こんにちは。藤本です。
最近、IELTSの勉強をされている方とお話をさせて頂くと、8割くらいの方はスカイプ英会話サービスを利用されていますね。
スカイプを使ってフィリピン人講師などと1日30分くらい英会話をするサービスで、月々数千円というコストパフォーマンスを考えると、これだけ普及しているのも納得ですね。
私はスカイプ英会話を使いませんでしたが、毎日英語に触れる、英語で会話をするということに慣れるという意味はあると思いますので、良いサービスがあれば積極的に使うと良いと思います。
ただ、IELTSスピーキング対策として、スカイプ英会話を使われている方の中には、少しもったいないなあと思われる使い方をされている方もいらっしゃいます。
ですので、私だったらスカイプ英会話はこう使うなあという使い方を今日は書いてみたいと思います。
そもそもIELTSのスピーキングですが、3つの能力が試されます。
1.質問に対して素早く適切な答えを思いつく能力
2.思いついた答えを頭の中で適切な英文にする能力
3.頭の中で英文化したものを滑らかに口から発音する能力
このうち1.の能力についてははっきり言って英語の能力ではありません。
なので、IELTSのスピーキングの採点基準でも、内容を思い浮かべるために間が空いたり、中断があるのはOKとなっています。
ただ聞かれたことに全く答えられないのはマズイので、何かを返せるようになる必要があります。
2.については、はっきりと英語の能力です。
従ってスピーキングの採点基準では、言いたい内容があるのに、表現するための英語を思い出すために間が空くのは減点対象です。
この1.の沈黙と2.の沈黙をどう見分けるのかは分かりませんが(笑)、試験官からは分かるということでしょう。
これら3つの能力が問われるわけなのですが、この3つを一気に高めようとすると大変です。
これは自転車に乗れるようになったときのことを思い出すと良いです。
自転車に乗れるようになるには
A.足でペダルを漕ぎ、前に進む能力
B.ハンドルで倒れないようにバランスをとる能力
の2つが必要です。
自転車に乗ったことがない人をいきなり自転車に乗せると、この2つの能力がないため乗れるようになるために時間がかかります。
なので、AとBの能力に分解して、最初はAだけの能力を鍛えます。
これは自転車に補助輪をつけて漕ぐ練習をすることです。
補助輪付で自転車を前に進めることができるようになると、次に補助輪を外すのですが、最初はペダルを漕がずに、地面を足で蹴って、ハンドル操作だけを覚えます。Bだけの能力をつけていくイメージです。
そしてA、Bの能力がそれぞれ高まった段階で、補助輪なしでペダルを漕いで進む練習をします。
A+Bの複合能力をつける段階です。
こうしてAとBをそれぞれ分解して練習すると、いきなりA+Bの練習をするよりも早く自転車の乗り方がマスターできるそうです。
スピーキングでも同様です。
いきなり1.2.3.の3つの能力を同時に高めようとしても時間がかかります。
複合的な能力が試されるときは、その能力を分解して、1つ1つ個別に高めていくのが近道です。
なので、スピーキングも3つに分解して練習していきます。
1.質問に対して素早く適切な答えを思いつく能力
これは「能力」というよりは「いかに準備できているか」です。
IELTSのスピーキングで聞かれることはある程度範囲があります。
その想定される範囲の質問に対して答えるネタを準備しておくのです。
ネタはなるべく、外国人でも分かる、そして英語で説明しやすいものを選択します。
例えば趣味を聞かれたら、例え俳句が趣味だとしても、俳句のことを知らない人に一から説明するのは大変です。
だから外国人でも分かりやすい映画鑑賞とかスポーツとかを答える方が答えやすいし、理解してもらいやすいというわけです。
次に
2.思いついた答えを頭の中で適切な英文にする能力
です。
ここがポイントなのですが、この能力が、毎日ネイティブと英語をしゃべっていれば自然に高まっていくと考えている人が非常に多いです。
この英文作成能力が勝手に高まっていく人とは、非常に高い密度で英語に触れている人か、相手が話す英文をどんどん自分の表現として吸収できる人です。
あるいは10歳以下の子供もこの能力は高いと思われます。
そうでない人は、意識的にこの能力を高めていかなければなりません。
そう「意識的に」です。
その方法とは、自分の表現をしっかりとスクリプト(台本)にして蓄積していくことです。
つまりIELTSのスピーキング対策としては、1.で準備したネタに対して、それぞれスクリプトを準備していくということです。
このスクリプトを準備せず、その場で思いついた英文をしゃべるだけでは早い進歩は望めません。
最初は大変かもしれませんが、しっかりとスクリプトを準備しましょう。
でも、そのスクリプトを正しく作れる自信がない人は?
