
(「1-6)緻密な学習計画と優先度でゴールを目指せ」に戻る)
結果が出る人が持っているマインドや学習の技術についてまとめます。
目次
①学習時間を何とか捻り出す
正しい戦略や対策を知っていたとしても、それを実行できなければ成果は出ません。
「1日2時間が限度」という思い込みを捨てる
- IELTS受験生に「平日、どれぐらい勉強できますか?」と聞くと、多くの人たちが「1日2時間くらいです。」と答える。一方、IELTS7.0以上を獲られた方にインタビューすると最終的には毎日3時間以上勉強していた方が大半。
- ただし、3時間勉強していた人も、最初は「2時間」で始めていたケースが多い。しかし受験回数を重ねるにつれて、徐々にIELTSの優先順位を上げていく。最終的には仕事・食事・家事・睡眠以外の時間はすべてIELTSに使う状態になり、平日でも1日3-4時間を確保するようになる。
- 「平日は2時間が限界」と思っている人こそ、一度考え方を変えてみる。「3時間確保するには、何を変える必要があるか?」この視点で考えると、スコアの伸び方が変わる。
仕事よりもIELTSが大事
- 今の仕事よりIELTSの方が大事、と思えるかどうかが勝敗を分ける。なぜなら、IELTSの先にあるのは留学、移住、キャリアの展開などであり、人生を大きく変えるものだから。
- 「目の前の仕事が忙しいから」と言って人生を変えるチャンスを先延ばしして、IELTSの早期卒業はない。
- 「人生を変えることにどれだけ時間を使えるか」という視点で、今の時間の使い方を見直してみる。今やるべきことが変わってくるはず。
朝型に変えると人生を2倍生きられる
- IELTS受験者には夜型の方も多いが、ほとんどの場合は夜から勉強を始めても疲れてすぐに寝てしまうのが実態。頑張って耐えても、翌朝にはほとんど覚えていない。
- この解決策は、朝型に変えること。夜はさっさと寝て、朝5時に起きて、2時間限定で集中して勉強する。それだけで夜4時間分くらいの効果がある。朝元気な脳で勉強すると記憶力、集中力、理解力がまるで違う。体感的には約2倍くらい。だから勉強時間が半分になる。
- 「夜型だから・・」と思う人も、試してみればその差に驚くはず。人生変えるための2時間。
②課題を明確にする
何が自分の課題か、IELTS対策はここからスタートになります。
ここが明確でなければ、行うべき対策も、そのための学習スケジュールも作ることが出来ません。
伸びる人と伸び悩む人の違いは、試験後の分析レベルにある
- 毎回の受験でスコアが上がり続ける人は少数派。多くの人は壁にぶつかり、時にスコアを落としながら進む。むしろ、スコアを見てがっかりすることの方が普通。
- だからこそ大切なのが、「結果をどう受け止め、次にどう活かすか」。
- 試験後の向き合い方にはレベルがある。
- レベル1:何も考えず、落ち込んで終わる
分析せず、気持ちを切り替えるだけでは、成長につながらない。 - レベル2:外部に原因を求める
「試験が難しかった」「忙しかった」など、環境のせいにすると、改善点が見えない。 - レベル3:「ミスだった」で片付ける
「本当はできるけど今回は…」と考えるのも要注意。それは実力と考えるべき。 - レベル4:具体的な課題を分析する
結果を素直に受け止め、「単語力」「構文理解力」「短時間でのアイデア出し」など、明確な弱点を見つけて、対策につなげる。ここまでできて初めて、スコアが伸びる。
- 試験結果は「自分のどのスキル運用能力が弱かったのか」という観点で分析する。それも、「英語力が弱い」のような漠然とした力ではなくて、単語力なのか、構文力なのか、アイデアを短時間で出すスキルなのか、というように具体的なスキルで分析する。ここが具体的であればあるほど、次の強化ポイントが明確になる。
- 受験後の分析を丁寧にすることこそ、スコアアップの鍵。がっかりするのは当たり前。その感情に流されず、冷静に「何を変えるべきか」を見極める。
課題は対策可能なレベルになるまで分解する
- 何か1つの課題に取り組むときに、全部を一度に取り組もうとしないのはとても重要。具体的な対策が立てられるレベルまで分解していく。
例えば、泳いだことが無い人が、泳ぎたいときに、いきなり水に飛び込んだり、足がつかない深さで泳いだりしないですね。
泳ぐ、というスキルは、
1.息を止めて顔を水につける
2.足をつかないで水に体を浮かべる
3.足を動かして前に進む
4.手を動かして前に進む
5.息継ぎをする
といったスキルを統合して出来上がります。
