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目標としてどのようなスコアをイメージするか、そしてそのためにどのようなタイミングで受験すべきかを決めていきましょう。
①IELTS4セクションの特性
4セクションはスコアの上がりやすさにそれぞれ特性があります。
4セクションごとのスコアの上がりやすさ
| セクション | 特徴 | 7.0目指す方が 現実的に 狙えるスコア |
| リスニング | 英語を聞いた量に比例して伸びやすい 帰国子女や上級者は7.0以上も狙える | 7.0-7.5 |
| リーディング | 語彙力や文法力の影響を受けやすい 上級者や日本の大学受験経験者は7.0以上も狙える | 7.0-7.5 |
| ライティング | 論理展開や文法などが厳しく評価されるため、7.0以上の獲得は最も時間がかかる | 6.0-6.5 |
| スピーキング | 英語を話した量の影響を受けやすい 帰国子女や上級者は7.0も狙えるが採点官との相性など、スコアの変動幅が比較的大きい | 6.0-7.0 |
日本での学習が中心の場合:
- リーディングが最も伸びやすく、7.0以上も狙いやすい。
- リスニングとスピーキングは英語に触れる量次第でハイスコアも可能だが、逆に触れる量が少ない方はライティング以上に苦労することもある。
- ライティングはスコアメイクに苦労することが多く、特に7.0以上が求められる場合は4セクションの最後の関門として相当の時間を要する。
海外での学習経験がある場合:
- リスニングとスピーキングのスコアを上げやすい。
- リーディングはアカデミックな語彙や文法の知識がないと6.0-6.5で伸び悩む傾向がある。
- ライティングはスコアメイクに苦労することが多く、特に7.0以上が求められる場合は4セクションの最後の関門として相当の時間を要する。
②3種類のスコア戦略
目標としてどのようなスコアを狙うかを考えておきましょう。
バランス型
基本戦略
- 4セクションすべてで目標スコアを揃える。
- 全セクションの最低スコアを求められている場合は、必然的にこの型を採用。
オーバーオール7.0、各セクション6.5以上が求められる場合のイメージ
- リスニング 7.0
- リーディング 7.0
- ライティング 6.5
- スピーキング 6.5
LR集中型
基本戦略
- リスニング・リーディングのハイスコアで、全体のスコアを補う戦略。
- オーバーオールのスコアだけが求められており、日本で主に英語教育を受けてきた場合に狙いやすい形。
オーバーオール7.0が求められる場合のイメージ
- リスニング 7.5
- リーディング 7.5
- ライティング 6.0
- スピーキング 6.0
LS集中型
基本戦略
- リスニングとスピーキングのハイスコアで、全体のスコアを補う戦略。
- オーバーオールだけのスコアを求められており、帰国子女や、海外で教育を受けている人など目よりも耳と口で英語を学んできた場合に狙いやすい形。
オーバーオール7.0が求められる場合のイメージ
- リスニング 7.5
- リーディング 6.5
- ライティング 6.0
- スピーキング 7.0
③適切な受験タイミング
どういうタイミング・頻度で受験するかを、考えておきましょう。
受験頻度の基本的な考え方
基本的な受験頻度
- 初受験は1日でも早く終わらせる(「1-4)初受験はここに気を付けろ」)
- 初受験以降は「1~3カ月に1回」の頻度で受験する
受験間隔を3カ月以上空けるデメリットがある
- 受験は、学習成果を検証する経過観察の場。頻度が低すぎると、間違った方向で学習していた場合、軌道修正する頻度も低くなり、ダメージが大きくなる。
- 3カ月以上先の予定は現実味がなく、ついダラダラと過ごしがち。
- 受験間隔が3ヵ月以上空くと、受験感覚が鈍り、緊張しやすくなり、実力が発揮しにくくなる。
受験を1カ月に1回以上行うデメリットがある
