高校を海外で過ごした生徒さんのIELTS対策

こんにちは。藤本です。

私の講座では、英語圏の高校在学中の方、英語圏の高校に留学されていた生徒さんも、多くいらっしゃいます。

 

そういった生徒さんのIELTS対策をサポートしていますと、全員ではないのですが、ある傾向があります。

今回はその傾向と対策についてお伝えしてみたいと思います。

 

1.リスニングとスピーキングの発音は良い

英語環境で1-2年授業を受けられた方は、さすがにリスニング力は鍛えられています。

聞き取れないと学校生活に支障があるわけですから、必死で集中して聞いた結果だと思います。

スピードの速い英語も単語はしっかりと聞き取れるようです。

 

またスピーキングについても、しゃべってもらうととても発音がきれいです。

海外で生活していくにあたり最も重要なリスニングとスピーキングの基礎が出来ていることは、10代で海外に生活された大きなアドバンテージだと思います。

私も含め、そうでない方にとっては、とてもうらやましい話です。

 

ただし、これらは本当の意味で定着しているものではなく、日常的に大量の英語に触れていることで維持できている力です。

そのため、例えば日本に帰国して、完全に日本語環境の中に入り込んでしまうと、ほんの2-3か月で急速に落ちていきます。

もし一時帰国や留学期間を終えて帰国する場合は、その維持に気を付けなければなりません。

 

2.リーディングの構文把握力が弱い

高校で海外に行かれている生徒さんは、IELTSを受験してみるとリスニングやスピーキングはスコアが出やすい一方で、リーディングは、リスニングほどスコアが出ないことがよくあります。

その理由は実際に英文を訳してもらうとよく分かります。

単語力が弱いというケースもあるのですが、多いのが、構文の捉え方が感覚的で、不正確というケースです。

 

日本の中学・高校の英語教育は文法に偏り過ぎだとよく批判をされますが、その代わり日本の中高で英語教育を受けた人は、文法の知識が比較的しっかりとしています。

このため、長文に慣れていなかったとしても、一文一文の構文を把握する力はしっかりしていることが多いです。

 

逆に高校で海外に行かれた場合、文法を十分に学ぶ機会がないまま、大量の英文に触れることになり、文法通りに一文一文を理解するよりも、全体で分かる単語から何となくの意味を捉える読み方をせざるをえません。

この大雑把に内容を捉える力は、大学に行った後などの論文乱読などではとても有効なのですが、IELTSのように正確な構文把握がないと引っ掛け問題に引っ掛かってしまう設問に対すると、どんどん引っ掛かってしまいます。

この場合、しっかりと文法を学び直し、感覚で分かっているものを、理論で裏付けて理解できるようになると、鬼に金棒状態になります。

 

3.ライティングの文法力が弱い

ライティングもリーディング同様に、海外の高校に行かれた場合に苦労するセクションです。

これもリーディングと同様に、文法の知識が弱いのが原因のケースが多いです。

 

これは、経験がない人には不思議な現象なのですが、スピーキングはきれいな文章でしゃべれるのに、ライティングで書いてもらうと文法無視のぐちゃぐちゃな文章になってしまうのはよくあることです。

 

スピーキングは耳から覚えているので、ある程度決まった言い回しを、単語のかたまりで覚えているんですね。

だからスムーズだし、文法的にも正しい。

でも、それをライティングで書こうとすると、ゼロから文章を作るようになるので、文法力がないと何だか変な文章になってしまうんです。

どこかで聞いたことあるような感覚的な文章とか、リズムが良いから、という理由で単語を選んでしまいます。

 

また、海外で生活している分には、内容が通じてさえいればいちいち細かい文法ミスは修正されません。

例えば、冠詞が抜けているとか、三単現のsがないとか、過去の話なのに過去形になっていないとかですね。

現地の学校で試験を受けても、内容の指摘は受けても、文法の指摘を受けることは少ないでしょう。

私たちが、日本の学校で、数学の答案を書いた際に、日本語の文法をいちいち修正されないのと同じです。

 

なので、ひとまず「伝わる」英語を身につけた後は、細かい文法を気にしないまま過ごしてしまいます。

これがライティングで苦労する原因の1つです。

 

この場合、さらに重大なのは、本人が

「経験的にこれで内容は通じるのだから、細かい文法は必要ない」

と考えてしまうことです。

そうなると文法の重要性が感覚として理解出来ないので、添削で指摘を受けても、それが受け入れられないことになります。

 

海外で教育を受けているのにライティングで苦労している場合、文法を鍛えてもらうことは必要なのですが、その前にまずは「内容は通じていても、文法的に間違った文章がいかに評価されないか」を認識してもらうことが大事です。

 

4.ライティングに口語表現が入る

高校で海外に行った場合、現地で、耳から覚える英語が大半になります。

これはスピーキングにはとても有効なのですが、ライティングにおいては、しばしば問題となります。

こういった生徒さんの書く英語には口語表現とか、崩れた表現が多く入ってくるんですね。

特に、10代の若者特有の表現とか入ってくると、ライティングとしてはかなり不適切になります。

 

例えば日本語で論文を書くときに

「ぶっちゃけ」

とか

「ハンパない」

とか

「~でさあ」

とか入っていたらマズいですよね。

 

そこまでひどくなくても、例えば何を指しているかよく分からないitを多用していたり、youが主語の文章が多かったりすると、特にアカデミックにおいてはふさわしくないという文章になってしまいます。

こういった場合、ニュースやスピーチなど、フォーマルな英語を聞くようにし、科学雑誌を読むなど、文語表現をインプットしていかなければなりません。

 

また、これも文法と同様に、

「通じればよい」

という思いがあると指摘を受けても受け入れにくいので、そうではないということを受験等を通じて、理解してもらう必要があります。

 

 

ということで、私の経験上、高校時代に海外で1-2年過ごされた生徒さんの傾向をまとめてみました。

繰り返しますが、全員がそうだ、と言うつもりはありません。

個々人でそれぞれ課題は違うものですが、もし該当すると思う場合は、参考にしてもらえればと思います。

なお、リーディングの構文把握力とライティングの文法を学ぶにはこちらがお勧めです。

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