これらをいっぺんにマスターしようと思っても出来ません。でも、5つに課題を分解して、1つずつマスターしようと思えば、比較的簡単にできます。
1.であれば顔を水につける、という練習だけすればいいわけですね。
2.は足をつかずに水に浮かぶ練習だけ、それだけを徹底すれば1日もあればできるわけですね。
そんな感じで、課題を一度にすべてやろうとしないことです。
自分が対処できる大きさになるまで分解すること、そして、それを1つずつ集中して実施することが、大事です。
- IELTSも同様で、いきなりオーバーオールのスコアを考えるのではなく、各セクションに分解し、さらにそこから細かい要素に分解していくことで解決策が見えてくる。
- 例えば、リーディングであれば、以下のような課題に分解できる。
- 単語力
- 構文把握力
- パラグラフ把握力
- 設問の取り組み順序
- 情報探索力
- 設問タイプごとの回答力
- タイムマネジメント力
- さらに設問タイプごとの回答力は以下のように分解できる。
- True/False/Not Given問題
- 空欄補充問題
- パラグラフタイトル問題
- 選択肢問題
- リストマッチング問題
- このように課題は細かく分解して、そして対処できる範囲に分解出来たら、そこを一気に集中してマスターしてしまうのが早い。
③パターン化・体系化して考える
大量の情報をインプットするとき、抽象的な概念を理解しようとするとき、何度やっても覚えられないとき、助けになるのが対象をパターン化・体系化することです。
パターン化のポイントはグルーピング
- 例えば覚えるべきことが10個あったとしたら、ただ10個羅列されても、覚えにくいし、覚えたところで、実際にその知識をアウトプットするときに使いにくい。
- そこで大切なのが、全体をパターン化・体系化するスキル。パターン化・体系化することで覚えやすさがかなり変わる。
例えば、パッと10個の絵を見せられて、それを10秒で覚えろと言われたときに
・犬
・クッキー
・オレンジ
・ライオン
・馬
・桃
・ポテトチップ
・ぶどう
・りんご
という感じでランダムで並べられるよりも
・ケーキ
・クッキー
・ポテトチップ
動物
・犬
・ライオン
・馬
果物
・オレンジ
・桃
・ぶどう
・りんご
と言った感じで体系化されていた方がずっと覚えやすいですよね。
- 覚えるべきものがあったら、このようにグルーピングして、なるべく覚えることを5つ以内にしてあげると覚えやすくなる。
- このようなグルーピングを考えるには、一度その分野を集中して学習して自分なりの体系を作ること。
- 例えば学生のとき、毎週の授業をただ聞き続けているだけだと、話がどんどん分からなくなるけど、試験前に集中して学習すると、一気に理解が出来るようになる、ということがしばしば起こる。これは全体を集中して学習した結果、知識が自分の中で体系化されたから。
- 中間試験や期末試験のような決まった試験がないIELTSだからこそ、自分で時間を決めて、一度総まとめの復習をすることが必要。これを行うと、知識が自分の中で体系化されるようになる。
④徹底度を追求する
語彙カバレッジ98%の法則でもお伝えしたように、語学学習というのはとにかく徹底度を高めることが重要です。
自分流にアレンジすることは再現度を下げる
- 単語力のテストをして成績が悪い方に単語を覚え方を聞くと、自分流のやり方で覚えている人が多い。
- 例えば、「単語を10個単位で覚える」と伝えても、30個単位、100個単位に勝手にアレンジして覚えようとしている。「次は10個単位で覚えて下さい」とお伝えして、その方法を徹底してもらうと9割は単語テストの成績が向上する。
- 人間は工夫して進化していくものなので、何かを改善しようとする姿勢は間違ってはいないが、アレンジというのは、まず一旦正しいとされる方法を身につけてからそれ以上の成果を求める手段として考えるべき。
- 車の免許を取るときに、いきなり自分流の運転方法では路上に出ないし、医師が正しい手術の方法を学ばずに自己流の方法で手術をしようとは思わない。
- まずは正しいフォームを最初に身につけるべき。
- ところが勉強になると、正しい方法ではなく最初から自己流で行おうとする人が多くいる。でもこの場合、あまり芳しい結果にはならない。
- まずは勝手にアレンジを加えず教えられた正しい方法を忠実に実行してみる。
いざというときに使えない知識は「覚えたつもり」レベル