- 受験後に改善をする時間もないまま次の受験を繰り返しても、ほとんど結果は変わらない。腰を落ち着けた対策も出来ないし、受験費用も無駄になる。
- ただし、出願締め切りまで残り時間が限られる場合は例外で、これ以上の頻度で受験をせざるを得ない場合もある(後述)
目標とのギャップから考える適切な受験頻度
目標スコアと現状スコアとのギャップによっても受験頻度は変わる
| 状況 | お勧めする受験頻度 |
| 目標スコアまでまだ差が大きい(1.0以上)場合 | 1~3カ月に1回程度受験 |
| 目標スコアまで差が小さい(あと0.5程度など)場合 | 1カ月に1回程度受験 |
目標スコアまで差がある場合(1.0以上など)
- 3カ月程度、じっくりと腰を落ち着かせて課題を克服していくのがお勧め
- その場合も試験感覚を保つ、1カ月のリズムを作る、学習成果の確認などの目的で1カ月に1回受験するのもOK
目標スコアまで差があと少しになった場合(0.5など)
- 受験頻度を1カ月に1回程度に上げて、なるべく多く受験機会を持つ
- IELTSは出題内容の巡り合わせ、当日のコンディション、採点官との相性(特にスピーキング)など、不確定要素が多く、必ずしも実力通りのスコアが出るとは限らない。そのため、実力的に目標スコアに届きそうであればなるべく受験機会を多く設けたい。
出願締め切りまでの時間から考える適切な受験頻度
目標スコア獲得の期限までの残り時間によっても受験頻度は変わる
| 状況 | お勧めする受験頻度 |
| 締め切りまでかなり時間がある(9カ月以上)場合 | 1~3カ月に1回程度受験 |
| 締め切りまで一定の時間がある(4-8カ月程度)場合 | 1~2カ月に1回程度受験 |
| 締め切りまでほとんど時間がない(3か月以下)場合 | 1カ月に1回以上受験 |
期限までまだ余裕がある場合(9カ月以上先など)
- 目標スコアとのギャップに応じて1~3カ月に1回程度の頻度での受験がお勧め
期限まで一定期間内の場合(4-8か月程度など)
- 少し頻度を上げて少なくとも2か月に1回は受験した方が良い
期限まで時間がない場合(3カ月以内など)
- 少しでも受験機会を増やすため1カ月に1回以上受験する
- 毎週受験しても良いが、毎週だとさすがに大変、という場合は、2週間に1回ぐらいのペースがお勧め
全セクション7.0を求められる場合の3段階のスコアメイク
IELTSで最も難易度が高いケースの1つが全セクション7.0を目指す場合
- 毎回全セクション7.0以上を狙って受験すると、限られた勉強時間を4セクションに分散させることになり、得策ではない。
- 3段階に分けてスコア戦略を考える。
第1期.1つのセクションで7.0を超える
- まず1つのセクションに集中し、7.0を獲得するための努力の量と質(コツ)を体で覚える。
- 努力の感覚がつかめると、残りのセクションでも同じ感覚で7.0を目指せる。
- 受験時も、ターゲットにした1セクションだけは7.0を超えることを目標にする。
第2期.残りのセクションも順に7.0を目指す
- 既に7.0を超えたセクションの学習は最低限に絞り、次のターゲットセクションを1つずつ重点的に対策する。
- 一点集中の原則で、1セクションずつ7.0を獲得する感覚をつかんでいく。
第3期.全セクション同時に7.0を揃える
- すべてのセクションで一度7.0が獲得できたら、最後に全セクション同時に7.0を揃えることを狙う。
- ベストスコアは7.0を持っていても、そのベストスコアが4つはなかなかそろってくれないのが辛いところ。1つだけが揃わない、という結果が繰り返される。この段階はとにかくメンタルがやられがち。
第3期が長引いたときの考え方
- 3セクションが7.0を越えている場合は、残り1セクションでワンスキルリテイクを利用する。
- 受験まではその1セクションに集中できるのでスコアを出せる率が高くなる。
- 受験機会はなるべく増やした方が良い。試験には運の要素もあるので、受験回数を増やすことによって、4つのセクションのスコアが揃う確率も高くなる。


