こんにちは。藤本です。
こんなお問合せを頂きました。
「藤本さんのテキストは本当に体系的にまとめてあるので、これさえ覚えてしまえばできるようになる、ということは分かります。でも分量が多くて覚えられないです。覚えたことも忘れてしまいます。どうしたらよいでしょう?」
とても重要な問題なので、記事にしてお答えしようと思います。
「覚える」「覚えたことを忘れない」ようにするためのポイントは大きく3つあります。
1.忘れる自覚を持つ
2.知識を体系立てる
3.思い出そうとする仕組みを作る
この3つです。
では順に説明していきます。
目次
1.忘れる自覚を持つ
まず理解頂きたいのは、人間は忘れる生き物である、ということです。
どんなに印象深いことや、体験したことであっても、あっさり忘れてしまうものです。
一昨日の夕食で食べたものは思い出せますか?
今何かの授業を受けているなら、その初日に先生が言っていたことを覚えていますか?
覚えてないですね。
そのときはどんなにおいしいと思ったり、大事なことだと思ったとしても。
これと同じで、どんなにその時に
「よし、良いことを聞いた!これは覚えよう」
と思ったとしても、記憶の賞味期限は思ったよりも早く、早ければそのレッスンが終わった後、1時間後には忘れています。
さらに1週間も経てば忘れ去られて、きっかけがなければ二度と思い出せなくなり、
1ヶ月経てば、たとえきっかけを与えられたとしても
「そんな話してましたっけ?」
という状態になります。
話を聞いたことさえ思い出せない状態です。
こういった自覚がない人は、学んだ瞬間はそれで一生覚えているつもりになっています。
そして、忘れる自覚もないまま、記憶に残そうと努力することもなく、忘れ去られてしまうのです。
だから忘れることを前提にして、記憶に残す努力をする必要があります。
その努力の方法を2つご紹介しましょう。
1)メモを取る
聞いただけ、という内容はほぼ1時間後には忘れてしまいます。
断片的に思い出せたとしても、全部は思い出せません。
10個のことを聞いたら、1個か2個だけ思い出せる、という状態になります。
まずは聞いたことをメモする習慣を作りましょう。
2)その日のうちに復習する
学んだことをその日のうちに寝る前に一度復習しておきます。
一度その日のうちに復習することで、中身までは覚えられないにせよ、少なくとも「何かを学んだ」という記憶だけは強固に残るようになります。
何かを学んだらその日のうちに復習をしておきましょう。
出来れば翌日も復習し、さらにその週の週末にもう一度復習する、といった具合に3回復習するとかなり忘れにくくなります。
2.知識を体系立てる
公演などを聞いたときに、ものすごくいい話を聞いたような気がするけど、改めて何を学んだか説明できない、ということはないでしょうか?
本を読んでいて、すごくいいことが書いてあったという記憶はあるけど、何が書かれていたか思い出せない、ということないですか?
公演や本は、それぞれ講演者、著者という発信する側の言葉で伝えていることなので、その場の納得感はすごくあるけれども、自分の中にある知識の枠組みとして捉えられていない、ということです。
人間は、新しい知識を得たときに、自分が既に知っている体系の中で位置づけられると、その知識を応用して課題を解決したり、他人に説明が出来るようになります。
例えば「自動詞は受動態にならない」というルールを教わったときに
- 自動詞は目的語を置けない
- 受動態とは目的語を主語にしたものである
という2つのルールを知識として知っている人は、そのルールに当てはめて、
「確かに考えてみれば、目的語を持てない自動詞は受動態にならないな」
と自分が持っている知識体系に当てはめて理解できます。
しかし、上記の知識に当てはめず、単純に
「自動詞は受動態にならない」
というルールだけを独立して覚えようとすると、その知識の記憶は不安定で、やがて忘れてしまいます。
このように自分の知識体系に落として理解すること、自分の言葉に置き換えて理解することは記憶を定着させるためにはとても重要です。
では、このような自分の枠組みを作るにはどうすればよいのか?
2つの方法があります。
1)一度その分野を集中して学習して自分なりの体系を作る
学生のとき、毎週の授業をただ聞き続けているだけだと、話がどんどん分からなくなるけど、試験前に集中して学習すると、一気に理解が出来るようになった、という経験はないでしょうか?
これは全体を集中して学習した結果、知識が自分の中で体系化されるのです。
これと同じことを実施します。
中間試験や期末試験のような決まった試験がないIELTSだからこそ、自分で時間を決めて、一度総まとめの復習をすることが必要です。
これを行うと、知識が自分の中で体系化されるようになります。
2)他人に説明してみる
私が以前経営コンサルをしていたとき、自分の知識を体系立てるのに役立っていたのがセミナーの実施でした。
セミナー講師として他人に説明をしようと思うと、何かしら体系立てないと説明がしにくいですし、自分がよく使う言葉に置き換えて説明しないと説得力もなくなりますし、さらに相手にとって分かりやすく説明するには具体例を挙げなければなりません。
こういったセミナーを1回実施すると、それだけでかなり自分自身の知識が整理出来ました。
IELTSの学習も同様で、セミナーをやらずとも、学んだ知識を誰かに説明するという経験をすると、自分の知識はものすごく整理されます。
口頭で説明する機会がないとしたら、学んだことをブログ記事にしたり、ツイッターでつぶやくだけでもだいぶ整理できると思います。
学んだ情報を発信するというプロセスにこそ意味がある、ということです。
3.思い出そうとする仕組みを作る
記憶というのは、思い出そうとする回数によって定着度が変わります。
つまり覚えたことを定着させたければ、それを思い出そうとする機会を人工的に増やす、ということです。
それを可能にするのが私が良く提唱しているライティングノートです。
このライティングノートは、1問1答形式にすることを意識します。
1問1答形式のノートを作る
ノートを左半分と右半分に区分します。
そして、右半分に覚えたい内容(答え)を記載します。
左半分には覚えたいことを思い出すためのきっかけ(問い)を書きます。
例えばアカデミックライティングTask1で、円グラフの問題が出たときはシェアの表現を複数使えなければなりませんが、そのときにノートの左側に
「シェアの表現6つ」
とだけ書いておいて、ノートの右側に
「The share of A is ~%」
「The proportion of A is ~%」
「The ratio of A is ~%」
「A account for ~%」
「A make up ~%」
「A represent ~%」
という6つを書いておきます。
そして、右側の「答え」を手で隠して、左側の「問い」だけを見て、右の答えを思い出そうとするトレーニングを繰り返し行います。
これらを何度も繰り返せば、自然に円グラフを見たときに6つの表現が思い出せるようになります。
まとめ
ということで、記憶できない、記憶したことを忘れてしまう、という状態に対して役立つ内容を3つ書いてみました。
出来ていないことがあるとしたら、是非3つを実施してみて下さいね。