- 必要なことを覚えてもらう場合、いざその内容を説明してくださいと言われてスラスラ説明できる方は1割ぐらい。
- 圧倒的に多いのが「覚えたつもりだったけど、いざ言われると出てこない」という状況。
- 「覚えたつもり」というレベルと「覚えて、かつ使える」というレベルとの間には大きなギャップがある。
- 多くの方は「見たら思い出す」「言われたら知っている」というレベルでとどまり、「何も見ないで言える」「自分で使いこなせる」というレベルでは覚えきれていない。
- しかし、IETLS試験本番において、「見たら思い出す」というレベルは残念ながら何の役にも立たない。
- 暗記をするのであれば「何も見ないでも言える」「いつでも使える」というレベルで覚えなければならない。
本番で評価されるレベルから逆算して暗記する
- 「暗記」と言っても人によって暗記のレベル感が異なる。
- このレベル感は重要で、同じ表現を覚えるにしても、どこまで覚えるかで本番でのスコアが大きく変わる。
- たとえば、「あることを説明するための表現」が5種類あったとして、人によって「暗記した」と思っている水準はバラバラ。
- Aさん:理解だけして暗記しない
- Bさん:1つだけ暗記
- Cさん:全部覚えたが正確ではない
- Dさん:全部正確に覚えている
- この4人の中で本番で高得点が取れるのはDさんのみ。
- IELTSの勉強では、「本番でどの程度まで出来ていれば評価されるのか」を基準に、そこから逆算して「どのレベルまで暗記すべきか」を判断する。
⑤「忘れない」工夫をする
IELTS対策として暗記は避けられませんが、「新たなことを覚える」ことは得意でも、「覚えたことを忘れない」ことに関して無頓着な方が多いです。本当はこっちの方が大事なんですけどね。
穴が空いたバケツに水を貯める
- 復習をせずに新しいことばかり勉強しようとするのは、底に穴がたくさん空いたバケツに一生懸命、水を注ぐイメージ。穴をふさがない限りはどれだけ水量を増やしても水は溜まらない。
- 語学学習においては、水を注ぐことに一生懸命になっている人は多いが、漏れていく水を気にしない人が多い。
- IELTS対策を始めて半年以上経っている場合、既に必要な知識のほとんどは一度は目にしたり耳にしたりしているはず。しかし、それらを忘れているのでなかなか結果(バケツの中の水の量)につながらない。IELTSの目標スコアが出るまでに長い時間がかかる原因の多くはここにある。
- 蛇口をひねる前に、穴から水が漏れないようにする工夫が先。それが出来たうえで、蛇口をひねると一気に水が溜まる。
人間の記憶力は思っている以上に弱い
- 2週間前のレッスンでお伝えした内容を覚えているのは半分程度。かなり時間をかけてお伝えした内容でも2週間後にはすっかり忘れてしまっている、というのが現状。
- しかし、2週間前のレッスンのときは「いいことを聞いた!」「これは絶対忘れない」と感じていたはず。学んだ瞬間はそれで一生覚えているつもりになるもの。
- しかし残念ながら、そのときはどんなに印象深く覚えたとしても、本当に1週間後、2週間後にはきれいに忘れてしまうもの。
- 例えばほとんどの人は、一昨日の晩御飯のメニュー覚えておらず、先週読んだブログの記事や、SNSで目にしたことって忘れている。これは人間の特性なので仕方ない。
だからこそ「忘れることを前提とした対策」
- 忘れることを前提にした対策とは「学んだことを何度も思い出す仕組みを作ること」。
- 例えば、単語を覚えるときは1つ1つの単語に時間をかけず、その代わり、何度も何度も繰り返す。レッスンで習った内容は、その日の寝る前に一度復習し、そして次のレッスンの前日にはもう一度復習する。
- 記憶というのは、単に「見た回数」ではなく、「思い出そうとする回数」によって定着度が変わる。つまり覚えたことを定着させたければ、それを思い出そうとする機会を人工的に増やす、とよい。
- 具体的には、覚えたいことがあれば1問1答形式のノートを作る。
- 例えばライティングTask1で「数値の上昇を示す構文」として覚えたい構文が5つあったとすると、ノートを左半分と右半分に区分し、右半分に覚えたい答え(5つの構文)を、そして左半分には覚えたいことを思い出すための問い(「数値の上昇を示す構文を5つとは?」)を書く。そして、右側の「答え」を手で隠して、左側の「問い」だけを見て、右の答えを思い出そうとするトレーニングを繰り返し行う。これらを何度も繰り返せば、自然に5つの構文が思い出せるようになる。