そのときこそ、スカイプ英会話の出番です。
スカイプ英会話は、その場で質問をしてもらって、その場で思いつきで答える練習をする場ではなく、しっかり自分なりに準備したスクリプトを聞いてもらって、そのスクリプトをより良い言い回しに修正してもらう場と考えた方が良いでしょう。
もちろん、修正してもらった場合は、自分のスクリプトをアップデートしていきます。
そうして例えば1日2問分のスクリプトを完成させたとすると、毎日やれば1か月で60問分のスクリプトが出来上がることになります。
2か月あれば120問です。
これだけスクリプトが準備できたらIELTSスピーキングで聞かれる大抵の問題には答えることが出来るでしょう。
ただ、それでも想定外の質問をされたときはどうするか?という疑問があるかもしれません。
もちろん、準備した通りの質問が来ないケースも多々あるでしょう。
その場合も、120問分のスクリプトが本当にモノになっていたら、そこで出てきた言い回しや単語を組み合わせれば、大抵の問題は答えられるはずです。
私たちは、日本語をあたかも頭の中で自在に組み立てながら話しているように感じると思いますが、例え日本語であっても、知らない単語や知らない言い回しを使ってしゃべることはできません。
意識的にスクリプトを準備しなくても、他人が言っていた言い回しや、本で読んだ表現を自分の言葉としてしゃべることが出来るのは、私たちが日本語のネイティブであり、今まで生きてきた年月分、大量の日本語ストックがあるからです。
圧倒的に触れる時間が少ない英語に関しては、意識的に自分ができる表現や言い回しを整理して覚えていくしかありません。
そして自分のモノになった単語や表現が一定量を超えたときに、自分の言いたいことのうち、英語で表現できる割合が高まって、不自由なくコミュニケーションができるようになるわけです。
ということで、もう一度繰り返しますが、英文を組み立てられる能力をつけるには、自分でまずスクリプトを作りましょう。
そしてそのスクリプトをスカイプ講師に修正してもらって、自分の表現になるように覚えましょう。
3.頭の中で英文化したものを滑らかに口から発音する能力
3つ目は英文を実際に口に出す能力です。
これは発音やイントネーション、つまらずに滑らかにしゃべり続けるという能力も含みます。
一般的には、この能力をスカイプ英会話で鍛えるというイメージがあるようです。
でも、この能力はわざわざネイティブと会話しなくてもある程度自力で鍛えることが出来ます。
頭の中にある英文を口に出す練習ですから、相手は要りません。
最初、英語を噛まずにしゃべるというのは難しいかもしれません。
口の筋肉が英語仕様になってないからです。
先日テレビで、フランス人は「きゃりーぱみゅぱみゅ」を噛まずに言えるという放送をしていました。日本人には難しい発音ですが、フランス語には似た発音があるため、フランス人は難なく言えるらしいです。まさにそんな感じですね。
噛みがちな英語を噛まずにスムーズに言う練習です。
練習の題材はもちろん2.で準備したスクリプトです。
スクリプトを繰り返し発音することで、基本構文は頭に入りますし、途中でもっと良い言い回しやネタが浮かぶこともあります。その場合はスクリプトをどんどんアップデートしていきます。
ただ、自分の発音や滑らかさが十分かは判断できないときがあると思います。
その発音や滑らかさをチェックしてもらうためにスカイプ英会話を使うのは有りです。
スカイプ英会話は安いので、ついつい準備せずに臨んでしまう人もいると思いますが、このようにしっかり準備して、それをチェックしてもらうという使い方をするのが、もっとも効率的な使い方だと思います。
今日はつい言いたいことを一気に長々と書いてしまいました。
最後までありがとうございました。