構文が出た場合、ライティングでアカデミックな理屈を述べなければならない場面で、思考がストップしてしまいます。
方向は2つ。
感覚派の人がIELTSでハイスコアを獲るための方向性は2つあります。
どっちを取るかですね。
1つは、「自分のフィーリング」をネイティブレベルまで高める、ということです。
極端な話ですが、完全にネイティブと同じ感覚を持っていればすべて自分のフィーリングで判断すればOKであって、文法の知識なんかは不要です。
日本語ネイティブが日本語を理解するのにいちいち文法知識に照らし合わせていないのと同じです。
一般的に耳で覚えた人は「聞く」と「話す」はそれなりの時間を使っていることが多いですが、「読む」と「書く」にはそれほど時間を使っていないことが多いです。
「読む」「書く」についてはそのフィーリングがまだまだ未熟な状態が多いのです。
だから徹底的に膨大な量の英文を読み、膨大な文章を書いてネイティブチェックを受ける、という対策で、「聞く」「話す」と同じように「読む」「書く」も感覚的にこなせるようにしていきます。
その際に「崩れた英語」ではなく良質な英語に触れることが重要です。
例えばビジネス書や論文など、フォーマルな英文を使い、きちんと校正を受けた文章に触れるのが良いです。
ライティングのネイティブチェックも高等教育で学んだ人のチェックを受ける必要があます。
これらのインプット、アウトプットをネイティブ並みの頻度で数年行うとネイティブに近い感覚が得られると思います。
私の長女は10歳でカナダに移住しましたが、ESLの先生にはネイティブに追いつくには7年かかると
言われました。
実際、今移住して4年経っていますが、まだネイティブの感覚ではないです。
ネイティブ並みの感覚を得るにはそれぐらい時間がかかるということです。
でも逆にそのレベルまで到達すると、自分のフィーリングがかなり正しくなるので、フィーリングに沿って判断すればほぼ正しい判断になります。
数年もかけたくない場合
数年もかけられない、という人にお勧めするもう1つの方法は理屈を取り入れて、理屈でも理解できるようにすることです。
理屈というのは文法ですね。
感覚派の人は文法に苦手意識がある人が多いですが、文法の体系が一度頭の中に入れば、自分のフィーリングという曖昧なものを判断基準にしなくてよくなります。
そして自分のフィーリングにない文章でも正しく理解出来たり、正しく表現することが出来るように
なります。
元来持っている感覚と理屈が統合されて、感覚+理屈という、より強力な武器になるわけですね。
ただ感覚派の人が理屈を取り入れる場合、2つの壁があります。
1つは
「これまでだって文法は分からなくても聞き取れたし、しゃべれたじゃないか、だから文法なんて要らない。」
と考えてしまうことです。
この気持ちがあると、素直に理屈を学ぼうという気持ちになりにくいです。
これは日本語ネイティブである私たちがわざわざ日本語の文法を学ぼうという気になれないのと同じですね。
だから気持ちはよく分かりますが、
「聞き取れるし、しゃべれる」
と考えている自分のフィーリングは、リーディングやライティングではまだ至らないレベルである、という現実を受け入れて、学び直してもらえればと思います。
もう1つの壁が文法用語です。
文法が苦手な場合、入口で文法用語が分からずにつまづいてしまう場合が多いです。
節と句
補語と目的語
自動詞と他動詞
第2文型と第3文型
主節と従属節
能動態と受動態
などなど、最初の段階で文法用語が分からないとその後の説明もよく分からないものになります。
ここだけは集中して頑張って攻略しましょう。
入口の用語さえ理解してしまえば、あとは割と楽に内容が入ってくるはずです。
IELTS7.0を獲得するぐらいの知識であれば、最初の壁さえ乗り越えたら数か月で身につきます。
一見遠回りに見えますが、時間的にはこっちの方が有利です。
ということで、今回は「感覚派のためのIELTS対策」を書いてみました。
次回「理屈派のためのIELTS対策」について書いてみたいと思います。