- このように思い出すことを仕組化することで、忘れることを防ぐことが出来る。忘れることを前提にした学習システムを作っておくのが、少しでも効率的に学習を進める方法。
⑥お金を上手に使う
IELTSは受験料も高いし、その先に待っている留学はもっとお金がかかるので、なるべく節約はしたいところですが、使うべきところで適切に使うことでIELTS卒業までの期間を大きく変えることも可能です。
自分の成長のためには金を使え
- 私たち日本人は「お金を大事にしろ」という教えを受けることはあるが、その大事にしたお金を「いつ」「何に」使えば良いのかについては、教えを受けることはあまりない。だから普通に生活していると「将来もしものときに備えて貯金する」だったり、「その場の感覚だけで高い、安いを判断してしまう」といったことになりがち。
- でも、どこにお金を使うかで人生は大きく変わる。
- その最も典型的なのが、自分自身が成長するための投資。世の中が大きく動いていて、先の見通しがつきにくい今の時代、お金の使い道としては、自分自身が成長するための自己投資以上に、確実で適切なお金の使い方はない。
- だから、IELTSも必要以上にお金を使う必要はないけれども、自分のスキルを高めるためには、ある程度しっかりとお金を投資すべき。例えば参考書。あれもこれも買う必要はないけど、最低限、公式問題集くらいは買うべき。試験の受験。受験費用がもったいないからと、いつまでも受験しないより、複数回受験が必要であることを前提に、さっさと一度受験する方が得られるものはずっと大きい。添削のサービス。もちろん品質は見極める必要はあるけれど、お金を使って、いいサービスを使えばそれだけ成長も早くなり、受験費用も抑えられる。
- IELTSのハイスコアは普通の感覚で取り組んでも越えられない壁がある。それまで取り組んだことがないレベルの徹底度や時間捻出が必要だったりだが、これが未経験の領域なので一人では答えが見つけにくい。だから、そのレベルを知っている他人の助けがとても有効。
- もちろん、投資できる額の上限や、投資先の品質をしっかり見極めることは大前提。でも、このような自己投資の感覚は、これから独立心を持って生きていくには本当に大切。
あらかじめ使う費用を決めておけ
- IELTSでハイスコアを狙うには、対策に一定のお金を使う価値がある。ただ必要なだけいくらでも出せる、という方は少ないと思うので、お勧めするのがあらかじめ予算化しておくこと。
- 自己投資の中で避けなければならないのは以下の2つ。
- ①その場の「高い」「もったいない」「後でいいや」という感情に負けて、本当に必要な投資を見逃してしまうこと
- ②色々なものに目移りしてしまい、投資したものを回収することなく、際限なくお金を使ってしまうこと
- あらかじめ使う費用を決めておくことで、これらの2つを回避することが出来る。
- 費用を決めておくと、投資することが当たり前の感覚になり、良い教材や、講座に出会えたときに躊躇なく投資が出来るようになる。しかも、上限を設けておくことで、際限なくお金を使うことも避けられる。必要なものだけに素早く投資する、という最も望ましいスタイルでお金を使うことが出来る。
予算化の目安は2か月の収入分
- どれくらいを予算化しておくのかは本当に人によるが、一つの目安として、その方の2か月の収入分くらいは、予算化しても良い。2か月経てば同じ金額が入るわけですから、そのくらいを自己投資のために使うのは、全然有り。(むしろ小さいくらい)
- ここまで予算化出来ない場合は、時間と労力がその分かかるという覚悟をする必要がある。
⑦予備校・参考書を適切に選ぶ
IELTSの参考書や予備校も増えてきました。選択肢が増えたのは良いことですが、逆にどれを使うべきか迷うこともあると思います。
手を広げる人ほど長引く法則
- 参考書の購入に関して気をつけたいのは、一気に手を広げすぎないということ。
- たまに一度に大量の参考書を買って、参考書コレクターになってしまう人がいるが、参考書を大量に買うとなんだかそれだけで勉強した気になってしまって、結局腰を落ち着けた勉強ができなくなる。
- これだと信じた1冊の参考書をボロボロになるまでやりきる方が、効果は高い。
- どの参考書も一定レベル以上の内容は書かれている。気に入った1冊を完璧にやり終えて、まだ穴があると感じたら次の1冊。これが正しい参考書の買い方。
良いとこ取りは機能しない法則
- 色んな予備校に通ったのにスコアが伸びない人の特徴は、ズバリ「悪いところ取り」をしているということ。「良いとこ取り」の反対。
- 本人は「良いとこ取り」をしているつもり。しかし、これが「悪いところ取り」になっている。
- その原因は、それぞれ伝えられたことの中から実施することを選ぶときの基準にある。多くの人は、自分が出来そうなこと、意味があると思えそうなこと、馴染みのあること、だけを選択している。これが伸びない原因になる。
- つまり、大変だけど本当は意味があって効果があることから逃げている。スコアを伸ばす方法は、これだと信じた人や参考書に絞って、そこで推奨していることを1から10まですべてやり切ること。安易な、自分基準での取捨選択は、目標達成を遠のかせてしまうばかり。
合わない講師から学ぶとかえって有害
- 同じ英語講師でも人によってアドバイスが全然違う。
- それは、その講師が、どのような環境で英語を習得してきたのか、英語に対してどのような感情を持っているのか、そして、どのような人に向けて発信しているのか、がバラバラだから。
- 当然ながら自分の状況と合っていない講師の言うことを聞いてもあまり効果はない。
- 単に「英語力が高い人だから」「有名な人だから」という理由だけで、アドバイザーを選んでしまうと、役に立たない、場合によってはかえって有害なアドバイスを受けてしまうことになる。
- あなたが師事すべきベストな講師は、あなたと似たバックグランドを持ち、似た経験をしてきた人。
- 自分と似たバックグランドを持つかどうかを以下3つの視点で確認すると良い。
- 視点1:その講師はどのようなゴールを想定しているか
- 視点2:その講師はいつ、どこで、どうやって英語を学んだのか
- 視点3:その講師は英語が好きか
視点1:その講師はどのようなゴールを想定しているか
- 講師によって主張やアドバイスが異なる一番の原因。
- 「日常生活の中で英語をしゃべれる」ということをゴールに想定している人と、「英語の検定試験で目標スコアを獲る」ということをゴールにしている人とでは、場合によっては180度違うことを言うケースもある。
- 前者の場合「暗記よりも文法の勉強よりも実践をしろ」というニュアンスの主張が強くなり、後者の場合、より正確性が求められるため、単語や文法の正確な理解、暗記といったアドバイスが多くなる。
視点2:その発信者はいつ、どこで、どうやって英語を学んだか
- 情報発信者の主張の内容を大きく変える要素の1つ。
- 極端なのが、ネイティブや帰国子女。子どもの頃から無意識に英語を習得してきた、あるいは現地で大量の英語に触れながら習得してきた人たちなので、大人になってから座学で語学を学んだ人とは言語の捉え方が違う。
- だから「そういうものだから、それで覚えましょう」といった感じの、純ドメからしてみると納得しにくいアドバイスや、体系化されていない個別のアドバイスになりがち。
- それに対して日本にいながら理屈で英語を覚えて身につけた人は個別の表現を1つ1つ覚えるのは効率が悪いため、それらの共通ルールである単語と文法を体系的に学んで、そのルールを応用できるように考えていることが多い。
- なので、まずは基礎としての単語や文法を覚えて、それを元に実践を積んで応用範囲を広げていく、といったアドバイスをすることが多い。
視点3:その講師は英語が好きか
- 基本的に英語学習法を発信している人は、英語が好きな人が多い。
- でも英語学習者は全員英語好きな人たちではなくて、英語が嫌いだけど、目的のためにやむを得ず習得するという人もいる。
- 英語が好きな人や、英語に触れるのが苦ではない人は、英語に触れているときに「努力している」「我慢している」といった意識がなく、「英語学習を楽しみましょう」みたいなアドバイスが出てくる。
- でも、英語嫌いな人にとって「楽しむ」というアドバイスほど意味が分からないものはない。
- むしろ必要なのは「苦痛だけどどうやって学習のモチベーションを保つか」「いかに少ない労力で効果を上げるか」といった点。
⑧IELTS学習体験談の読み方
ネット上などで学習体験談を見たり聞いたりすることがあると思います。この体験談は、どういう見方をするかで、毒にも薬にもなります。
成功例を見て落ち込む必要はない
- 「ネットを見ていて、初回受験で7.0とか、5.0から1か月で6.5になったとか、簡単にスコアを獲っている人を見て自分には出来ないと落ち込んでしまいます」というお声をよく聞く。
- 結論から言うと全く落ち込む必要はない。
ネットの成功例には裏がある
- ネットに出ている情報は、完全なウソではないかもしれませんが、かなりレアなケースを、大げさに誇張して出していることが多い。
- 例えば初回受験で7.0というのは普通の人ではなく、それまで相当の時間を英語に費やしてきた人。まったく英語を勉強していない人がいきなり7.0というのはまずありえない話。
- 5.0だった人が1か月で6.5とかいう情報も、やっぱり普通ではなく、本来6.5レベルの実力がある人が、試験のフォーマットも形式も知らないまま、何の準備もなくいきなりIELTSを受験して5.0だった。それが、試験形式をしっかり理解して、1か月後に受験したIELTSでは実力通り6.5が出た、というのが実態。
現実の話はもっとシビア
- ネット上での情報では、1年かけて1.0伸ばしたとか、10回の受験で卒業した、という話をしてもインパクトがない。まして「簡単にスコアは伸びない」なんて話をしても、そんな情報は誰も知りたくないので出さない。
- しかし、実態としては、受験回数5回以下で卒業出来る方はむしろ少なく、10回以上、20回以上になる方も普通にいる。なので、そんな情報を見て、自分も出来ると過信したり、必要以上に落ち込む必要はない。
- ネット上の情報に心を揺さぶられることなく、自分が出来ることを着実に実施できるようにしていくべき。
体験談を見るときに是非注目して頂きたいのが以下の2点です。
1.バックグランドと開始時の英語力
- 「⑦予備校・参考書を適切に選ぶ」の中にある「誰から習うのが良い?」で述べたのと同じで、まったくバックグランドや開始時の英語力が違う人の話は参考にならないことが多い。
2.その対策をいつ、なぜ、どこまで行ったのか
- つい「何をやったか(What)」に注目しがちだが、同じ対策を違う人がやっても効果が出るとは限らない。
- 大切なのはその対策をいつ(=When、どのぐらいのスコアのときに)行ったのか、なぜ(=Why、どういう課題を克服したくて)行ったのか、どこまで(=Where、どのぐらいの徹底度で)行ったのか、という点。ここが分かるとあなたの学習にも当てはめて考えやすく、再現性が高まる。
⑨試験に対して謙虚でいる
試験結果が悪いと落ち込んでしまうのは仕方ないですが、その気持ちを引きずらないためにも、そして少しでも早く成果を出すためにも、試験に対して謙虚な姿勢でいることが大事です。
他責にしても成長しない
- 悪い結果を受け取ったとき、人によっては、周りの環境のせいにしたり、IELTSという試験に欠陥があると思いこんだりもしたくなる。しかし、この思考だと、次に自分を変える、という方向にならない。
- 試験結果はあくまであなたがそれまで過ごしてきた時間の結果。同じ試験を受けて良いスコアを獲る人もいるわけなので、その結果を生んだのは紛れもなくあなた自身。そこはまっすぐ結果を受け止めるしかない。
- そして、変えるべきは、周りの環境でも、IELTSそのものでもなく、あなた自身。そう受け止めるのはキツイですが、これが無ければあなたは成長しない。
得るものがあればそれは前進
- 試験結果が期待に合わなかったとき、何だか試験を受けたのが無駄に感じるかもしれない。
- しかし本当に最悪の状態とは、次の打ち手が何もないケース。
- それ以外、少しでも次につながる打ち手が考えられる結果であれば、それは良い結果と考えれば良い。
- やってはならないのは、結果を何にも使わずにまた同じような時間を過ごすこと。これこそ受験料をドブに捨てる行為。
- 例えば、1ヶ月試してきたことが本番では全く裏目に出てスコアが下がってしまった。だから、その結果を受けて、次の1ヶ月は別のことを試してみた。これは十分に受験結果を次に活かしているので、受験は無駄になっていない。最初に試した方法は効果がなかったと分かった分だけ前進だし成長。
- 受験はスコアという最終結果だけを見るのではなく、そのスコアから何か次に活かせることが無いかを見ていくと良い。もっと言うと、受験するのだったら、次の打ち手に活かすための何かを持って帰れ、ということ。
仮説がすべてのスタート
- そのために持ってほしいのが仮説。
- 「これをやったらこの力が伸びるんじゃないか」という仮説を作って、その仮説を検証すべく日々頑張る。そして試験当日にその仮説を検証する。
- スコアが良くなれば、その仮説は立証されたし、スコアが悪くなれば、その仮説は正しくないということが立証された、と考える。どっちにしても「立証」されたら前進。
(「1-8)モチベーションが下がったときはこう考える」に移る)